なんとシリーズ第10弾となる。毎年1冊で10年も続いているのだ。(スピンオフが2冊あるけど)毎回毎回同じようなお話で、1年の春夏秋冬の4章仕立て。同じパターンでの構成。
でも、そんな中で、家族や親戚、友人の類がどんどん増殖し、もう収拾がつかないくらいになっている。でも、毎回律儀にもそんな大家族のひとりひとりをちゃんと紹介して、彼らの毎日をフォローしてくれる。
特別なことなんか何も起こらなくても、とても楽しい我が家の毎日。そんな感じがとても素敵だ。それにしても、ここまで続くとは思いもしなかった。小路幸也はこのシリーズだけではなく他にも多作なのに、凄い。
ほんというと、ここまで続くとさすがに飽きてきそうなものなのに、そうはならない。不思議だ。でも、その理由は、明らかである。今の時代ではもうファンタジーの領域にある大家族という設定を、この時代のリアルとして提示できたところにある。
お決まりの「LOVEだねぇ」もそうだ。今時、それはないだろ、と思うところを、そうはさせないで納得の展開で切り抜ける。
少しずつ成長していく家族の姿もこの作品の魅力だ。変わらないのは、変わり続ける、に裏打ちされている。今回は本棚から本が落ちる怪談話からスタートして、研人の高校受験を巡るお話で締める。変わりない日常がこんなにも愛おしい。