先日公開された石井裕也の『本心』に続いて藤井道人の新作のタイトルも漢字2文字のシンプルすぎるタイトル。悪いとは言わないけど、あまりに素直で芸がない。
そして問題はここだけど、映画があまりに真面目すぎてリアルじゃないのだ。出てくる人はみんないい人ばかり。さらには警察。こんな杜撰な誤認逮捕を平気でした上、捜査も杜撰。これでは日本の警察はここまで酷い、という宣伝になるけど、それで大丈夫か。というか本当にここまで酷いのか? 怖い。さらには18歳の高校生がこんなに簡単に脱出できるし、何百日も逃げ切れるのか? 警察間抜け過ぎ。
普通の高校生が3年裁判で勾留されて死刑判決を受けたから刑務所に収監。だがそこから脱獄する。冤罪を明らかにするために。血塗れになり病院に搬送される途中に逃げ出すという展開。この最初の設定からして無理がある。
さらにはその後も変装してさまざまな場所に潜伏。いい人たちに助けられて、いろんな仕事をこなしていく。これではあまりに出来過ぎ。無実の罪を勝ち取るまでのお話でいいけど、説得力が欲しい。
それにしても最近の藤井道人はなんだかつまらない。今回も『最後まで行く』同様娯楽映画としては確かに楽しめるかもしれないがそれだけ。こんなレベルの映画でいいわけがない。横浜流星は頑張っているけどそれだけに映画がこのレベルでは可哀想。