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映画・演劇のレビュー

『るろうに剣心 京都大火編』

2014-08-04 19:49:50 | 映画
2時間19分があっという間だった。2部作なので、最初から話が途中で終わることはわかっていたけど、いったいどこまで見せてくれるのか、そんなことにまで、ドキドキした。体感時間が2時間くらいを過ぎたときから、もうすぐ終わるよ、と寂しくなる。それくらいに楽しい映画だったのだ。

娯楽大活劇である。前作を受けて、剣心(佐藤健)たちが、どんなふうに生きるか、どう戦うのか、が描かれる。「人斬り抜刀斎」であることを引き受けることで、その幕引きを望む剣心の内面の葛藤もちゃんと描いたうえで、京都に向かう。しかも、最初はまだまだ迷う面もあるけど、旅の途中の村での残酷な行為を経て、覚悟を新たにする。ある種のパターンであることは否めないけど、それでいい。それをおざなりに描くのではなく、丁寧に見せてくれるから、反対にモチベーションが上がるのだ。

志々雄(藤原竜也凄い!)という最大の敵を迎えて、ドラマはどこまでもエスカレートしていく。単純なお話のはずなのに、そこにさまざまな仕掛けを織り込んで一筋縄では行かさない。江戸から京都へと舞台を移し、途中、ロードムービーにもなる。テンポがいい。半端ではない。キレキレのアクションでつないでいく緩急併せ持つドラマ展開も見事だ。前作をグレードアップして、さらに壮大なスケールで描く。

当然のことだが、前後編は、結論の引き延ばしにはならない。前作を序章にして、今回はつなぎとして、完結編へと話を先送りにするのだが、そういう行為があざといものにはならないし、観客を欺く行為にもならないのは、1作目の出来が素晴らしかったし、2作目がそれをさらに凌ぐ出来だったという事実ゆえだ。裏切られたなんて思えない。この感動は、まだまだエスカレートするという予感をちゃんと抱かせてくれるラストなのだ。

驚くべきアクションシーンはCGによるまやかしではなく、生身の人間の肉体がそこにあることによる。強い。剣心だけではなく、彼が戦う敵が本当に強い、と思える。そんな敵と彼が冷静に戦う姿が感動的だ。彼はもっと強いのだ。『ドラゴンボール』のようなバトルが実写で描かれる。熱くならない。クールをキープする。それは余裕ではない。そうでなくては勝てないからだ。

さぁ、この先、何が起こり、どうなるのだ。そんな単純な興味と関心を抱かせる。もちろん、最後は志々雄とのバトルにたどりつくことなんて、わかりきっているけど、だからこそ、そこに至る戦いが気になるのだ。数々の敵と、戦い果たしてどう志々雄まで行き着くか。単純であることが作品の力となる、という究極の高みを目指す。もちろん、大友監督と、そのクルーはとんでもない高みを見せてくれるはずだ。9月が待ち遠しい。

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