『春江水暖』で世界からも、もちろん僕からも注目された中国のグー・シャオガン監督の第2作。予告通りの山水画シリーズの第2作。だけどまるで前作とは違うタッチの作品になっていて、戸惑う。
お話はリアルではなくある種の寓話で、極端なデフォルメがなされている。だからお話に違和感を感じてなかなか受け入れ難い。リアルとシュールのバランスがわからないのだ。母親の地獄めぐりと彼女を救済するために息子もまたその地獄を体感する。それが美しい風景を背景にして描かれていく。
杭州、西湖。湖畔のほとりの茶畑。湖畔の街。天国と地獄。
彼女はこの天上の茶畑にいた。ここで茶摘みの仕事をしていた。だが、この職場を不本意な理由から追い出された母は街のマルチ商法による悪徳業者に入る。自分が儲かることだけを追及してまず身内から騙す。変わってしまったそんな母をなんとかして助けよう、目覚めさせようとするけど、欲に目が眩み違法ビジネスに身を堕とした母を更生させるのは難しい。
後半は新興宗教のような集団内に入り、インチキ足下パットを売る母と対峙する息子と母親のドラマになる。暗くて重いだけでなく、お話に説得力がないから、映画に違和感を感じてしまう。これはある種の寓話だから、と思いつつも、話に乗り切れない。「釈迦の十大弟子のひとり、目連が地獄に堕ちた母親を救う物語『目連救母』現代版」とチラシにはあるけど、そういうパッケージングに無理矢理お話を押し込んだからなんだか不自由な映画になってしまったのか。僕には残念な一作だった。