突然父が死んでしまい、遺された兄と妹は、たった2人で葬儀をやり遂げなくてはならなくなる。親戚や、近所の知人たちに助けられ、7日間も続くさまざまな儀式をこなして、無事に父親を向こうの世界へと送り出すことができるのか、を描く。台湾での葬式のさまざまな約束事が、とても不思議で新鮮な驚きを与える。そのひとつひとつがまるでドキュメンタリー映画のようにとても丁寧に描かれる。昔、伊丹十三が『お葬式』という映画を作ったけれども、これはそれの台湾版という感じか。
最初は幾分コメディタッチだが、それは別に観客を笑わせようと思ってではない。何も分からない兄妹が、必死になって、儀式をやり遂げようとする姿は、滑稽だけど、そこに人間の営みの愛しさが、垣間見える。後半になると、生前の父とのいくつものやりとりが随所に挿入されていく。とても切ない。映画は徐々にシリアスなタッチになる。そして、2人は無事に7日間をやり遂げて、ほっとする。
すべてが終わったあと、仕事で忙しく世界中を飛び回っている妹が、たまたまできた空白の時間、もう父親の死から数カ月経っているのに、空港のロビイーで涙が止まらなくなるラストシーンがすばらしい。その時初めて、心から寂しいと思った。もう父はいない。今、自分はひとりぼっちだ。大切な人を失うこと。その心の空洞を見事に描き出した、すばらしいエンディングだ。
最初は幾分コメディタッチだが、それは別に観客を笑わせようと思ってではない。何も分からない兄妹が、必死になって、儀式をやり遂げようとする姿は、滑稽だけど、そこに人間の営みの愛しさが、垣間見える。後半になると、生前の父とのいくつものやりとりが随所に挿入されていく。とても切ない。映画は徐々にシリアスなタッチになる。そして、2人は無事に7日間をやり遂げて、ほっとする。
すべてが終わったあと、仕事で忙しく世界中を飛び回っている妹が、たまたまできた空白の時間、もう父親の死から数カ月経っているのに、空港のロビイーで涙が止まらなくなるラストシーンがすばらしい。その時初めて、心から寂しいと思った。もう父はいない。今、自分はひとりぼっちだ。大切な人を失うこと。その心の空洞を見事に描き出した、すばらしいエンディングだ。