習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『春が来れば』

2006-12-06 20:47:22 | 映画
 2本、今年公開された映画で見逃していたものがある。(もちろんそれ以外でも見てない映画がないとは言わないが)どうしても見たかったのに諸事情で見れず悔しい思いをしてた。それが、ようやく見れて嬉しい。そんな映画のまず、1本目がこの作品だ。映画史上最高の1本である『八月のクリスマス』のホ・ジノの助監督をしていたリュ・ジャンハの初監督作品だ。  見事なまでに、師匠の作品とよく似ている。だが、ホ・ジノのコ . . . 本文を読む
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『硫黄島からの手紙』

2006-12-06 19:40:54 | 映画
 クリント・イーストウッドによる硫黄島2部作の日本篇を見た。アメリカ篇である『父親たちの星条旗』があまりに素晴らしすぎて「一刻も早く見たい」と思ってたから、まず、見れたことが素直に嬉しい。  しかし、正直言うと少しがっかりしたことも事実だ。素晴らしい映画であることに異論はない。ただ、手放しでは絶賛できない。  アメリカ篇とは違う切り口を見せる。こちらは、剛速球の直球勝負だ。それは題材的にも仕方 . . . 本文を読む
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清流劇場『鬼の顔』

2006-12-05 21:23:18 | 演劇
 あるテーマを設定して、それに沿ってドラマを作る場合、リアリティーが重要なポイントとなる。やりやすいのは、実際の事件をモデルにすることかもしれないが、事実の重みに押しつぶされてはならないし、事実を無視するわけにも当然いかない。いくら取材してもどうしても埋めきれないものを、想像力で補うのではなく、事実を越える真実を提示するためには、作り手自身の題材にしたものに対する、それすら凌駕する、リアルを捏造す . . . 本文を読む
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『武士の一分』

2006-12-05 20:06:54 | 映画
 この映画は物語としての要素をどこまでも、どこまでも削ぎ落として、その極限まで行った究極の物語世界を見せようとする。  ストーリーは一行で説明できるし、それ以上何もいらない。しかし、その中で何よりも大切なものを確かに見せきる。誰かを大切に思う気持ち。それを描くだけなのだ。  そのためになら、命を投げ出してもいい。身を棄ててでも、守らなくてはならないものがある。女は男のために、その身を投げ出し、 . . . 本文を読む
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『武士の一分』最初の衝撃

2006-12-04 23:22:10 | 映画
 今ちょうど見て帰ってきた。頭の中は真っ白だ。ただ、凄い。それだけだ。  驚くほど時間が経つのが早く思えた。2時間の映画なのに、あっという間に終わってしまったのだ。「まさかまだ終わらないよな」、と思いながら最後の方は見てた。気分的には1時間くらいしか経ってなかったのだ。こういう経験は久しくなかった。しかも、こんなに何もない映画なのに。これは何事なのか?  映画はとてもあっけなかった。なのに、実 . . . 本文を読む
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劇鱗『御老体ユナボナー』

2006-12-03 09:31:45 | 演劇
 久々に劇鱗を見た。以前よりスマートになっており芝居の作り方も上手くなってきている。さすがに場数を踏んでいるだけのことはある。  しかし、肝心の芝居の中身のほうは相変わらずで、せっかくの面白い発想が生かされない。もう少しきちんとした内容でカバーできないものか。それよりなにより、まずは主人公の爺さん役をチラシモデルだけでなく、本気で田口さんでキャスティングできなかったのか。  田口さんがあの役を . . . 本文を読む
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劇プロジェクト、Kから『カプチーノの味』

2006-12-03 08:26:36 | 演劇
 劇団太陽族の岩崎正裕さんが神戸学院大の伊藤先生の要請を受けて作り上げた作品。とても丹精な作品で見終わった時の満足感は高い。こういう素敵な小品に出会えた時の嬉しさは、「なんか、得したな」というすこし卑しい言い方が似合う。岩崎作品なので絶対面白いのは分かっていたけど、このさりげなさが、いつもの太陽族の時の全力投球とは違い別の意味で、心地よい。岩崎作品というのではなく、なんとなく見て思いがけない収穫を . . . 本文を読む
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