原田眞人監督が初めて手掛ける時代劇。2時間半に及ぶ大作なのだが、圧倒的なせりふ量で、それを凄いスピードでマシンガンのようにしゃべる。このテンポの速いせりふの応酬には驚く。普通にやれば3時間くらいの分量が詰め込まれている、って感じだ。
ふたりの女(満島ひかり、戸田恵梨香)を中心にして、離婚調停のために駆け込み寺(鎌倉にあった江戸幕府公認の東慶寺)にやってきた女たちのドラマが綴られる。彼女たちの間に入り大泉洋演じる男がコメディリリーフになる。女だけの尼寺になぜか、彼が逗留することになり、彼女たちを見つめ、彼女たちの手助けをする。男子禁制の場所はハーレム状態なのだが、そこにいるのが大泉洋なら、なぜかいやらしくならないのがおかしい。
男の暴力、勝手に苦しめられた女たちが、なんとかして、夫から離れて、新しい生き方をするために、ここにやってくる。江戸時代にこういうところがあった、というのにも驚くが離婚が困難な時代にこれだけの固い意志で貫く女たちがいた、というのにも、驚く。可哀そうな女、ではなく、たくましく、したたかな女。だが、そこにはとんでもない困難が彼女たちを待ち受ける。
地味な映画にしかならないような素材なのに、それをこんなにも壮大で、切ないドラマとして昇華した。さすが、としか言いようがない。冒頭の悠々たるタッチがいい。なかなか本題に入らないから、いらいらする人もいただろうが、あれは、この作品の重厚さ(これがただのコメディではないということ)を伝えるためには、必要な描写だった。黒澤時代劇を見ているような感動がある。本物の時代劇映画を作るのだ、という原田監督の覚悟のほどが確かなものとして伝わってくる。『赤ひげ』の匹敵するヒューマン時代劇巨編である。この調子で次回は、『七人の侍』の向こうを張る作品に挑んでもらいたい。原田眞人なら大丈夫だ。
ふたりの女(満島ひかり、戸田恵梨香)を中心にして、離婚調停のために駆け込み寺(鎌倉にあった江戸幕府公認の東慶寺)にやってきた女たちのドラマが綴られる。彼女たちの間に入り大泉洋演じる男がコメディリリーフになる。女だけの尼寺になぜか、彼が逗留することになり、彼女たちを見つめ、彼女たちの手助けをする。男子禁制の場所はハーレム状態なのだが、そこにいるのが大泉洋なら、なぜかいやらしくならないのがおかしい。
男の暴力、勝手に苦しめられた女たちが、なんとかして、夫から離れて、新しい生き方をするために、ここにやってくる。江戸時代にこういうところがあった、というのにも驚くが離婚が困難な時代にこれだけの固い意志で貫く女たちがいた、というのにも、驚く。可哀そうな女、ではなく、たくましく、したたかな女。だが、そこにはとんでもない困難が彼女たちを待ち受ける。
地味な映画にしかならないような素材なのに、それをこんなにも壮大で、切ないドラマとして昇華した。さすが、としか言いようがない。冒頭の悠々たるタッチがいい。なかなか本題に入らないから、いらいらする人もいただろうが、あれは、この作品の重厚さ(これがただのコメディではないということ)を伝えるためには、必要な描写だった。黒澤時代劇を見ているような感動がある。本物の時代劇映画を作るのだ、という原田監督の覚悟のほどが確かなものとして伝わってくる。『赤ひげ』の匹敵するヒューマン時代劇巨編である。この調子で次回は、『七人の侍』の向こうを張る作品に挑んでもらいたい。原田眞人なら大丈夫だ。