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映画・演劇のレビュー

『20歳よ、もう一度』

2015-06-28 07:53:39 | 映画

昨年の韓国映画『怪しい彼女』のリメイク。中国映画だ。それにしても、同じ話が、こんなにも短期間でリメイクされるって珍しい。しかも、韓国、中国の競作となる、というのも。(ヒット作をハリウッドがリメイクというのが、従来のパターン)

かなり忠実なリメイクなので、ストーリーはすべて憶えているから、なんか、あまり新鮮ではない。前作があれだけ笑えて、面白くて、感動できて、だったので今回はハードルが高い。別段仕掛けはない。それどころか、もっとさらっとした手触りの作品になっている。監督は『花蓮の夏』のレスト・チャン。コメディ色は抑えられてある。ラストも改変されてあるけど、お話全体の印象は変わらない、と思った。(どっかに大胆なアレンジとか、書いてあったような気がするけど)

冒頭のシーンがおしゃれだ。まぁ、よくあるパターンなのだが、主人公である彼女の子供(息子、ね)が生まれるところから、中年(現在の彼)になるまでが描かれる。それをクレジットの背景として、一気に見せる。映画自体では、彼が主人公では当然なく、ただのわき役。

主人公は70歳の老婆。彼女が、青春写真館とかいう謎の写真館で写真を撮ると、50年も若返り、20歳の女の子になり、青春をやり直す、というお話。

映画自体のテンポはあまりよくない。でも、悠々としたタッチで見せ方自体は悪くはない。ひとつひとつの描写を丁寧に描くからなのだが、そのせいで映画は誠実な印象を与える。夢のようなお話だ。というか、こんなのは夢でしかない。でも、夢を見させてくれるのが映画の使命なら、これこそ映画だ。そんな気分にさせられる作品である。ヒロインのヤン・ズーシャン(『So Young ~過ぎ去りし青春に捧ぐ~』で主演したらしい。僕は初見)がかわいい。彼女が可愛がる孫のルハンと疑似恋愛みたいになる展開も可愛い。すべてが心地よく、2時間12分の長尺は、至福の時だ。

ただし、韓国版のほうがずっと出来がいいだけに、これは分が悪い。こういうケースの場合、比較されるのは運命だし、それに勝つだけのアイデアがなくては、後続作品の意味がない。


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