こういう映画は生まれるべくして生まれる。それは10数年前、トム・クルーズ主演で『ラストサムライ』が作られたことと、同じである。これはあれの中国版だと思ったならいい。巨大な中国市場は欧米諸国にとって恰好のターゲットだ。合作というスタイルで中国本土を舞台にしたハリウッド大作。商売としては悪くはない。『トランスフォーマー』がなぜか中国を舞台にした以上に本格的にハリウッドが主体となり、中国人の喜ぶ映画を作る。
十字軍遠征で、心に傷を負った男が、シルクロードから中国に入る。そこで、若き王子とその姉と出会い、彼らを助けて王朝の復活を目指す。もう手垢まみれのお話で、ラストも「シェーン、カムバック!」の世界である。でも、それがハリウッドと中国なら新鮮。先日のマイケル・マンの『ブラックハット』も香港、中国が舞台だったし、キャストも両国のスターの競演。こういうのがこれから盛んになるのだろうか。
だが、最後のクレジットを見て知ったのだが、これはハリウッド大作ではなく、カナダとフランスの合作映画でした。たしかに、スケールは『ラストサムライ』には及ばないし、映画全体も少し地味。主演はニコラス・ケイジではないし。『スターウォーズ』のヘイデン・クリステンセンが主演で、ニコラスは脇役。
ただ、映画自体はお約束通りのお話をとてもちゃんと見せてくれてそれなりに満足のいく作品になっていた。ただの安直なB級アクション映画ではない。冒頭の延々と見せるアクションシーンも派手で、1時間39分退屈させない。これはちゃんとした大作なのだ。しょぼくないのがいい。まぁ、誰も見ないような映画なので、僕が見てきた、というレベルのお話なのだが。