ウィーン楽友協会合唱団「モーツァルト アヴェ・ヴェルム・コルプス」


 本日8月9日は長崎原爆の日です。写真にある被爆したマリア像が浦上天主堂で公開されて報道されています。長崎に投下された原爆は本来福岡県小倉市の小倉飛行場に投下される予定でしたが当日曇っていたために長崎に変更されました。私の母親は小倉飛行場のすぐ側に住んでいたのであの日天候がよければ母は今いませんし、私もいません。
 その後、私は長崎で生まれて妻は広島で生まれました。2人とも無宗教ですが結婚式を先日亡くなったヨハネ・パウロ2世が来日の際に礼拝をあげたカトリック教会で行ったというご縁があります。
 式の前にいろいろとアドバイスしていただいたカトリック教会のヘルパーのMさんご夫婦から結婚式でいただいたしおりの文言です。結婚式の際にも読み上げました。原爆・戦争でお亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。


平和を求める祈り

わたしをあなたの平和の道具としてお使いください
憎しみのあるところに愛を
いさかいのあるところにゆるしを
分裂のあるところに一致を 疑惑のあるところに信仰を
誤っているところに真理を 絶望のあるところに希望を
闇に光を 悲しみのあるところに喜びを
もたらすものとしてください
慰められるよりは慰めることを
理解されるよりは理解することを
愛されるよりは愛することを わたしが求めますように
わたしたちは 与えるから受け ゆるすからゆるされ
自分を捨てて死に 永遠のいのちをいただくのですから


 ご推薦するディスクは、カラヤン指揮/ウィーンフィル他の「教皇ヨハネ・パウロ2世により挙行された壮厳ミサ」(1985年)です。ミサ曲ハ長調<戴冠ミサ>もキャサリーン・バトルはじめソリストが素晴らしくいいのですが、大好きなのはディスク21の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」です。カラヤンではなくフロシャウアー指揮でウィーン楽友協会合唱団が歌っている2分50秒程度の短い曲です。ムーティ指揮/ベルリンフィルの「モーツァルト レクイエム」に併録されている演奏もとてもいいのですが、こちらは実際のミサでの演奏なのでパイプオルガン、コーラスの響きが厳かでとても感動的です。


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シノーポリ「マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ」


 実際に劇場で観たオペラの中で演奏内容とは別の意味で印象に残っているのが、イタリアのボローニャ歌劇場による「マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ」と「プッチーニ ジャンニ・スキッキ」のダブル公演です。東京渋谷のオーチャードホールでしたが、皇太子と雅子さんも観る天覧オペラでした。

 おそらく平日の夕刻、仕事の後に会場に向かったのですが、入口にテレビカメラ4~5台と報道陣に歌劇場の関係者と思われる外国人が何人か立っていました。照明がまぶしいくらいに煌々と光っていたので、これは皇室関係者に違いないとピンときました。野次馬根性で少し待っていたところ、車が到着し、皇太子と雅子さんが出てきました。照明のせいもあると思いますが、本当に光り輝いて見えました。私は皇室ニュースのファンではありませんが、別世界の人のようで(まさにそうなのですが)、うっとりと見とれるというのはこういうことだなあと思いました。

 その後、開演直前、2人が脇から入場して、貴賓席周囲の取り巻きが立ち上がり、併せて、オーケストラも立ち上がりますが、その他の観客が座ったままなので、オーケストラのメンバーが客席を見て、「え!起立しなくていいの?」という顔をしていたのが印象的です。休憩後の後半の開始時にはもうオーケストラは立ち上がりませんでした。

 肝心のオペラも素晴らしかったです。「カヴァレリア・ルスティカーナ」では、ホセ・クーラとワルトラウト・マイヤーの伸びやかで輝きのある歌唱が聴けましたし、無名の指揮者でしたが、イタリア訛りというかローカルな節回し、間の取り方が音楽によく合っていました。
 珍しい「ジャンニ・スキッキ」は、観るのはもちろん、初めて全曲を聴きましたが、名バリトンのファン・ポンスのコミカルな演技も相俟って楽しめました。フェッラリーニが歌う「わたしのお父さん」が流れたときは、ああ、この音楽はこのオペラの挿入曲だったんだと納得です。

 シノーポリ指揮/フィルハーモニア管弦楽団の「カヴァレリア・ルスティカーナ」を聴くとあの日の光り輝いていた皇太子と雅子さんを思い出します。事情はよく知りませんが早く元気になってもらいたいものです。

 この美しいメロディに溢れたオペラには意外とディスクが少ないのが不思議です。カラヤン盤、セラフィン盤も往年の名歌手を揃えてよいのですが、シノーポリ盤がドミンゴ、バルツァと歌手も揃っていて比較的新しい録音なのでお薦めです。以前はテノールなら何といってもパバロッティがいいと思っていましたが、最近はノーブルで艶のある声のドミンゴのほうを好みます。まだ現役で頑張っているのはすごいです。

 ストーリーはというと、男と女、恋愛、結婚、浮気、嫉妬、決闘、死がシシリア島を舞台に繰り広げられます。マリオ・プーゾ原作の「ザ・シシリアン」といいシシリア島には燃え上がる恋、決闘、復讐のストーリーがよく似合います。
 美しいメロディ、話しも分かりやすく、演奏時間も短めなのでCD1枚に収まります。そういう意味ではオペラの入門編としても最適の音楽ではないかと思います。



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