“ティニャネロ”に並べて記憶しておきたいワインがある。“アニア”といって、カステロ・ディ・カビアーノが作ったワイン。やはり、作り手の娘さんの名前がついている。90年頃のビンテージを最後に名前を変えたらしい。今は“ベェレッツァ”という。アニアでの最後のビンテージを飲んだがやはり旨い。名前と違って中身はかなり男性的なボディのしっかりしたワインだ。
ティニャネロ・アニアがあこがれのワインだったころ、僕はよく南千住の「金沢國蔵酒店」へ通っていた。おっかない親父さんが出てきそうな名前だが、この店を切り盛りしていたのはお嬢さんで、この方がイタリア・ワインにはめっぽう詳しい。店内で試飲も有料でさせてくれる。それがすごく勉強になった。このお店へ行くためには、南千住の駅から泪橋を渡って山谷を通って行かなくてはならない。日雇いの人達が多く暗くなると怖い。
このお嬢さんは今はご病気で亡くなられた。お店もコンビニに変わり、一部ワインバーのような空間を残し、お兄さんがワインの試飲会を継続している。
僕の中では、南千住のアニアさんは今でもワインの師匠です。
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