僕が初めて小説を書いたのは、22歳の時だった。
大学卒業を目前に控えた早春だったと記憶している。
就職先も内定し、卒論も書き終え、もう何もすることが
なかった頃だ。
しかし、何もすることがないから小説を書くなんて、
今思えば、なんて贅沢な身分だったのだろう。
もちろん、その小説は完結しなかった(笑)
きっと実家に戻れば、押し入れの中に、完結できずに、
中途半端で、絶対に人様にお見せできない、本当に稚拙な
物語が書かれた原稿用紙が今も眠っているはずだ。
時々、思う。
なぜ、小説を書きはじめたのだろう?
あんな時期に。
年月が過ぎて、最近、自分なりに分かりはじめた。
きっと僕は、世間に逆らっていたんだと思う。
学生時代の崖っぷちに立ち、もうすぐ、本当にもうすぐ
社会に出てしまうというギリギリの場所にいる自分として、
何か残したかったんだと思う。
何を残すか?
その時の僕にできることは、文章を残すことだけだった。
そもそも広告業界をめざし、そしてその業界に就職したのも、
コピーライターに憧れていたからだ。
そんな僕にとって、小説やそれを生み出す作家は、憧れても憧れても、
絶対に手の届かない、雲の上の存在だった。
だから下品な例えになってしまうが、あの時、僕はまだ学生という
身分でいる間に、小説を書くことによって、なんとか社会に対して
最後の“すかしっ屁”を食らわしたかったのだろう。
無理矢理上品な表現に換えれば、自分の生きている証しが欲しかったのだ、と思う。
あれから約20年。
社会にもなれはじめた30代になってから、僕はあらためて小説を書きはじめた。
数えきれない駄作を何本も書き続け、そして数年後、幸運にも、いくつか賞を
受賞するようになった。
そして今年、世の中は電子書籍元年を迎えた。
僕もアマチュアながら、今、その電子書籍の作家の一人として活動している。
あの、すかしっ屁しかできなかった頃の僕が、今の僕を見たらいったいどう思うだろう?
「よかったなぁ~!」と、歓喜してくれるだろうか?
それとも、「結局、素人のまんまかよ・・・」と、辛口な言葉を口にするだろうか?
どっちだろう?
自分ではよく分からない。
でもこれだけは、胸を張って言える。
「俺が書いた作品で、見知らぬ誰かが、感動したり笑ったり考えたりしてくれてるんだ」と。
「虫けら同然のような存在だったお前を、作品を通して肯定してくれた人がいるんだ」と。
あの頃の僕が欲していた「自分が生きている証し」として、これほどありがたいことはない。
本当に心の底から、そう思う。
だから僕はあらためてお礼を言いたい。
僕の電子書籍を購入して読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
大学卒業を目前に控えた早春だったと記憶している。
就職先も内定し、卒論も書き終え、もう何もすることが
なかった頃だ。
しかし、何もすることがないから小説を書くなんて、
今思えば、なんて贅沢な身分だったのだろう。
もちろん、その小説は完結しなかった(笑)
きっと実家に戻れば、押し入れの中に、完結できずに、
中途半端で、絶対に人様にお見せできない、本当に稚拙な
物語が書かれた原稿用紙が今も眠っているはずだ。
時々、思う。
なぜ、小説を書きはじめたのだろう?
あんな時期に。
年月が過ぎて、最近、自分なりに分かりはじめた。
きっと僕は、世間に逆らっていたんだと思う。
学生時代の崖っぷちに立ち、もうすぐ、本当にもうすぐ
社会に出てしまうというギリギリの場所にいる自分として、
何か残したかったんだと思う。
何を残すか?
その時の僕にできることは、文章を残すことだけだった。
そもそも広告業界をめざし、そしてその業界に就職したのも、
コピーライターに憧れていたからだ。
そんな僕にとって、小説やそれを生み出す作家は、憧れても憧れても、
絶対に手の届かない、雲の上の存在だった。
だから下品な例えになってしまうが、あの時、僕はまだ学生という
身分でいる間に、小説を書くことによって、なんとか社会に対して
最後の“すかしっ屁”を食らわしたかったのだろう。
無理矢理上品な表現に換えれば、自分の生きている証しが欲しかったのだ、と思う。
あれから約20年。
社会にもなれはじめた30代になってから、僕はあらためて小説を書きはじめた。
数えきれない駄作を何本も書き続け、そして数年後、幸運にも、いくつか賞を
受賞するようになった。
そして今年、世の中は電子書籍元年を迎えた。
僕もアマチュアながら、今、その電子書籍の作家の一人として活動している。
あの、すかしっ屁しかできなかった頃の僕が、今の僕を見たらいったいどう思うだろう?
「よかったなぁ~!」と、歓喜してくれるだろうか?
それとも、「結局、素人のまんまかよ・・・」と、辛口な言葉を口にするだろうか?
どっちだろう?
自分ではよく分からない。
でもこれだけは、胸を張って言える。
「俺が書いた作品で、見知らぬ誰かが、感動したり笑ったり考えたりしてくれてるんだ」と。
「虫けら同然のような存在だったお前を、作品を通して肯定してくれた人がいるんだ」と。
あの頃の僕が欲していた「自分が生きている証し」として、これほどありがたいことはない。
本当に心の底から、そう思う。
だから僕はあらためてお礼を言いたい。
僕の電子書籍を購入して読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。