りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

叔父さん。

2011-11-21 | Weblog
夕べ、夢を見た。

母の弟、つまり僕の叔父さんが出てきた。
母と7歳違いで、幼い頃から僕を可愛がってくれ、長男だった僕にとっては、
まるで年の離れた兄貴のような存在だった。
人生の節目節目で、僕は叔父の世話になったり相談をした。
進学、就職、帰郷、転職、そして、結婚・・・。
叔父はそんな僕の節目に直接的間接的に関わらず、いつも僕を助けてくれた。

実際、結婚して最初に借りた新居は、叔父の家のすぐ近くの借家だった。
隣に住む大家さんも、近所づきあいのある人の甥ということで、格安の家賃
にしてくれた。

それから家が近所になったということもあって、僕と叔父は頻繁に一緒に
出かけるようになった。
クルマ好きな叔父は、40代後半なのにスポーツカーに乗っていた。

余談だが、僕が幼い頃から今までずっとクルマが好きなのは、この叔父の影響
である。
2~3歳の僕を助手席に乗せ、国道の対抗車線を走るクルマの名前を次々と言う
のだ。脳みそがまだ柔らかい僕は、否応にそのクルマの名前を覚えてしまう。
2歳ちょっとで、「ブルーバード」と「コロナ」と「カローラ」の違いが
分かっていた幼児は、当時の日本できっと僕1人くらいだっただろう(笑)

とにかくそのスポーツカーに乗って、僕と叔父は夜中にドライブをした。
広島へ行ったり、岡山へ行ったり・・・。
時には、突然「おい、明石焼きを食いに行こう」と誘われ、平日の夜中に
200km近く離れた兵庫県の明石市まで高速をぶっ飛ばして明石焼きを食べに
行ったこともある。

叔父は牡蠣の加工工場を経営していた。
32歳の時に立ち上げて、絶対に失敗すると周囲が冷ややかな目で見る中で、
必死に働いて働いて働いて、従業員10人足らずの会社なのに、売上十数億円の
会社にまでにした。

ドライブの道中、僕と叔父はいろんな話をした。
叔父の会社のこと。僕の会社のこと。仕事のこと。家庭のこと。親のこと・・・。
当時、僕は30代前半、叔父は50歳になったばかり。
まだまだ人生の羅針盤が頼りなかった当時の僕には、叔父の口から出る言葉や
存在そのものが、大きな安心感になっていたことは否めない。

しかし、その叔父は、もうこの世にはいない。

2002年の初め、心筋梗塞で亡くなった。
長年、糖尿病を患っていた叔父は、最後は目が見えなくなり、指先が壊死し、
全身がむくみ、そして正月気分がやっと抜けはじめた冬の朝、就寝していた
布団の中で冷たくなっていた。
52歳だった。

上述したように直接の死因は心筋梗塞で、その原因は糖尿病だったが、
その元を質せば、過労だったことは誰もが否定しなかった。
働いて働いて働き続けた叔父は、ろくに健康診断も受けなかったし、
糖尿病と分かっても、適切な処置を怠ることが多かった。
インシュリンよりも仕事、という人だったのだ。

亡くなってしばらくは、僕は胸に大きな穴が開いたような、それまで経験を
したことがなかったような喪失感に襲われた。
30代がはじまったばかりで、家庭を持ち、父親になり、本当にこれから相談を
したいことが山ほど出てくる時に、最も近くで支えてくれていた人を失ったような
気がして、僕の羅針盤は本当に迷い狂ったようにクルクルとまわり続けた。

そんな僕も、なんとか30代を無事にクリアし、42歳になった。
そんな時に、叔父が夢に出てきたのだった。

夢の中の叔父は、濃紺のスーツを着ていた。
赤いネクタイをしていて、まるで就活中の学生のような出で立ちだった。
風貌は、亡くなる直前のようなむくんだ体型でも、糖尿病でガリガリに痩せていた頃の
体型でもなく、僕がクルマの助手席に乗せられてクルマの名前を覚えさせられていた頃、
おそらく20代前半の頃のような若々しい風貌だった。
そんな叔父が僕の前に突然現れた。
「おう」と、懐かしい笑顔で僕に声をかけて。

以下は、夢の中での叔父と僕の会話である。

「叔父さん・・・?」
「元気そうじゃの」
「うん、なんとかね・・・叔父さんは?病気、治ったん?」
「おう、なんとかなったわ、心配かけたのう」
「会社は?仕事はまたはじめたの?」
「いや、もう辞めた」
「辞めた?」
「ああ、もう辞めた。会社は人に譲ったわ」
「え?」
「今は◯◯◯(地元の食品会社)で働いとる」
「ホントに?」
「あぁ・・・もうええんじゃ、今は営業マンよ。また一から出直しじゃ」
叔父は、そういうと鼻で笑い、そして
「◯◯◯◯(僕の名前)」と呼びかけ、こう言った。

「・・・お前も、気をつけぇよ」

そこで、目が覚めた。
最近は夢を見ても、ハッキリと覚えていることが少なくなったのに、
今回の夢は、烙印を押されたようにハッキリと目覚めた僕の頭の中に残った。

10年ぶりに再会した、叔父さん。

いったい、僕に何を伝えたかったのだろう・・・。
コメント (4)
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