りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

第5の矢。

2013-09-10 | Weblog
自宅でくつろいでいたら、突然外から“ゴーーーーッ!!!”という聞いたことがないようなとてつもない
轟音が響いてきた。

急いで玄関から飛び出すと、家の前の道のアスファルトを突き破って、大量の水が巨大な水柱となって
噴水のように溢れ出していた。
水柱は高さ数十メートルにも達していて、その水しぶきで道路はもちろんのこと、ワタシの家や周囲の
家もびしょ濡れになっている。
そのあまりにも非現実的な光景を目にしたワタシは、ただただ呆気にとられて水柱を見上げるだけだった。

「おぉ、やっぱり吹き出たかぁ」

背後から声がしたので振り返ると、そこにはワタシが暮らしている地区の地区会長が立っていた。

「この辺りには、昔から温泉の水脈があるという言い伝えがあったんじゃ」

会長は水柱を見上げながらそう言った。
そうこうするうちに周囲に人が集まりはじめた。みんな近所のおじさんおばさんたちだ。

「おお、すごいことになっとるのぉ」
「こりゃあ、ホンマに温泉じゃねぇ」
「いやぁ、すんごい勢いじゃのぉ」

みんな水柱を見上げながら口々に好き勝手なことを言うだけで、誰も動こうとしない。

「これ・・・消防署を呼んだ方がいいんじゃないですか?」

ワタシは会長にそう尋ねたが、会長は首を傾げて思案の表情を浮かべるだけで、何も答えてくれない。
いや、こういう場合は消防署じゃなくて、警察だったかな?どっちだっけ??
会長の反応を目にしたワタシは、このとんでもない状況の中でなんとも呑気なことで迷っていた。

すると、背後から、微かな車のエンジン音が近づきはじめた。

そうか、この光景にアタフタしている間に、親切な誰かが消防署に電話してくれたんだ。
いや、もしかしたら警察かもしれない。
まぁ、この状況を解決してくれるなら、どっちでもいい。
やれやれ、とにかくこれで、一件落着・・・と胸を撫で降ろしかけたワタシだったが、現れた車を目に
したとたん、撫で降ろしかけた胸が再び一気に上がった。

そこに現れた車は消防車でもパトカーでもなく、黒塗りの高級車だった。

その筋だ、その筋だ、その筋だ、その筋だ・・・・と、おもいっきりビビり上げたワタシの横に黒塗りの
その車はピタリと停まるや否や、後部のドアが静かに開き、そしてスーツを着た一人の男が降りてきた。



安部首相だった。



周囲のおじさんおばさんが一斉に拍手を送る。
「おめでとうー!」
「ご苦労さまー!」
中には、日の丸の小旗を振っている輩もいる。
その歓声に右手を挙げて応える安部首相。
その首相の足下でチョコチョコと動き回る、赤いシャツを着た小さな人間らしき生き物がいた。
目を凝らしてよく見てみた。

猫ひろしだった。

安部首相が手を挙げて応えるのと同時に、猫ひろしも首相の足下で“ニャー”と周囲に応えていた。
しかし、如何せん、肉眼では確認しずらい。

どこの誰が用意したのか、いつの間にか安部首相はマイクを握っていた。
そして、一向に勢いが衰えない水柱の前で、当たり前のように演説をはじめた。

「みなさん、東京でのオリンピック開催が決定しました」

拍手と歓声で応えるおじさんおばさん。
なるほど。
だから首相が現れた時、みんなお祝いや労いの言葉を首相にかけたのか・・・と、
またしてもこの状況下で脳天気な得心をするワタシ。

「これから、東京は変わります」

いやいや、ここは東京ではないんですけど・・・。

「ワタシは、決めました」

え?何を???

「ここに、スーパー銭湯を作ります」

はぁ????

「そしてここは、選手村として使います」

と、安部首相は後ろを指差した。
首相が指差した先を点線で伸ばすと、そこには明らかに我が家があった。
いやいやいやいやいやいや、それは困ります、勘弁して下さい、なんでうちが選手村になるんですか!?
思わずワタシは首相の前に躍り出て、猛抗議した。

「大丈夫です」

首相はハッキリとした口調でそう言って、こう続けた。

「後で、返します」

そういうことじゃなくて!!

「この温泉も、十分に活用します」

活用なんかしなくてもいいよ!早くなんとかしてくれ!!

「大丈夫です」

何が大丈夫なんだよ!びしょ濡れだぞ!!

「国のコントロール下にあります」

あんた、何言ってんだっ!?

「大丈夫です」

何がっ!?

「これが、アベノミクス“第5の矢”です」

いいかげんにしろっ!!




・・・・・ここで、目が覚めた。
夢だと分かると、すぐに窓を開けて家の前の道路を見た。

温泉は、吹き出ていなかった。

こんな不条理な夢を見たからか、今日は終日、身体の中に鉛を詰め込まれたように
重く鈍いままだった。
同じ夢でも、もっと甘くて柔らかい夢を見たいもんだよ。

それにしても・・・・猫ひろしは、何で出てきたんだ(笑)?
コメント (4)
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