りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

最後のロゴマーク。

2013-09-30 | Weblog
今年に入って、数えきれないほどのロゴマークをデザインしている。

昨年までの数年間は、そういう仕事は本当に少なく、1年に2~3本あるかないか、
という感じだった。
今思えば、ワタシが勤めるような地方の小さな広告代理店でさえ、リーマンショック
の飛沫を浴びていたのだと思う。

それがどうしたことか。

2013年になってからというもの、最低でも月に1本はロゴマークのデザインを抱えている。
本当の意味で景気が回復しているのかは、まだまだ眉唾ではある。
しかし基本的にロゴマークというものは、新しく起業したり開店しない限り必要ないもの
だから、そういった分かり易い新しい動きが増えていることは、ある程度事実なのだろう。

で、全体の様子は横に置いといて、ワタシ自身のこと。

15年、20年前のワタシが、今のような状況になれば、それこそ嬉々としてロゴマークの
デザインに携わっていたと思う。
誤解を怖れずに言えば、数多のデザインの中で、ロゴマークのデザインは、最も創り甲斐のある
仕事のひとつだと思う。
様々なニーズやイメージや時代の流行(?)などを加味しながら、シンプルかつ分かり易く、
なおかつセンスの良いロゴマークを創ってゆくのは、デザインの醍醐味だ。
だからそんな仕事に携われることは、大げさではなくデザイナーにとって栄誉以外の何物でもない。
だから若い頃のワタシなら、どこかの居酒屋の店員のように“喜んでーーーっ!!!!”と叫びながら
ロゴマークをデザインしていた。

しかし。

何事にも表と裏、光と影というものは存在するわけで。
駆け出しの頃は、表や光の部分しか目が行かなくて、いつまで経っても裏や影の部分は見えなかったり、
幸い見えたとしても、それが制作の途中だったりすることが往々にしてある。

具体的に言えば、“良いロゴマークが出来た!”と思っても、既にどこかにあるマークに酷似していたり、
先方のニーズを十分に汲み取れていなくて、消化不良のままで仕上げてしまっていたり・・・。

当時デザインしたロゴマークを目にすると、採用してくださったクライアントには大変申し訳ないのだけど、
“今創れば、もっともっと良いデザインになるんだけどなぁ”と思ってしまうロゴマークがあまりにも多すぎて、
恥ずかしさのあまり赤面してしまうこともしばしば。

今の自分が完璧だとはこれっぽっちも思ってはいないけれど、それでもあの頃の自分よりは少しは成長している
ように思う。

一番違うのは、いくらロゴマークをデザインし続けても、一度として“嬉々として”創っていないことだ。

誤解して欲しくないのだけど、間違っても嫌々創っているわけではない。
しかし、今年に入ってロゴマークのデザインを依頼される度に毎回心によぎるのは、“オレ、ちゃんと創れる
のかなぁ”という不安な思いだった。
もちろん、どの依頼でも最終的には、どこに出しても恥ずかしくないロゴマークを仕上げているのだけど、出来上がった
直後は、もう心身ともにボロボロ。腑抜け&廃人状態(笑)
相当のエネルギーを使っていることが自分でも分かるし、もう頭の中にはアイデアはかけらも残っていないのだと思う。
それはたぶん、ロゴマークのデザインすることの面白さだけでなく難しさも自分なりによく知ってしまった上で対峙して
いるからだと思う。
もしかしたら今のワタシには、もはやロゴマークの表や光よりも、裏や影しか見えていない場合もあるのかもしれない。

それでもデザインすること自体は、何歳になっても面白い。それはもう、本当に真実。
これは、もう職業病とかそういう次元ではなく、ワタシの性(さが)なのかもしれない。
だから、これからもいつまでもデザインが面白く感じるように前向きにがんばっていきたい・・・・なぁ~んて、そんな
予定調和な定型文でこの日記を終わらすつもりは、さらさらないぞ(笑)

たぶん、これからはひとつのロゴマークをデザインする度に、もっともっと疲れ果ててしまうことになるのだと思う。
年を重ねるに連れて、まったくアイデアが浮かばなくなるかもしれない。
むしろ、そうなるのが当たり前のような気がする。
だから、これからは依頼される度に“このロゴマークが最後のデザインになるかも・・・”と思いながら創った方が
いいのだと思う。
そう思いながら、ウンウン唸って悩んで迷って創りあげたロゴマークの方が絶対に愛着があるし、おそらくロゴマークの
寿命も、そうでないロゴマークに比べて長くなる可能性がある。
そしてそんな仕事を重ねていくことで、何歳になっても、新しいアイデアや引き出しが増えていって、それが次の仕事に
繋がってゆくように思う。

とどのつまり、何かを創るということが、やっぱりワタシは理屈抜きで好きなんだろうな(笑)
コメント (2)
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