rock_et_nothing

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怒らない日本人が、唯一瞬間爆発するもの

2012-03-19 00:56:08 | つぶやき&ぼやき
何が起こっても、辛抱強く耐え忍ぶ日本人。
というか、わが身に直接日常的に降りかかる災厄として、一番危惧しているもの、それは”食”。
これは、いたるところに密に埋められている、まさに地雷。
BSE問題による肉牛、中国の毒入り餃子、食品偽造問題などが、記憶に新しいだろう。
たしかに、生命・健康に密接にかかわることなだけに、市民の関心は高い。

しかし、それだけが我々を脅かす問題ではないのだ。
末期症状を迎えている病巣は、ちょっと見渡しただけでも山と転がっている。
少子高齢化と人口減少、それに伴う税金・年金・保険の問題、産業構造の歪化、累積赤字国債の肥大化、雇用問題、ありすぎて枚挙しきれない。
また、大震災による復興のあり方、原発今後、放射能汚染問題も新たに加わり、既存の問題と複雑に絡み合い、事態を一層深刻化させている。

今日、NHKのETV特集「生き残った日本人へ-髙村薫 復興を問う-」を見た。
簡単に言い切れない重い問いが我々にのしかかっていると、高村薫氏は言う。
未来を見据え、理性を持って考えなくてはないらない。
今まで築き上げた繁栄と、その成功体験によった、実情と乖離した政策論争に明け暮れていては、何にもならず、真の復興に導けないと。
国民全てが、価値観を新たにし、それによって失わなくてはならないものへの痛みに耐える覚悟が、迫られているとも。
何を失うかの、その当事者の立場に立てば、どれだけの痛みに耐えなければならないのか、想像に余りあるけれども。

理性を保つことは、至極難しい。
わが身に起こる災厄によって、いとも簡単に理性は吹き飛んでしまう。
だから、特に日本人において目立つのは、”食”の安全性に関することで、あっという間に関心と怒りは頂点に達する。

でも、そうとばかり限らないことを、今目撃している。
本当のところは、厚いベールに包まれてなんともいえないが、”情”に訴えかけ、頻繁に広報することで、この”食の安全性”に対する疑念と不信を押さえ込んでいることだ。
諦めて納得している者ばかりではないだろうに。

あの震災で変わったであろう価値観が、はっきり意識化されるのに長い時間がかかると言う高村薫氏。
生きている人の生活は、日々続く。
10年とかのんびり待ってはいられない。
既に、1年が経過した。
万全の策などありえるはずはない。
10年20年100年先を見据えた、より良い未来を築くための地に足をつけたヴィジョンを打ち立て、旗を掲げるものよいでよ。
改革には苦痛を伴うと、先ごろの政治家はよく口にするが、自分とその周りの者の保身を確保しての方便に使われてきたから、要注意。
市民は、よく曇りない眼を見開き、私利私欲を捨てて、いまこそ未来を明るいものにする覚悟と努力を負わなければならないだろう。
”食”だけではなく、その真っ当な怒りを爆発させるのだ。