ダフニスとクロエ
泉のほとりのダフニスとクロエ
シャガールはお好きですか?
今では、シャガールもいいものだと思うようになった。
彼の豊かな色彩、浮遊感が支配する画面、幸せな恋人達、大きな花束、広大なロシアの大地と農村、ロバやウシにニワトリ、それらはシャガールの心を占めている。
かつての若かった自分は、そんな彼の絵の甘さに辟易としていたのだが、たぶん、彼の絵を観て不快に思う人はあまりいないはずなのだ。
歳を重ねて、いいことばかりではない現実に疲れていると、絵の中ぐらい絵空事の甘い夢を追ってもかまわないと思うようになったから、なおのことシャガールの絵が訴えかけてくるのだと思う。
アベノミクスで明るい兆しを見せ始めた日本経済に、そのまま心を沸かせるもよいだろう。
バブル経済の恐ろしさを思って慎重に、遠く先を見据えた実のある経済活動を目指すもよかろう。
ただし、他人を道具の一つと見做す殺伐とした世の中にはしないでもらいたいものだ。
未来に負の遺産を増産するのを止めてもらいたいものだ。
きっと、多くの人の愚行を見続けたシャガールは、愛の楽園を描くことで自らも癒しを求めたに違いない。
今また、さらに危なっかしいバブルの再来が、我々にシャガールを引き寄せる、そういう時代の流れを感じるのだ。
サーカスの踊り子