rock_et_nothing

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ホイッスラー、絵画の真髄へ一足先に歩み出た画家

2014-03-05 23:18:07 | アート

Symphony in White no 1 - The White Girl - Portrait of Joanna Hiffernan


Mrs. Frederick R. Leyland

ジェームズ・マクニール・ホイッスラーは、ギュスターブ・クールベらと共に活動した時期もある19世紀後半に活躍した、アメリカ生まれのコスモポリタンな画家だ。
リアリズム派とも印象派とも違い、ラファエロ前派や象徴主義とも一線を画す、ホイッスラーの世界を確立している。
抽象化が進んでいる風景画は、ターナーの系譜を継いでいると見えなくもない。
人物画でも、抽象的構成を取り入れて、絵画における表現の根幹へと一人降り立つホイッスラーは、他の画家たちと見ている先が異なっている。
二次元の平面の中に三次元を再現することを主流にしてきた西洋絵画の基礎に、風穴を開ける企み。
また、絵画が目的とする区切られた空間の中での色の配置と量の均衡調和をよりシンプルな形で突き詰めようとする試みが斬新であった。
一見茫洋とした画面と感じ取れるかもしれないけれど、いやかつては自分はそう思っていた、実はとてつもないことをホイッスラーはやってのけているのだ。
具象的なものを押さえ込んだ絵作りで、色と形の共鳴を作り上げる。
それは一寸戦慄ものだ。
ホイッスラーの絵を見直してみていると、背筋がぞくぞくすると同時に心が震えてくる。
オルセー美術館に、彼の母をモデルに描いた『灰色と黒のアレンジメント-母の肖像』が収蔵されているが、未熟な自分はその絵に深く感動できなかった。
いまならば、隅々まで神経が行き届いた構成を理解し、絵に深く迫れる自信が少し持てたと思うのだ。

なんと、ホイッスラーのことを調べていたなら、ホイッスラー展が今年の9月から京都国立近代美術館で、12月からは横浜美術館で開催されることを知った。
できるならば展覧会に足を運んでみたいと考えている。






NocturneGreyandGold-CanalHolland


Nocturne in Blue and Gold