rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

景色は待ってくれない

2014-03-22 23:23:06 | 随想たち
好きだった景色が失われてしまった。
それに気がついたのは、一週間ほど前。
小さい人を病院に連れて行った帰り道、視界に入ったお気に入りの場所に違和感を覚えると、あるべき木が切り倒されていた。
病気が入ったのか、それとも雪の重みで木が裂けたのか、それとも邪魔になったから切ったのか。
ともかく、もうあの景色はなくなってしまった。
ずっと思っていた、その景色を写真に撮りたいと願っていた。
ところが、いつでも写真は撮れると高をくくっていて、本当はいつまでも在るなどということがありはしないことを忘れて油断したのだ。
ときどき家人と話している、何気ない風景も写真におさめておこうと。
それなのに今回の失敗。
最近このあたりで木を切るのが流行っていたのに、迂闊だった。
今日、またその場所の近くを通ると、切り倒された木が切り分けられ横たわったままにある。
それは痛々しく、あたかも私の後悔の墓標の象徴として網膜に刻み込まれたのであった。