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古よりの港町マルセイユ

2014-04-26 23:03:51 | 街たち
「にじいろジーン 地球丸ごと見聞録」地中海に面したフランス最大の港町マルセイユ。
海を一望できる小高い丘の上に立てられたノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂は、聖堂内に多くの船の模型がつるされており、古くより海と船の守り神として崇められる。
ベルジュ埠頭は、その日獲れたての魚介類を漁師自身が売る市がたつところ。
市民ばかりではなく、レストランを営む料理人たちも新鮮な魚を求めて訪れる。

港町ならではのグルメ。
「シェ・ルーリ」は、もともと漁師が体を暖めるために作っていたものだが、今では高級料理に格上げされた絶品”スープ・ド・ポワソン”がおすすめ。
よい出汁の取れるそのときある新鮮な小魚を使い、サフラン、トマトペーストを入れて煮込み濾して作る。
それに、”ルイユ”というニンニク、卵黄、チリパウダー、オリーブオイルなどで作る辛味のあるペーストをパンに塗ってスープに浮かべたり、ブイヤベースの具材につけて食べる。
「ラ・ボワット・ア・サーディン」は、ランチタイムしか営業しない魚屋兼レストラン。
客自ら店頭の魚屋で選んだ材料を調理してもらう方式。
ポピュラーなのは舌平目、ヨーロッパでは魚の女王とも言われている。
アフリカや中東への玄関口であることが関係するのか、ヒヨコ豆の粉で作った生地を揚げる”パニス”は、フライドポテトよりもっちりした食感そして味がして、マルセイユのスナック的存在だ。
味わいたければ「ル・グスタード・デ・レスコッタ」に行ってみるといい。

マルセイユといえば、マルセイユ石鹸をご存知の方も多いだろう。
100年以上も歴史のあるこの石鹸を「サヴォヌリー・マルセイエーズ・ド・ラ・リコルヌ」では、今も当時の製法を守り作っている。
72%以上配合のオリーブオイル、地中海の海水から抽出したミネラルなど天然由来のものを使い手作りする。
「アルデラ」は、手作りサントン人形専門店。
プロヴァンス地方の衣装をまとったこの地方で働く人々をモチーフにしたこの人形は、もともとキリスト教の教えをわかりやすい形にして聖人などを模していたが、18世紀フランス革命のころ今の形になったという。
ほか、壁に飾る植物として広まった観葉植物のスタイルを編み出したアーティストの店「レ・ジャルダン・デ・ト」がある。

マルセイユから車で北へ30分にある古代ローマ時代から栄える都市エクス・アン・プロヴァンスは、中世には芸術と学問の街へと変わっていく。
ここは、画家のポール・セザンヌが晩年アトリエを構えたところでもあり、今もそのアトリエは保存されている。
庭からは、セザンヌが終生描き続けた灰色の岩山サント・ヴィクトワール山を望むことができる。
「レスプリ・デ・リュ」には、15世紀インドより伝わったインド更紗の模様の影響を受けたプロヴァンス・プリントの製品がおかれている。
豊富な湧き水があることでも有名なこの街には、噴水が100箇所以上ある。
「テルム・セクスティウス」では、この豊富な湧き水と温泉を使ったリラクゼーションを提供する。

プロヴァンス地方では、赤ちゃんが生まれる前に、赤ちゃん用部屋にニンニクを飾る習慣があった。
古来よりニンニクをよく食べるこの地方において、ニンニクはパワーの源、転じて象徴となり、こどもの幸福を願うに適していたのだろう。
親の願いは、子供の幸福と健康。
海と太陽に恵まれたところならではのおまじない。
花束のように束ねられたニンニクは、親の子供を案ずる気持ちがよくあらわれている。

かつて駆け足で訪れたマルセイユ。
映画「TAXI」でもおなじみの風景を、今ひとたびこの目で見、風を感じたい。