🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!
26『ピンクのメモ』
「なんで桜子が……?」
手渡されたジャージを持て余して、目の前の桜子に聞いた。
「ちゃんとドライクリーニングしてあるそうだから」
「それって……?」
「じゃ、校内放送の朝番だから、先に行くね」
そう言うと、桜子はエスカレーターを駆け上がり、一本早い電車に乗って行った。
――なんだか、機嫌が悪かったよな……桜子――
今日から学年末テストで、オレは、いつになくテストに集中していた。
落第するような成績じゃないけど、ボンヤリしていたらオール3ということになりそう。3年の一学期で評定平均が3・5はないと、楽ちんな特別推薦が受けられない。だから、遅ればせではあるけど最低の努力はする。
「なに無駄な努力やってんだ」
一時間目の数Ⅱが終わると、八瀬が憎まれ口をたたきに来た。
「キリギリスにはなりたくないからな」
「ちょっと遅いって気はするが……これ、読んどけ」
そう言うと、八瀬には似つかわしくないピンクのメモを置いていった。
――テストが終わったら保健室に来てください 春奈――
え、春奈先生が?
ふつう先生からの連絡は担任から来る。メモであっても、保健室に備え付けのものを使うはず……個人的なことなのかな?
そう思いながら、二時間目のテストが終わると保健室に向かった。
「失礼します」
「そこに座って」
書類を書きながら春奈先生が呟く。
「なにか……御用ですか?」
「わたしじゃないけどね……」
そう言うと、春奈先生は、カーテンで遮断されたベッドの方に目を向けた。
「もう、出てきていいわよ」
「……はい」
そう言って出てきたのは、なんと三好紀香だった!?