大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

まりあ戦記・052『ちょっと、なに、これえ!?』

2021-01-17 09:20:02 | ボクの妹

・052

『ちょっと、なに、これえ!?』   

 

 

 わたしの家はカルデラ(特務旅団の基地)の中にある。

 

 最初は、わたしのボディーガード兼影武者のマリア(ロボット)と暮らしていたんだけど、マリアがテロに遭って影武者の任務に付けなくなってからは高安みなみ大尉のマンションに同居している。

 わたしと同居するにあたってみなみ大尉の部屋は拡張された。

 それが、観音(かのん)のお寺から帰ってみると、また拡張されていた!!

「ちょっと、なに、これえ!?」

 驚きの声をあげたのはみなみ大尉。

 今朝までは、わたしと大尉の部屋以外はキッチンとリビングがあるきりだったのが、お隣りの壁をぶち抜いて三つも部屋が増えている。

 わたしの部屋はそのままで、同じ規模の部屋が二つ。

『光子の部屋』と『ナユタの部屋』

「うわあーーーナユタの部屋だあ(#^▽^#)!」

 ナユタは走り回って喜ぶ。光子さんは諦めたようにため息をつく。

「今日からは姉妹なんだからな、一つ屋根の下に住んで当たり前だ」

「でも、少佐! わたしの部屋が倍の広さになって、ダブルベッドというのは、どういわけですか!?」

「そりゃあ、俺と大尉は夫婦なんだから、ダブルベッドで当然だろ(#^▽^#)」

「あ、ありえないんですけどおおお!」

 その時、開けっぱなしにしていたドアから徳川曹長が顔をのぞかせた。

「少佐、こんなもんでよかったですか?」

「上出来だ、感謝するぞ曹長」

「と、徳川くん、あ、あんたの仕業だったのかあ!?」

「仕業なんて言わないでくださいよ、任務としてやったんですから」

「に、任務う!?」

「はい、舵司令の。あ、書類はこれです」

 徳川さんが出した書類を見て、みなみ大尉の怒りと驚きはマックスになった。

「これって、婚姻届けえ!?」

「はい、大尉と少佐は晴れて夫婦になられ、中原、まりあ、ナユタの三少尉はお二人の娘です。こちらが戸籍謄本、こちらが住民票、これが健康保険で……」

「ちょ、徳川くん(#'='#)!」

「大尉、おまえも任官の時に服務宣誓をやったろうがあ」

「服務宣誓……」

「曹長、聞かせてやってくれ」

「ハッ!」

 徳川さんは胸ポケットから軍人手帳を出し、姿勢を正して朗読した。

「『事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います』で、あります!」

「ということだ。まりあの面倒をみろというのは、みなみ、君の願いでもあったんだからな。そうだろ~」

「ググググ……」

「住居と法的手続きについては完了ですが、作戦に関わる工事が未了です。少々騒音や振動がありますが、ご承知おきください」

「ああ、そっちの方は、住居をセットするようなわけにはいかんだろうからな」

 ドドドドドドド!

 少佐の言葉が合図であったかのように、足もとから騒音がし始めた……!

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誤訳怪訳日本の神話・4『日本列島を生む!……その③』

2021-01-17 06:34:18 | 評論

訳 日本の神話・4
『日本列島を生む!……その③』
     


 書き落としましたが、淡路島を生む前にイザナギ・イザナミは淡島を生んでいますが、この子も具合が悪く流されています。

 で、早とちりでイザナギが「これは、女子から声かけたんでまずかったんだぜ。今度はオレの方から声かけて、やり直してみよう!」と書きましたが、二人は、それまでに天上の神さまにお伺いをたてます。ただ古事記には天の神さまとあるだけで、具体的には書いていません。
 まあ、物語的には、その後の淡路島以下の島々を生む描写を際立たせるためのハッタリ的描写なんだと言われています。

 しかし、こういうハッタリにこそ、時代の背景や民族性が出るものです。

 天界の神さまは、鹿の肩甲骨を持ってきて、これを火で焼いて、そのヒビの入り方で占います。日本史の授業で古代の占いの方法で習う「太占(ふとまに)」が、まさにこれです。そして「女から声をかけたのが良くない」という卦が出ます。
 ここから、古代の占いの方法と、それが広く一般的に行われていたこと。そして、この古代においても女から男に声を掛けるのは少しハシタナイと思われていたことなどがうかがわれます。

 で、ハッタリの民族性ですが、従軍慰安婦や南京大虐殺の『日本軍の蛮行』が日本的ではなく、ひどく水滸伝などに出てきそうな大陸的な残虐性で表現されていることを思い浮かべます。日本人は人を殺すのに、あまり残虐な方法はとりません。大概一気に命を絶っています。

 中世から近世にかけて「のこぎり引き」という刑法がありました。

 罪人を首まで土中に埋め、のこぎりで、みんなが一切りずつやっていくというのですが、実際は手馴れた処刑者が一気に頸動脈を切ったようです。日本の中世というのは、例外的に人の殺し方にバリエーションがあった時代ですが、大陸のそれには及びません。
 江戸時代も形式的には「のこぎり引き」は残っていましたが、ほとんど形式だけで、実際に生きた人間の首をのこぎりでひけるものではありません。実際はのこぎりでひくものがおらず、罪一等減じて島流しなどですませています。
 脱線の脱線ですが、江戸時代酔っぱらいが、その気になって罪人の首をのこぎり(形式化していて、木製でした)で一ひき。
 罪人が悲鳴を上げたので、番所の役人が慌てて出てきて保護したという記録があります。

 脱線ついでに拷問の話。  「蝦責め」の画像検索結果

 時代劇を見て居ると、しょっちゅう拷問をやっていますが、実際に拷問をするのは江戸では老中、大坂では大阪城代の許可がなければできなかったようです。
 こんな長閑な話が残っています。
江戸末期に大泥棒が捕まり、仲間の名前を吐かせるために、海老責めという拷問にかけることになったのですが、役人の誰もやったことがありません。そこで記録を調べると50年前にやったことがわかり、もう隠居していた当時の役人を呼び出して、見学のために奉行所の役人が大勢集まったという記録があります。うる覚えなのですが、老役人も忘れてしまい、ああでもない、こうでもないとやっているうちに、たまらなくなった罪人は白状したようです。

 本題に戻ります。

 淡路島を生んだ後、四国、九州、本州などの島々……本当は、本州などは大倭豐秋津島(おおやまととよあきつしま)別命アマツミソラトヨアキツネワケなどと言いますが、とてもややこしいので、総称の大八島としておきます。
 八はたくさんという意味で大八島、八島は日本の美称にもなっており、日露戦争の前に、どうしても強力な海軍力が必要だということで、イギリスに発注して八島という戦艦を建造しています。
 旅順港の閉鎖に他の艦艇共々使われましたが、1904年ロシアの機雷に触れて僚艦初瀬と共に沈没しています。この時の機雷は、日本艦隊の動きを観察していたロシア海軍の頭のいい将校が「日本艦隊は、毎日同じコースを走ってくる」ことに気づいて、試しに仕掛けたら大当たりしたという背景があり、悲しいまでの日本人の律義さと規則性が出ています
 ちなみに、この日は5月15日で、後の5・15事件も、この日で日本にとっては厄日であります。

 で、わたしの誕生日も同月同日で、そのせいか、もうひとつ運がよくありません、嗚呼嘆息!

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妹が憎たらしいのには訳がある・33『葉桜の木陰』

2021-01-17 06:12:19 | 小説3

たらしいのにはがある・33
『葉桜の木陰』
          

    


「僕の姿が見えるようだね……僕が何者かも」

 言われてみればその通りだ。死んだ人が見えたり、その人が佐伯雄一さんだというのは俺の思いこみだ。
「思いこみじゃない。キミたち兄妹の力だよ」
「俺たちの?」
「ああ、向こうの妹さんは気づかないふりをしてくれている」
「佐伯さんは、その……」
「幽霊だよ。今日は、こんなに賑やかに墓参りに来てくれたんで嬉しくてね」
「すみません、亡くなった方を、こんな風に利用して」
「パパは、そんな風に思ってないわよ、お兄ちゃん」
「パパ?」
「墓石の横に、千草子の名前が彫ってあっただろ」
「ええ、今度のことで、ある組織がやったんです。申し訳ありません」
「いや、あれは、元からあるんだよ。ただ、赤く塗ったのは、その組織の人たちだがね」
「それって……」
「千草子ちゃんは、実在の人物だったの」
「もう、十年前になる。僕たち夫婦は離婚して、千草子はボクが引き取っていた。家内は女ながら事業家で、世界中を飛び回っていた。僕は絵描きで、ほとんどアトリエ住まい。それで、子育ては、僕の方が適任なんで、そういうことにしたんだ……」
「月に一回は、家族三人で会うことにしていたの」
 チサちゃんは、まるで自分のことのように言う。
「あのときは、別れたカミサンが新車を買ったんで、試乗会を兼ねてドライブに行ったんだ……」

 ……その光景がありありと見えた。

 六甲のドライブウェーを一台の赤い車が走っている。
 車はオートで走っていて、親子三人は、後部座席でおしゃべりしている。

「昔は、人間が運転していたの?」
 幼い千草子ちゃんが、興味深げに質問した。
「今の車だってできるわよ。千草子が乗るような幼稚園バスや、パパの車は、いつもはオートだけどね」
「パパは、実走免許じゃないからね。車任せさ」
「あたし、実走免許取ったのよ」
「ほんとかよ!?」
「ストレス解消よ。そうだ、ちょっとやって見せようか!?」
「うん、やって、やって!」
 千草子ちゃんが無邪気に笑うので、ママは、その気になった。
「おい、この道は実走禁止だろ。監視カメラもいっぱい……」
「ダミー走行のメモリーがかませるの。ウィークデイで道もガラガラだし」
 ママは、千草子ちゃんを連れて前の座席に移った。

 そして悲劇が起こった。

 同じように実走してくる暴走車と峠の右カーブを曲がったところで鉢合わせしてしまったのだ。不法な実走をする者は、監視カメラや衛星画像にダミー走行のメモリーをかますために、衛星からの交通情報が受けられない。二台の実走車は前世紀のロ-リング族同様だった。ママの車はガードレールを突き破り、崖下に転落。
 パパは助かったが、ママと千草子は助からなかった。
 そして、佐伯家の墓に、最初に入ったのは千草子だった。

「そして、先月、やっとわたしもこの墓に入ることになったんですよ……」
「チサちゃんは?」
「転生したか、ママのほうに行ったか。ここには居ませんでした」
「そうだったんですか……」
「千草子が生きていれば、ちょうどこんな感じの娘ですよ」
「感じも何も、わたしはパパの娘だよ。パパこそ自分が死んでるってこと忘れないでよ」
「ああ、もちろんだよ。千草子、なにか飲み物がほしいなあ」
「なによ、自分じゃ飲めないくせに」
「雰囲気だよ、雰囲気」
「はいはい」
 チサちゃんが行くと、佐伯さんは真顔になった。
「太一君」
「はい」
「幽霊の勘だけどね。しばらくは平穏な日々が続くが、やがて大きな争乱になる。どうか、千草子……あの娘さんのことは守ってやって欲しい。君は巻き込まれる運命にあるし、それに立ち向かう勇気と力がある」
「佐伯さん……」
 握った、その手は、生きている人間のように温かかった。

「お兄ちゃん、パパは?」

「日差しが強くなってきたんで、お墓に退避中」

 オレのいいかげんな説明を真に受けて、幸子に呼ばれるまで葉桜の側を離れようとしないチサちゃんだった……。

 

※ 主な登場人物

  • 佐伯 太一      真田山高校二年軽音楽部 幸子の兄
  • 佐伯 幸子      真田山高校一年演劇部 
  • 千草子(ちさこ)   パラレルワールドの幸子
  • 大村 佳子      筋向いの真田山高校一年生
  • 大村 優子      佳子の妹(6歳)
  • 桃畑中佐       桃畑律子の兄
  • 青木 拓磨      ねねを好きな大阪修学院高校の二年生
  • 学校の人たち     倉持祐介(太一のクラスメート) 加藤先輩(軽音) 優奈(軽音)
  • グノーシスたち    ビシリ三姉妹(ミー ミル ミデット) ハンス
  • 甲殻機動隊      里中副長  ねね(里中副長の娘) 高機動車のハナちゃん

 

 

 

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