静かな雨です、庭にも入れません。今日は「古」の本でも繙きます。

                  
                     　　2015-8-31-  「花魁草」散り始めました。

　　　あなた

　随分長い間楽しませてくれた「花魁草」静かに消えていくようです。

　昨夜來の雨です。

　今は音もなく、靄（もや）が、かかっている様にただ、烟っています。

　これが、一入「秋」の淋しさをまし、外は寒くないのに背筋が「ゾクッ」と

　する様な冷たさを感じます。

　朝だというのにまるで夕方のような侘しさをたたえている「秋」。

　だから、嫌い。

　ついこの間まで草叢で集いて（すだく）いた、虫の音がきこえない。

　あなた

　好き嫌いで、季節が巡る訳じゃないけど一人になって、より深く「秋」の

　侘しさを感じさせられます。

　あなたが居た頃は、むしろ、すきだった「秋」。

　環境の変化が、人間の感情まで変えてしまうのだと、つくづく思い知らされ

　ました。

　雨はまだ降ってますが、少し明るくなってきました。

　風もなく、穏やかな「秋」の日。

　

『なにしおはば　あふさかやまの　さねかづら　

　　　　　　　　　ひとにしられで　くるよしもがな』　（三条右大臣）

　『つきみれば　ちぢにものこそ　かなしけれ　

　　　　　　　　わがみひとつの　あきにはあらねど』　（大江千里）

　秋を詠んだ、二首。

　優雅に暮らした平安の人も、やはり秋は物悲しかったのでしょうね。

　あなた

　今日は、庭にも入れません。

　静かに「古」の本でも繙きます。