“学習する”ということは、どのように理解されるか、少々ややこしい課題ですが、“塗り絵用キャンバス”と“ミツバチ”の働きを絡ませながら、シミュレーションを交えてマンガチックに噛み砕いて見ていきます。
以下、読み進むに当たって、前回提示したニューロンやシナプスについての写真1および2を参照されますようお勧めします。
まず“塗り絵用キャンバス”は、固定的なものではなく、刻々と変化しているものであることを押さえることから始めます。それには、受精後、胎児での成長過程、また出生後の成長・発達過程を見ていくことが最良の方法かと思われます。
胎生期にあっては、神経細胞は分裂を繰り返して増殖し、移動もする。また軸索を伸ばしていくとともに、樹状突起も発達させていきます。最終的に、ニューロンとして機能するための生化学的特性を発現させます。
生化学的特性とは、本稿に関連して言うなら、神経伝達物質や神経栄養因子の産生など、生命活動を自己調節するに必要な化学物質を産生する能力、あるいはそれら化学物質によるニューロン同志の情報のやり取り(化学物質による“会話”と言えるか?) などが可能となるような特性と考えればよろしいでしょうか。
ニューロン自身の成長と相まって、他のニューロンとのシナプス形成も進み、神経ネットワークが出来上がっていきます。その際、脳内の部位により、機能の分化も進み、部位による機能の特殊化や、他の部位との連絡もまた特化が進んで行きます。
神経細胞の増殖、軸索や樹状突起の発達は無方向性に、“ヤミクモ(?)に”進み、過剰に作られていく。しかし後に、シナプス形成につながらなかったニューロンでは神経細胞は死滅し、軸索が退縮していくという。
胎児期におけるネットワークの構築は、ほぼ遺伝子のプロガラムで決定されたもののようです。またこの段階で出来たネットワークは非常に大まかなものであって、細かいことは、後に修正されていくようです。
この状況は、塑像を作製する過程に譬えられています。すなわち、まず柔らかな素材で大まかな像を作ります。十分に固まったところで、作者の意図に合わせて不要部分を削り取り、表情豊かな塑像の輪郭に仕上げます。先に、写真で紹介させてもらった、井上楊彩作『目覚めの刻』の作製過程が想像されます。
胎生期におけるこれらニューロンの成長、シナプス形成、ネットワークの構築には、やはり脳由来神経栄養因子(BDNF)を含めた多くの栄養因子が関与していることでしょう。
ただし、これらの栄養因子はどのように供給されるか?遺伝子のプログラムに従って胎児脳内で生成されるのか、または母体からの供給によるのか?両方が働いているように思われますが、詳細は不明です。
10か月の胎児期を経て、生まれ落ちる頃には、脳内の神経ネットワークは大まかに完成している状態にあります。以後、神経細胞が分裂を繰り返して増えることはないというのが、ほぼ定説のようです。しかし少年期・青年期を通じて経験、学習を積むにつれて、新しいネットワークの構築が進み、より複雑になっていくことでしょう。
出生後、分裂による神経細胞の増加はないにしろ、神経幹細胞の分化による新しい神経細胞の誕生はあるようです。さらに軸索や樹状突起の成長は胎児期と同様に進行していきますが、その進行は年齢とともに速度、量ともに減少していくのでしょう。
いずれにせよ、生涯を通じて、その起源は同一でないにせよ神経細胞は増える可能性があり、また軸索が伸び、樹状突起が成長して、シナプス形成からネットワーク構築へと進んでいきます。ただ、それぞれの変化の大きさや速度は、胎児期、少年期、青年期、壮年期以後で異なるでしょうが。
以上のように“塗り絵用キャンバス”とは、現在進行形で変化している動的状態の一時点の状況と言えます。実際には、ここでは認知能が話題となる出生後、壮年期以後の一時点を念頭においています。
認知能を考える上で非常に重要と思われるので、次回では、“学習する”ということについて、シミュレーションをしながらもう少し詳しく考えていくことにします。
以下、読み進むに当たって、前回提示したニューロンやシナプスについての写真1および2を参照されますようお勧めします。
まず“塗り絵用キャンバス”は、固定的なものではなく、刻々と変化しているものであることを押さえることから始めます。それには、受精後、胎児での成長過程、また出生後の成長・発達過程を見ていくことが最良の方法かと思われます。
胎生期にあっては、神経細胞は分裂を繰り返して増殖し、移動もする。また軸索を伸ばしていくとともに、樹状突起も発達させていきます。最終的に、ニューロンとして機能するための生化学的特性を発現させます。
生化学的特性とは、本稿に関連して言うなら、神経伝達物質や神経栄養因子の産生など、生命活動を自己調節するに必要な化学物質を産生する能力、あるいはそれら化学物質によるニューロン同志の情報のやり取り(化学物質による“会話”と言えるか?) などが可能となるような特性と考えればよろしいでしょうか。
ニューロン自身の成長と相まって、他のニューロンとのシナプス形成も進み、神経ネットワークが出来上がっていきます。その際、脳内の部位により、機能の分化も進み、部位による機能の特殊化や、他の部位との連絡もまた特化が進んで行きます。
神経細胞の増殖、軸索や樹状突起の発達は無方向性に、“ヤミクモ(?)に”進み、過剰に作られていく。しかし後に、シナプス形成につながらなかったニューロンでは神経細胞は死滅し、軸索が退縮していくという。
胎児期におけるネットワークの構築は、ほぼ遺伝子のプロガラムで決定されたもののようです。またこの段階で出来たネットワークは非常に大まかなものであって、細かいことは、後に修正されていくようです。
この状況は、塑像を作製する過程に譬えられています。すなわち、まず柔らかな素材で大まかな像を作ります。十分に固まったところで、作者の意図に合わせて不要部分を削り取り、表情豊かな塑像の輪郭に仕上げます。先に、写真で紹介させてもらった、井上楊彩作『目覚めの刻』の作製過程が想像されます。
胎生期におけるこれらニューロンの成長、シナプス形成、ネットワークの構築には、やはり脳由来神経栄養因子(BDNF)を含めた多くの栄養因子が関与していることでしょう。
ただし、これらの栄養因子はどのように供給されるか?遺伝子のプログラムに従って胎児脳内で生成されるのか、または母体からの供給によるのか?両方が働いているように思われますが、詳細は不明です。
10か月の胎児期を経て、生まれ落ちる頃には、脳内の神経ネットワークは大まかに完成している状態にあります。以後、神経細胞が分裂を繰り返して増えることはないというのが、ほぼ定説のようです。しかし少年期・青年期を通じて経験、学習を積むにつれて、新しいネットワークの構築が進み、より複雑になっていくことでしょう。
出生後、分裂による神経細胞の増加はないにしろ、神経幹細胞の分化による新しい神経細胞の誕生はあるようです。さらに軸索や樹状突起の成長は胎児期と同様に進行していきますが、その進行は年齢とともに速度、量ともに減少していくのでしょう。
いずれにせよ、生涯を通じて、その起源は同一でないにせよ神経細胞は増える可能性があり、また軸索が伸び、樹状突起が成長して、シナプス形成からネットワーク構築へと進んでいきます。ただ、それぞれの変化の大きさや速度は、胎児期、少年期、青年期、壮年期以後で異なるでしょうが。
以上のように“塗り絵用キャンバス”とは、現在進行形で変化している動的状態の一時点の状況と言えます。実際には、ここでは認知能が話題となる出生後、壮年期以後の一時点を念頭においています。
認知能を考える上で非常に重要と思われるので、次回では、“学習する”ということについて、シミュレーションをしながらもう少し詳しく考えていくことにします。
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