雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

エボラ出血熱 (3) ーアメリカに侵入ー

2014-12-04 16:00:00 | 昨日の風 今日の風

エボラ出血熱(3) アメリカに侵入―

 このおぞましいウイルスは何処から来たのか。

アフリカの熱帯雨林の奥深くで密かに増殖し、動物の体内に侵入し人間社会に恐怖をまき散らす。

感染源は?感染媒体は? 再びサイエンス・ノンフィクション「ホット・ゾーン」の記述を見てみよう。

 アフリカの熱帯雨林のなかからウイルスに感染した患者の悲惨な症状を描き、1976年のエボラと人類の出会いを経て、

舞台は最初の出会いから13年後の1989年のアメリカへ移る。

 バージニア州レストン霊長類検閲所。

熱帯各地からアメリカに輸入されてきたサルが全米各地に輸送される前に1カ月とどめ置かれる検閲所・モンキーハウスだ。

 ここで、大量のサルが死んだ。

死因究明は検閲所の獣医には荷の重すぎる仕事だった。

依頼を受け、最初に死亡したサルから抽出した血清のサンプルを分析したのは、アメリカ陸軍伝染病医学研究所実験技師だった。

電子顕微鏡に映し出されたウイルス。それは最も凶暴で致死率が50~90%にも及ぶエボラ・ザイールだった。

信じられない光景だった。

西アフリカで発生したエボラウイルスが、アメリカに侵入してきたのだ。

 いずれのサルも、それぞれの檻のなかで体を丸めていた。

鼻は血に染まり、薄く開いた眼は充血し、瞳孔も開いている。

いずれのサルも無表情で、苦痛や苦悩の色はつゆほども示していない。

顔の結合組織(筋肉)がウイルスに破壊されてしまったため、顔全体がかすかに歪んでいた。

表情をコントロールする脳の部位が破壊されたことも、奇妙な表情の一つだった。

仮面のような顔、赤い目、血まみれの鼻はサルと人間とを問わず、

エボラウイルスに感染したすべての霊長類に現れる古典的な症状である。

 ただぼんやりと虚空を眺めているものもいた。

その顔は仮面のよぅに硬直し、体中の穴から血が流れていた。

血は檻の下の金属の受け皿にも落下していた……ポタッ、ポタッ、ポタッ。

                       (「ホット・ゾーン」より抜粋)

アメリカ・バージニア州で発生した、サルの大量死が、エボラウイルスに起因するものだという、

このバイオハザード(微生物災害)に対しサル皆殺し作戦が密かに開始される。                 

                                        2014.12.04 (つづく)

 

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