一年が過ぎたね
翔よ
君が彼岸へ旅立ってから、一年の時が流れたのですね。
あの日から、とても辛く、哀しい毎日が今も続いています。
まるで時が止まってしまったように……。
君のご両親や竹内の祖父母、茨城の私たちは
片時も、君のことを忘れたことはありません。
君が優しく慈しんだ、妹たちの机の上には、
君のこぼれるような笑顔の写真が飾ってあります。
妹の樹や優歩、あろ花たちがいつまでも君のことを忘れないようにと、
君が愛してやまなかった優しいご両親の、
君への思いやりを感じることができます。
君が可愛がっていた義行はまだ小さくて、
君がいなくなったことを理解できないと思いますが、
もっと大きくなった時に、ご両親や妹たちから君のことを聞いて、
「ぼくには優しいお兄ちゃんがいたんだ」と、
笑顔のこぼれる写真や学友たちが持ってきてくれた写真を見ながら、
「優しいお兄ちゃん」のことを思い浮かべることでしょう。
翔よ、
君の妹弟たちは元気に、君のように優しく、素直に
そして、明るく確実に成長していますよ。
ご両親や私たちには、このことが何よりも救いになります。
しかし、大切な君を喪った哀しみは大きく、
大きく開いた心の傷は、なかなか回復しません。
回復するには、まだまだたくさんの時間が必要です。
昨日も今日も、そして明日も……ずーっと続いていく悲しみかもしれません。
翔よ、
君のことは、忘れないよ
翔よ、
もう少し時間をください。
私たちは、きっと元気になれるから
「旅人になりたい」といった君は今、
天空を飛「翔」し、豊かな翼を広げながら、
昼も夜も、
君が生まれ育った安曇野の街を、
憧れだった北アルプスの山並みの上空を舞っているに違いない。
君の家の周りには、薪ストーブ用の薪が、積み重なっているよね。
君は今、その天空から君が育った家を眺めているのでしょうか。
君には見えるはずです。
あの赤々と燃え、家中をほんのりと暖かくする薪ストーブの火が。
もっと近づいてごらん。
君が焚いていた薪を、君がいなくなった今は
君のお父さんや、お母さんが焚いている。
君を喪った哀しみに耐えながら薪を焚くたびに、
君の在りし日の元気な姿を思い出しながら、
君のご両親は「最愛の翔」を喪った哀しみをひとつひとつ食べながら、
明日は、今日よりは少しだけ元気になりたいと、
心のなかで哀しみと戦っているのです。
翔よ、
だから、もう少し時間が欲しいのです。
いつの日か、君が羽ばたく天空に向かって
「おおーい、翔太郎よ、ここまで元気になれたよ」と、
物言わぬ君に語りかけられる日が来ることを誓います。
合 掌
2014年12月8日 翔の命日の日に