あむじいのいっしょに読もう(4)
「おおはくちょうのそら」今日のテーマは「家族と優しさ」です。
悲しいけれど優しさに満ちたお話です。
北海道の湖に少しずつつ春の兆しが見えてきました。
白鳥たちは、北の国に帰る準備を始めます。
昨日も今日も白鳥の家族が北の国に飛び立って行き、湖は日ましに寂しくなっていきます。
もう春がすぐそこまで来ているというのに、まだ出発できない家族がいます。
どうしたのでしょう。
子供が病気で飛ぶことができないのです。
仲間のいなくなった湖は静かにに暮れていきます。
「このこが げんきになるまで、きたの くにへ かえるのを おくらせよう」
お父さんが言うと、お母さんもうなずきました。
雪が解け、氷が解け、福寿草が咲き始めました。
でも子供の病気は一向に良くなりません。それどころかますます悪くなっていくようです。
お父さんは月を見て決心しました。
「北の国に帰ろう」
帰らなければ、残りの子どもたちを幸せにしてやることはできない。
断腸の思いで苦渋の選択をしたのです。
びょうきの こどもを かこんで、おやこは なきかわしました。
かなしい こえが、みずうみに ひろがって ゆきました。
病気の白鳥は飛ぶことができません。
お父さんが先頭で飛び立ち、子どもたちがその後を、最後にお母さんが飛び立ちました。
病気の白鳥も飛び立ったみんなも泣きました。
鳴き交わす声がだんだん遠くなり、皆の姿が山の陰に見えなくなってしまいました。
その時、お父さんを先頭に、飛び立った家族が山を越えて戻って来たのです。
もどって きた かぞくを みて あんしんした こどもは、
そのよる いきを ひきとりました。
みずうみに うつる つきの かげが、かなしい いろで ゆれました。
皆は、夜も昼も休まずに飛び続けて、北の国に帰り着き、お互いの無事を喜び合いました。
いつしょに くることのできなかった、
かわいそうな こどもの ことを おもいました。
そのとき、きたのくにの つめたいそらに、
しんだこどもの すがたが、ひかりかがやきながら うかびあがりました。
皆は、大空を仰ぎ、クオーッ、クオーッ クオーッと泣いて喜びあいました。
「あむじいのいっしょに読もう」は、ここからがとても大切な時間になります。
「病気の白鳥」の気持ちをみんなで一緒に考えよう。
「おいていかなければならなかったお父さんの気持ちや、みんなの気持ちを考えよう」
「家族って何だろう」「お父さんやお母さんの役割は何だろう」
みんなが感じたことを、自由に言ってください。
答えは一つではないよ。いろいろの答えがあっていいんだ。
自分の思ったことを、素直に言える雰囲気が出てきたら、この時間を子どもたちと共有できたことに、
「感謝」です。
今回のメンバーは小学新1年生、2年生、3年生を対象にしました。
(2017.4.8記)
小学123年生対象としてはずいぶん悲しいお話ですね。
中高年の私でも胸が痛くて今夜は眠れなくなりそうです。
きっとみんないっぱい泣いたでしょうね。
いろいろな感想が聞けたのでしょうか?
どんな感想かお聞きしたいです。
哀しいけれど、また読みたい、また読んでもらいたい、子どもたちがそう思ってくれるような素材を選んでいます。
「病気の白鳥が可哀想、私だったら置いて行かないでと泣いてしまう」 うーん、そうだね。寂しいね。
「一度、病気の子を置いて帰ろうとしましたが、すぐに戻ってきましたよね。どうしてでしょう」
やっぱり心配だったんだよ。
「そうだよね、でも今、北の国に帰れなかったら、もう帰れないかもしれないよね」
Aちゃんはどう思う。
しばらく考えていたAちゃん。
私は、どうしていいかわからい。
オレ、お父さんについていく、とBくん。
全体の意見としては、「どしていいのかわからない」という考えが多かったように思います。
お母さんに残ってもらえばいいと思う。と言ったのは、ちょつとおませな3年生の女の子でした。
お母さんと一緒に君も残るということも考えられるよね。病気が治ったらお母さんと一緒にみんなの後をおいかけるのもいいね。
なぜ残る人が君ではなくお母さんと思ったのかな。
わたしの心の中には、意地悪な質問が浮かびましたが、これは小学低学年では、少し酷な質問です。
聴く対象によって、読み方を変え、質問の内容も変えることにより、聴く子供により深い作品の理解が得られるように努力をしています。
「いっしょに読もう」には、ひとつの姿勢があります。
作者の原作を、いかに脚本化していくかということです。原作の意図するところを損なわずに、あむじい脚本の「おおはくちょうのそら」を演出できるかが、私の命題と思っています。
ろこさんの歯に衣着せぬブログを楽しく拝読させていただいています。
今後とも、よろしくお願いいたします。
なるほど。
「いっしょに読もう」の姿勢がよくわかりました。
子供たちの気持ちを尊重して、文字通り一緒に読もうという姿勢がにじみでていて、嬉しくなりました。
原作の意図するところを大切にですね。
ありがとうございました。
心があたたかくなりました。
子どもたちは、「アンパンマン」や「オバケのお話し」「恐竜のお話し」などもだいすきです。
このようなお話の時、私の演出は、「はじけます」。
大きな声を出し、とんだり跳ねたり、倒れたり。
子どもたちの飛び入りも大歓迎です。
「たのしく、まじめに、いっしょうけんめい」が
いっしょに読もうの意図するところです。