留学生ビジネス
留学生を食い物にするな! (2)
報道によれば、
東京福祉大学の留学生は5年間で15倍に膨らみ、約5千人におよぶ。
これは、全国で2番目に多い留学生の在籍者数だ。
5千人の在籍留学生の内、
所在不明者1610人の内の約7割が問題となっている「学部研究生」、
つまり、正規課程以外の学生だ。
大学側は「行き場のない留学生を救済した」と釈明しているが、
冗談じゃない。
大学は慈善事業ではない。
人材育成の場であり、
これからの社会を担っていく若者を「教育」という枠組みの中で育てていく機関だ。
「留学生救済の場」といいながら、人数に見合う事務職員が確保されてない。
教室の設備が整っていない、など教育環境は「救済」とは裏腹である。
なぜこんなことが起きてしまったのか。
要は、定員のしばりを受けない抜け穴として「学部研究生」の増やし、
「留学生」という海外の若者を利用し、
経営難の穴埋めのための資金稼ぎをしているのだ。
教育ではなく「留学生ビジネス」といわれる所以だ。
文科省によると、同大は28年度以降、
それまで数十人程度だった学部研究生を一気に1千~2千人以上に増やしたが、
入学者選考で求められる日本語能力水準を大幅に下回る研究生が多数在籍していた。
新学期から欠席し、そのまま所在不明になる研究生も多数いたという。(産経新聞)
この不祥事は、大学側と留学生相互の利益を共有した点になる。
大学は運営資金の獲得として、
留学生は在留資格と労働確保というメリットがある。
政府は08年に「日本を世界に開かれた国にする」として、
20年までに国内の外人留学生を30万人に増やす計画を打ち出したが、
目標の達成を優先するあまり、
関係機関のチエックが甘くなった(朝日新聞)のではないかと懸念します。
わが国では30万人の人が留学生の在留資格で働いている。
その多くが第三次産業のサービス業などに就労しているが、
若者たちの低賃金労働にも繋がっているという指摘もある。
この留学生問題は、将来を担って立つ若者の芽を摘み、
「留学生ビジネス」の対象としてしか見ない日本社会の歪みでもある。
若者が希望をもって将来のビジョンを描けない社会は、
健全な社会とはいえず、
やがて社会そのものが閉塞感の中で衰退してしまうことを
私たちは一人ひとりが危機感を持って考えなければならない。
(昨日の風 今日の風№98) (2019.6.29記)
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