雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

戦争は、人を狂わせる

2015-07-05 21:30:00 | 語り継ぐ戦争の証言

戦争は、人を狂わせる

 元BC級戦犯・飯田 進氏の証言(朝日新聞6月27日付、コラム記事「獄中で気づいた戦争の実相(上)」より抜粋。

日本刀を携えて偵察隊に随行した44年11月、ゲリラと疑われた現地住民の処刑に立ち会う羽目になった時の、飯田氏の述懐です。

 若い兵が命令を受け、男を銃剣で突刺すことになった。だが、腰が引けて致命傷を与えられない。血を流した男が目前によろけてきた時、剣道の心得があった氏は、とっさに抜刀してけさ懸けに切りつけていた。ぬれた雑巾をたたきつけたような感触。流れる血を見て吐き気がしたのを、今も覚えている。

 「あの時、なぜ自分は斬ったのか。

友軍を殺された復讐心からか。なぶり殺しを見かねたのか……。戦争は、人を狂わせるのですよ」。

 71年も前の記憶が、なまなましく言葉となって流れてくる。

極限状況の中で人間は、悪魔や鬼に変容していく。相手もまた一人のかけがえのない人間であることを忘れ、憎しみは増幅し、非道な残虐行為が連鎖的に繰り返される。

  敗戦翌年の46年、これらの罪に問われオランダ軍に逮捕され、劣悪な環境の収容所に収監され、虐待を受けた。

 「アジア解放のためだと信じて疑わなかった戦いは、実はこれだけの恨みや憎しみに値するものでしかなかったのだ」

 戦争は愚かしく、得るものは何もない。勝者にも、敗者にも心に消えない傷を負わせてしまう。

  起訴された軍事法廷で48年、重労働20年の判決を受けた。四つの起訴内容は間違いだらけだったが、抗弁しても無駄だった。勝者による一方的な判決は、受け入れられるものではない。だが、狂気の戦場で自分が犯した罪があったことは、否定しがたい事実でもあった。と、担当記者の沢田氏は書いている。

 

 

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