嫉妬について含蓄のある言葉があるので紹介します。(朝日新聞6月27日コラム「折々の言葉」から)
嫉妬を生むものは、自他のあいだの大きな不均衡ではなく、
むしろ近似である。「人間本性論」から (デイヴィッド・ヒューム 哲学者)
以下、コラム執筆者・鷲田清一氏の説明文を引用。
能力や財産に関して、途方もなく差がある人に、人は嫉妬しない。人が嫉妬する相手はむしろ、境遇が近い人、優劣や運不運など、その人との比較がいちいち気になって仕方がない人である。その意味で、嫉妬の相手は、実はもっとも気がかりな自分が写っている鏡なのである。
「自分の写っている鏡」を見て、他人をうらやむ卑しい自分を発見し、そのことでまた相手を嫉妬してしまう。人間はある瞬間、普段は見えない自分自身の姿を見てしまったとき、そういう情けない自分に嫌悪してしまうのかもしれない。「情けない自分」が近似の他人に嫉妬するのは、嫉妬することによって、自分の「卑しい」立ち位置まで、相手を引きずりおろして無意識のうちに、自分の優位性を感じたい心の有り様なのかもしれない。これは、一種の自己防衛ですね。嘘も、言い訳も、屁理屈も、その根っこの部分で防衛本能が作用しているのかもしれません。
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