「切り絵」の世界
メルヘンチック 妖艶 細密……
切り絵=カッターで切り抜き色のついた台紙に張り付ける。
これくらいの知識しかなかった。
案内のポスターを見て、「切り絵アート展」を見に行ってびっくり。
我ながら、切り絵に対する見識のなさを恥じると同時に、その世界の奥行きの深さと多様性に圧倒された。
ここに繰り広げられた世界は、メルヘンチック 妖艶 細密 繊細 豪快 エキゾチック。作家一人一人が、自分の思いを技量に託し、個性的な作風を展開している。
一堂に集められた切り絵作家の作品は、まさにしのぎを削り、他を寄せ付けない孤高の世界を展開している。
一口に切り絵と言っても、技法や表現方法によって作風はまったく違っていて、多種多様な作品が生まれています。現代日本を代表する11人むの作家の作品を、一堂に展覧します。細密さを極めたレースのような切り絵や、光を使って紙芝居のように場面が変化する作品。ドラマチックな物語や空想の世界を描いたものや、素朴な風景を描いたものなど11人の個性が光ります。 |
関口コオ「近松心中物語」
妖艶の世界をカッターで仕上げていく。「近松心中物語」の悲恋・道行が作者の怨念となって表現されているような作品。
林 敬三「七人の侍」
集まった「七人の侍」達、眼光鋭い精鋭たち、
さて何が始まるのか。緊迫した時間が漂っている。
倪 遄良「光陰の理~ときのことわり~」
ロマネスク調の画面の中で抱擁する男女。二人の男女から放散される光の線。「光陰の理」とは
どんなことなのだろう。
柳沢 京子 「春よ来い、道祖神」
春を待つ男女の着物の模様が、この切り絵の雰囲気を表している。
辰巳 雅章 「キツネの嫁入り」
どれが切り絵と絵画がコラボしたような作品。作者の個性が光る。
酒井敦美「春の羽根」
電灯の点滅で画面が表と裏にへんかします。今の画面は表ですが、一端電灯が消え次に点灯したの画面は、少女は後ろ向きになって桜の大木を見つめている構図に代わります。なんとも不思議なアートです。
筑紫ゆうな「無題」井出文蔵「一寸法師 百鬼丸「武田信玄」
蒼山日菜「Voltaire ヴォルテール」
想像の範囲を越えた緻密さがある。筆記体で書かれた英文の手紙を、一筆書きのように最後の人文字までつなげて彫り込んである。髪の毛のように細い線をどのようにして切っていくのか。
想像の範囲を超えている。
展示された11人の作家たち。
芸術とは個性の表現だとつくづく思う。
それ故に孤高の峰を登り、海原の波をかき分けて
自分の道を切り開いていく戦士なのかもしれない。
孤独な戦士。
(2018.10.1記) (つれづれ日記№75)
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