萩の里自然公園の平和主義者エゾモモンガは食料危機?の続きです。
萩の里自然公園のハンノキの仲間(カバノキ科ハンノキ属)には
エゾモモンガの主食と思われる雄花の芽が今年はほとんどありません。
ケヤマハンノキの下の雪上に何かが撒き散らばっていました。ケヤマハンノキの昨年の果実です。
きれいに“かじられ”ています。
種子は栄養価も高いと思われますが、残っているのでしょうか?
ケヤマハンノキの種子(六甲山系の樹木図鑑)と比べると、種子も残っているようです。
写真↑の左上がエゾモモンガの食べ残したもの。右上が私の手で揉んだもの。
同じカバノキ科のサワシバの昨年の果苞も落ちていました。
サワシバの果穂の多くはまだ残っており、食べているかもしれません。
サワシバの種(北海道大学 モニタリングサイト1000種子図鑑)
少しは残っているようですが、目立った食べ痕は見られませんでした。
NHKクリエイティブライブラリーによると、
シラカンバ(しらかば)やウダイカンバ(マカバ)やダケカンバの芽も食べるらしい。
しかし、今年咲く雄花の冬芽はハンノキの仲間と同じように確認できません。
ウダイカンバ(みんな垂下っており昨年の果穂のようだ)
ウダイカンバの雄花の冬芽(上を向いている)と果穂(垂下っている)
ウダイカンバの昨年の果穂。これも食べているらしい。
ウダイカンバの種子(北海道大学 モニタリングサイト1000種子図鑑)
昨年のウダイカンバの果穂にも種子が残っていました。
2010年の氷瀑ツアーではトドマツの葉を食べているのが観察されました。
食べ方の特徴はfauraの写真からもわかります。
ここでも食べていました。葉は指で引っ張っても簡単にはむしれません
昨年、ポロト自然休養林では、大量のニオイヒバの葉が落ちており、食べているらしい事が想像されました。
「モモンガ奮闘記」の管理人さんも確認しているようです。残念ですが写真はありませんでした。
“持ち込まない”がルールの萩の里自然公園では、ニオイヒバは公園入口にある
施設の囲いとして持ち込まれていますが、
木から木へグライダーの様に飛ぶエゾモモンガが食べに来る環境にはないようです。
また、コバノヤマハンノキとミヤマハンノキが僅かに冬芽を付ける住宅地の空地や
フシコベツ川へは、森が分断されており、食事に来るのは無理なのでしょう。
エゾモモンガの移動方法
10mの落差では平均24m滑空できるという事です。
ちなみに、グライダーは350m滑空できるそうです。
帯広畜産大学教授 柳川久氏講演会 「身近な動物といっしょに生きていく方法」
平成18年(2006年)1月29日 北広島市芸術文化ホール 北広島森の倶楽部
での聴講メモを図解
エゾモモンガの橋(帯広畜産大学・柳川教授)が必要なのです。
雑居ファミリー エゾモモンガ(巣箱を用いたエゾモモンガの生態調査 株式会社地域環境計画)
エゾモモンガは、冬季には保温のため1つの巣に数個体で同居することが
確認されていますが、この調査で冬以外でも複数個体の利用があることが確
認されました。中略
また授乳中の子を持つ雌の巣箱に別の雄が同居していた例も確認されまし
た。このような例は哺乳類では極めて珍しく、エゾモモンガがほとんど攻撃
性を持たない寛容な動物であることを示すものと考えられます。
ポロト自然休養林ではこれと良く似た巣箱は空家ばかりが目立ちます。
食料危機だとすると、何とか分かち合いながら生き延びてほしい!!
平和主義者エゾモモンガ 同じ空間に身を置いていると思うと実に愉快です。
しかしよく考えてみると 、萩の里自然公園は3方向を住宅地に囲まれ、
もう一方は高速道路です。
柳川先生が指摘していたように、近親交配による影響が懸念されます。
萩の里自然公園夕景
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