篆刻サークル「石門印会」の月例競刻の
講評が届きました。
5月の課題は「杞憂」(きゆう)
「杞」という人が「天が落ちてくる」と
心配したことから「ありえないことを
心配する」ことをいう。
印の大きさ八分印(約2、5cm)
以下先生の講評です。

印全面を使い、かつ力のこもった刀線は氏
ならではのもの。朱の空間の配置が実に
巧妙で感服する。(憂の下部)刀線の
接線や辺縁との変化がみごとで堂々たる作である。

篆刻の構成要素をよく体現し、完成度高き
好印である。文字の細太変化による重心の
とり方、辺縁の重厚でありながらも大胆な
変化は大したものなり。

左右にお朱白を刻しての工夫の作や見事なり。
一見朱文にみせるには今少しの工夫を要す。
「杞」字右画の伸展一考。辺縁は朱文印の
辺縁に近く、これでよい。

回を重ねるごとに篆刻の要領を得てきているの
がうれしい。文字よく伸びているもやや均一たり。
辺縁の細太変化が文字にも出るといい。

小篆がよく伸展して余白のバランスもよく、
明るい作となった。柔和の文字と辺縁の優しさが
よく似合っている。欲を言えばもっと個性を
打ち出しては。

金文の造形が躍動して楽しい作となった。
鋭味をよく現れて可なり。辺縁の打撃に
よる古色もある。周縁の界線を一考しても
よかったかも知れない。部分的でも。

左右の辺縁は借辺様式をとり、工夫の跡が
みえる。広がりが感じられる印となった。
一点一画に強さがあり出色の出来なり。
上部辺縁軽く。

文字はやや淡白になり平板になった感あり。
白文では朱に負ける。二重の辺縁はそれを
補う点では一助あり。ここから更に補刀して、
趣を強張したらいかが。

「憂」の下部の省略によって印下部の空間が
均等になり広がりが出た。刀線の伸展位置関係も
熟慮されている。辺縁が太く重みがあり存在感と
古色がすばらしい。

印面に文字が躍動して重厚さ十分の作となった。
このところ、刻の要点を得て上達ぶりに感心。
辺縁接近の刻は難しいが、朱点一ヶでも
残ると生きてくる。

余白を十分に意識しての構成が明解である。
「己」は曲線風味がよろしいかと思う。
辺縁は左右逆の太さが安定すると思うが。
打撃変化は適度なり。
講評が届きました。
5月の課題は「杞憂」(きゆう)
「杞」という人が「天が落ちてくる」と
心配したことから「ありえないことを
心配する」ことをいう。
印の大きさ八分印(約2、5cm)
以下先生の講評です。

印全面を使い、かつ力のこもった刀線は氏
ならではのもの。朱の空間の配置が実に
巧妙で感服する。(憂の下部)刀線の
接線や辺縁との変化がみごとで堂々たる作である。

篆刻の構成要素をよく体現し、完成度高き
好印である。文字の細太変化による重心の
とり方、辺縁の重厚でありながらも大胆な
変化は大したものなり。

左右にお朱白を刻しての工夫の作や見事なり。
一見朱文にみせるには今少しの工夫を要す。
「杞」字右画の伸展一考。辺縁は朱文印の
辺縁に近く、これでよい。

回を重ねるごとに篆刻の要領を得てきているの
がうれしい。文字よく伸びているもやや均一たり。
辺縁の細太変化が文字にも出るといい。

小篆がよく伸展して余白のバランスもよく、
明るい作となった。柔和の文字と辺縁の優しさが
よく似合っている。欲を言えばもっと個性を
打ち出しては。

金文の造形が躍動して楽しい作となった。
鋭味をよく現れて可なり。辺縁の打撃に
よる古色もある。周縁の界線を一考しても
よかったかも知れない。部分的でも。

左右の辺縁は借辺様式をとり、工夫の跡が
みえる。広がりが感じられる印となった。
一点一画に強さがあり出色の出来なり。
上部辺縁軽く。

文字はやや淡白になり平板になった感あり。
白文では朱に負ける。二重の辺縁はそれを
補う点では一助あり。ここから更に補刀して、
趣を強張したらいかが。

「憂」の下部の省略によって印下部の空間が
均等になり広がりが出た。刀線の伸展位置関係も
熟慮されている。辺縁が太く重みがあり存在感と
古色がすばらしい。

印面に文字が躍動して重厚さ十分の作となった。
このところ、刻の要点を得て上達ぶりに感心。
辺縁接近の刻は難しいが、朱点一ヶでも
残ると生きてくる。

余白を十分に意識しての構成が明解である。
「己」は曲線風味がよろしいかと思う。
辺縁は左右逆の太さが安定すると思うが。
打撃変化は適度なり。