スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&第一部定理一五の意味

2008-03-19 20:07:15 | 将棋
 棋王戦五番勝負第四局。羽生善治二冠の作戦はごきげん中飛車。佐藤康光棋王は③Bが多いのですが,今日は日曜のNHK杯決勝と同様に①の変化へ。NHK杯は①Bに進んだのですが,ここは①Aの△5五歩になりました。羽生二冠もNHK杯は当然見ていた筈で,佐藤二冠の対策を見てみようということだったと思います。NHK杯の鈴木大介八段は③Bを予想したら①にされたので,何か対策があると思って①Bに進めたと感想戦で言っていました。そういう意味では第三局もそうでしたが,佐藤棋王と羽生二冠は息が合うところがあると感じます。
 先手の作戦は抑え込みで第1図のように進展。この局面は先手の駒ばかりが前に出ていて,作戦勝ちを感じさせます。
          
 この後,銀を繰り替えて▲9五歩と端から開戦。端は美濃囲いの最大の弱点で,無条件でここから仕掛けられたのですから,やはり先手の優位は動かし難い感じです。
 観戦は第2図の辺りから。先手の陣形にはたまげました。
          
 しかもここから,さらに飛車まで7筋に回ってきました。
 最後,後手も面白いかという感じには一瞬なりましたが,先手が堂々と押し切っています。後手としては△7三銀のところで代わる手があればといったところですが,どうも難しそうです。また,▲7三飛成に△9一玉なら詰みませんでしたが,飛車を取らなければ後手玉に迫れませんので,これも致し方のないところでしょう。いずれにしてもここでは先手がはっきり勝っています。やはり仕掛け前の後手の構想に最大の問題があったのではないかと思います。
 ということで2勝2敗に。棋王戦は昨年もすべて先手が勝っていますので,第五局はまず振駒がひとつのポイントになりそうです。28日に指されます。

 明日は名古屋大賞典です。ここはメイショウトウコン◎とサカラート○の争い。ほかではキングスゾーン△,キクノアロー△,アルドラゴン△。

 第一部定理二五系の意味と共に,ここでもうひとつ注意しておきたいのは,第一部定理一五について,これをどのように解釈するのかということです。この定理は神がなければどんなものもあることも考えることもできないということで,万物が,個物を含めて万物が神を原因として生じるということを意味するのですが,このとき,たとえばある個物Xを念頭に置いたとき,この個物Xの原因が神であるということを,どのように理解するべきなのかという点が,現在の考察の上ではやはり重要だろうと思うのです。
 一般に哲学には,原因の分類というのにいろいろとあるのですが,その中に,最近原因と遠隔原因という区別があります。いま,原因をA,結果をBということにすると,AとBとの間に何らの媒介がない場合にはAをBの最近原因といい,AとBとの間にたとえばCのような媒介がある場合,AはBの遠隔原因といわれることになります。
 このふたつの原因の観点から第一部定理一五に込めたピノザの意図を示すなら,神は万物にとって最近原因であって,遠隔原因ではないということになります。このことは第一部定理二八の備考において,スピノザ自身が,神が個物の遠隔原因であるということについて,もしも無限様態と個物とを区別するためにそのようにいうのであれば,そこには一定の意味があるけれども,本来的な意味において神を個物の遠隔原因であるということは適当ではないという主旨のことをいっていますから,間違いないところだろうと思います。

 昨日はページの閲覧数が尋常ではない数でした。多くのページを読んでいただいた方がいらっしゃったようで,感謝します。
コメント
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