スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイルチャンピオンシップ&第二部定理三一

2012-11-18 18:28:50 | 中央競馬
 相当数の出走馬に勝つチャンスがあるように思えた第29回マイルチャンピオンシップ
 シルポートが逃げるのは当然ですが,今日はあまり後ろを引き離すことはありませんでした。コスモセンサー,エイシンアポロンと続き,ガルボ,リアルインパクトまでが先行集団。好位は内にサダムパテック,外がフィフスペトルで,さらにグランプリボスとドナウブルー。前半の800mは46秒9で,これはスローペースでしょう。
 ペースの関係からばてる馬はなく,またあまり長くない隊列でのレースでしたので,直線はずらっと横に広がっての争い。その中で伸び脚がよかったのは外のグランプリボスで,テレビ観戦ではこの馬が勝つのかと思ったのですが,内の方をサダムパテックが伸び,こちらの優勝。クビ差でグランプリボスが2着。半馬身差でドナウブルーが3着。
 優勝したサダムパテックは春の京王杯スプリングカップ以来の勝利で重賞は4勝目。大レースは初制覇。昨年はクラシックで善戦していた馬で,冒頭に記した勝つチャンスがあると考えていた馬の1頭。結果的に好位に位置した馬に有利なレースとなり,その中で内を掬うことができたのが勝因。そういう意味では1番枠というのがかなり有利に働いた印象で,絶対的に秀でた能力があるというわけではなさそう。ただほかにそういう馬がいるというわけでもありませんから,今日のようなメンバーでのレースになれば,勝ったり負けたりというのを繰り返していくことになるのでしょう。父はフジキセキ
                         
 騎乗した武豊騎手は正月の川崎記念以来の大レース制覇でマイルチャンピオンシップは初勝利。管理している西園正都調教師は一昨年のマイルチャンピオンシップ以来の大レース制覇でこのレースは2年ぶりの2勝目。

 これにより,現実的に存在する個物res singularisの存在existentiaの排除が,第一部定理二八で示されている因果関係の無限連鎖に則して生じるということが理解できます。そしてこれは現実的に存在する個物についていわれている事柄なのですから,このことの観念ideaは,第二部定理九に則って生じるということになるでしょう。
 そこで現在の考察の観点に注意するならば,第二部定理九でいわれている個々の個物の観念のすべては,神Deusの無限知性intellectus infinitusのうちにある十全な観念idea adaequataなのであって,単に人間の精神mens humanaをそれ単独でみた場合には,その内にあることはできないような観念です。するとこのことから,第二部定理三一が帰結することになります。
 「我々は我々の外部に在る個物の持続についてはきわめて非妥当な認識しかもつことができない」。
 この定理Propositioはここでこれを導き出した過程そのものが論証Demonstratioになっていますから,これ以上の証明は不要といえます。また,ここでいわれているきわめて非妥当な認識というのは混乱した観念idea inadaequataのことであるのは間違いなく,要するにこの定理は,人間は現実的に存在する個物の持続duratioに関しては,もしもそれを認識するならば,それは必然的に混乱した観念であるということになります。これはたとえば具体的な例をあげるなら,僕の現実的存在の持続がいつ排除されるのか,要するにこれは僕がいつ死ぬのかという意味ですが,それはだれも十全に認識することが不可能な事柄であるというようなことですから,おそらくこの見解に反対する人はいない筈であり,経験的な観点からも正しいといえます。
 なお,僕の考えでは,ここでスピノザがこの認識をきわめて非妥当と修飾していることには理由があります。おそらくスピノザは,同じ混乱した観念ではあっても,その混乱には度合いの相違というものがあるということを認めています。スピノザは十全な観念のことを明瞭判然ということばで修飾することがありますが,厳密には十全な観念と明瞭判然な観念というのは異なっていて,混乱した観念に関しても明瞭判然と形容される場合があるというのが僕の理解です。ただこれについては今はそれ以上は触れません。
コメント
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