スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイルチャンピオンシップ&自然状態の規定

2024-11-17 19:20:01 | 中央競馬
 イギリスから1頭が遠征してきた第41回マイルチャンピオンシップ
 バルサムノートが主張しての逃げ。ニホンピロキーフとレイべリングが並んで2番手。4番手にコムストックロードで5番手にはブレイディヴェーグとフィアスプライド。7番手にウインマーベル。8番手にエルトンバローズ。9番手にオオバンブルマイ。10番手にナミュールとマテンロウスカイ。12番手にソウルラッシュとアルナシームとチャリン。15番手にセリフォス。16番手がジュンブロッサムで3馬身差の最後尾にタイムトゥヘヴン。前半の800mは45秒7のミドルペース。
 軽快に飛ばしたバルサムノートのリードは3コーナーで3馬身。そこから差が詰まっていき,直線の入口ではバルサムノート,ニホンピロキーフ,ウインマーベルの3頭が内外に大きく離れた先頭に。ウインマーベルよりさらに外から追い込んできたソウルラッシュが内の各馬を差すとそのまま抜け出して快勝。2着争いはウインマーベルとそのすぐ外から追ってきたブレイディヴェーグとエルトンバローズの3頭で接戦。エルトンバローズが2馬身半差の2着でウインマーベルがクビ差の3着。ブレイディヴェーグがハナ差で4着。大外を追い込んだチャリンがクビ差の5着。
 優勝したソウルラッシュはマイラーズカップ以来の勝利。重賞4勝目で大レース初制覇。一昨年の4月に4連勝でマイラーズカップを勝って以降はずっとこの路線のトップクラスで走り続け,昨年のマイルチャンピオンシップが2着,今年の安田記念が3着と,優勝に近いところまできていました。ここは今までの悔しさを払拭するような快勝で,留飲を下すことができたのではないでしょうか。父はルーラーシップ。母の父はマンハッタンカフェ。母の3つ上の半兄が2013年の青葉賞を勝ったヒラボクディープ
 騎乗した団野大成騎手は昨年の高松宮記念以来となる大レース2勝目。管理している池江泰寿調教師は昨年のスプリンターズステークス以来の大レース24勝目。第34回以来となる7年ぶりのマイルチャンピオンシップ2勝目。

 スピノザが想定している自然状態status naturalisというのは,各人が自己を他の圧迫から防ぎ得ることが困難な状態のことです。したがってこの状態においては各人は,それほど多くのことをなし得ないことになるでしょう。なし得ないということはそのpotentiaが現実的にないということを意味し,この力が自然権jus naturaeを意味するのですから,この状態では各人の自然権は無に等しいということになるのです。
                            
 このことは,実はスピノザがホッブズThomas Hobbesの順序とは逆に,自然状態の方を自然権によって規定していることと関係しているといえます。スピノザは自然状態というのを『国家論Tractatus Politicus』においてどのような状態であるかということを規定していないのですから,その概念notioをホッブズがいっているのと同じ意味でいっていると解することもできます。しかし吉田がいっているように,『国家論』における論述だけでみるなら,自然権を先に規定しておいて,その概念を利用して自然状態を説明しているということも事実であって,この限りにおいては,各人の自然権が無に等しい状態のことをスピノザは自然状態というというように解せるからです。いい換えればスピノザは各人の自然権が無に等しい状態のことを想定し,その状態のことを自然状態といったというように解せるのです。つまり自然権によって規定される自然状態というのは,スピノザにとっては初めからその自然権が各人にとって無に等しい状態のことであったということが可能でしょう。
 なおスピノザは,この自然状態における各人の自然権は,現実的な権利というよりは空想上の産物にすぎないという意味のことをいっていますが,これは自然状態そのものについても妥当すると解してもいいと思います。要するに自然状態のような状態は現実的な状態ではなくて空想の産物であって,人間がそのような自然状態において存在したことはないしこれからも存在することはないというように解してもよいと思います。前もっていっておいたように,とくに『国家論』においては社会契約説は斥けられているといっても間違いではないので,現に自然状態が存在したあるいは自然状態が存在するというように解する必要はまったくないからです。

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