みなさん、こんにちは!
脳卒中予防に関する情報をお伝えするため、You tubeで解説するシリーズの第2弾
をリリースしました。
どんな症状が出たら救急車を呼ぶべきなのか?
どんな症状は大丈夫なのか?
一時的な症状はOK?
救急車を呼ぶほどでは無いにしても、クリニックなどにかかるべき症状は?
このような疑問にお答えしています。
お時間があればぜひご視聴ください!
みなさん、こんにちは!
脳卒中予防に関する情報をお伝えするため、You tubeで解説するシリーズの第2弾
をリリースしました。
どんな症状が出たら救急車を呼ぶべきなのか?
どんな症状は大丈夫なのか?
一時的な症状はOK?
救急車を呼ぶほどでは無いにしても、クリニックなどにかかるべき症状は?
このような疑問にお答えしています。
お時間があればぜひご視聴ください!
かなり準備に時間がかかりましたが、「脳卒中をやっつけろ!」Youtube版を始めました。
https://www.youtube.com/watch?v=avlP1PwXino&t=329s
これまでこのブログで解説してきましたが、今後は動画でも発信していきます。
ぜひ見てくださいね!
頭部打撲のあと、しばらくして頭の中(硬膜と脳の間)に血液が徐々に溜まってくることがあり、慢性硬膜下血腫と呼ばれています。
初期症状としては、頭痛や言語障害、半身麻痺などの症状のほか、物忘れ、失禁、なんとなくぼーっとしている、といった認知症を思わせるような症状もあります。一方、重症の場合は意識障害を起こすこともあります。
進行は一般にはゆっくりで、自然治癒するケースさえありますが、徐々に血液が増えて脳を圧迫し、命に関わることもあります。
症状が強い場合には、外科手術が行われます。頭蓋骨に小さな穴をあけて、血液を洗い流す手術(穿頭洗浄術)が主流です。局所麻酔で行われることが多く、比較的安全な手術です。また、術後に症状が劇的に改善することがあり、脳神経外科の手術の中でもかなり多く行われている方法です。
ただ、この治療にも欠点があります。それは再発です。術後の再発率は2~35%とされており、無視できない数値です。以前は再発したら穿頭術を再度行い、何度も再発する場合には開頭手術を行うしかない、とされていました。
しかし最近、硬膜に行く動脈(中硬膜動脈)をつめたらなおってしまった、という興味深い報告があります。
実は私も10年以上前に同様の経験をしており、他院で2度の手術を受けた患者さんに対して、硬膜に行く血管をつめる血管内治療を行ったところ、その後2週間で完全に治癒してしまい、たいへん驚きました。
先週、Phoenixで開催された国際脳卒中学会(International Stroke Conference: ISC 2024)ではこの血管内治療の有効性確認のためのランダム化比較試験が3つ報告され、3つともに有効性が示されました。
この治療に関しては、世界で12のランダム化比較試験が走っているということですが、最初の3つで有効性が示されたことで、世界的に流れが変わってくる可能性があります。
また一つ、外科から血管内へ治療が変わっていくのかもしれない、と強く感じた発表でした。
先週は横浜新都市脳神経外科病院の放射線技師 齋藤 誠先生を招いて、脳血管撮影法の工夫についてご指導頂きました。
私は横浜新都市で多くの患者さんの治療をさせて頂いていますが、治療中の画像が非常にきれいですし、さまざまな工夫がされていることに感銘を受けていました。
この検査を中心的に担当しているのが齋藤 誠先生です。今回私の希望で兵庫医大にお招きし、実際の治療に立ち会って頂き、その後、講義をしてもらいました。たくさんのアドバイスをもらい、当院の更なるレベルアップに繋がりそうです。
ところで、齋藤先生の何がすごいか?
私は、何よりも先生の検査や治療にかける情熱がすごいと思います。その情熱からさまざまな工夫が生まれている。そう思います。
脳血管内手術は患者さんの人生や命のかかった治療ですから、工夫の積み重ねで治療の安全性が高まることは大変素晴らしいことです。
これからも先生には折に触れ、アドバイスを頂きたいと思います。
齋藤先生、忙しいところ兵庫まで来ていただき有難うございました。
当院の技師さんたちとより良い検査・治療ができるよう頑張っていきたいと思います。
コイル塞栓術を受けた場合には術後の検査は何が良いのでしょうか?
実はコイルはCTでは強く光ってしまい、周辺の血管や脳が見えなくなります。つまりコイル塞栓術後に動脈瘤やその周囲を確認するのに、CT検査は適していません。
一方、MRIではコイルは無信号になるため、血管がよく見えます。従って、動脈瘤の再発も分かります。MRIは放射線被曝もないので、患者さんにとってとても良い検査法です。
しかし、ステント(金属メッシュの筒)を併用した場合には、ステントの金属メッシュが邪魔をして血管が見えにくくなってしまいます(図左)。つまり、ステントとコイルを併用すると(ステント併用コイル塞栓術)、CTでもMRIでも血管がうまく見えないことが多いので、カテーテル検査でしか確認できませんでした。ただしカテーテル検査には通常入院が必要ですし、少ないながら合併症リスクもあります。
多くのケースでは頭部レントゲンでコイルの形が変形しておらず、治療部よりも末梢(脳側)への流れが良いかどうかでカテーテル検査をするかどうか判断していたのですが、内服薬を減らす場合などにはやはりステントの内部に狭窄や血栓がないかを確認した方が安全です。
ステントを併用したコイル塞栓術はネックの広い動脈瘤にも適応できるため、全国的に治療件数が増加しています。治療後の患者さん全員に定期的カテーテル検査をすることは患者さんにも、病院側にも負担が大きいため、どうするか悩んでいました。
このような場合、前回紹介したサイレントMRIが役立つことが分かってきました。サイレントMRIではステント留置部の血管も良好に描出されることが多いのです(図右)。このケースでは動脈瘤の再発も見えています。
サイレントスキャンができないMRIの場合には特殊な撮影法(Ultrashort TEなど)での確認が必要です。
医療機器の進歩は非常に早く、より良質な検査が可能となっています。ステント併用コイル塞栓術を受けた方はぜひ一度、血管が見えるサイレントMRI検査か、それに近い検査法を受けてみてください。
皆さん、明けましておめでとうございます。
今年も精一杯の診療をして参ります。
メール相談、ご紹介なども受け付けていますので、いつでも下記の「無料相談はこちらから」からご連絡ください。
http://www.e-oishasan.net/site/yoshimura/index.php
それでは本年もどうぞよろしくお願い致します。
「頭にクリップが入っていますがMRIは受けられますか?」という質問もよく受けますので、ここでお答えしたいと思います。
30年以上前にはMRIができないクリップも使われていましたので、そのような場合には専門医に確認が必要ですが、その後はMRIが可能な金属に変わりましたし、最近のクリップはチタン製ですので、MRI検査は可能です。
しかし、チタンクリップを使っていても、通常のMRI撮影法ではクリップの周囲がよく見えないのです(図左)。矢印の部分で血管が見えなくなっているのがわかります。これはクリップの素材(金属)が邪魔をしているためです。医学的にはアーチファクトと言います。
このため、クリップ後は造影剤を使用したCT(CT血管撮影, CT angiography: CTA)を行うことが多いのです。クリップした部分の周囲がふくらんで再発することがありますので、治療後も検査が定期的に行われることが多いです。
しかし、CT検査は放射線被曝がありますし、造影剤を使用する場合には腎臓障害やアレルギーのリスクもあります。このような観点から毎年、あるいは半年ごとに検査を行うのは患者さんのリスクになります。ではどうしたらいいのでしょうか?
最近、開発された新しいMRI検査法、サイレントスキャンを行えば、クリップ後でも脳血管がきれいに見えることが多いのです(図右)。血管が良く見えていますね!私はこの検査結果を始めてみた時に大変驚きましたし、今でもクリップ後の血管がきれいに見えると「おー!」っと声を上げてしまいます。医学の進歩は凄いですね!
もちろん、他の検査法と同様、サイレントスキャンでもなぜか血管がうまく見えないこともあります。多くは、クリップを何本も使った治療を受けた場合に多いのですが、クリップの向きなども関係するようです。
従って、腎機能低下のある方、造影剤アレルギーのある方だけでなく、クリッピング術後には一度この検査を行ってみて、もし血管がうまく見えるのであればサイレントスキャンで定期検査を受けた方が安全だと考えています。
この検査法を希望される方は、下記までご連絡下さいね。
stroke_buster@mail.goo.ne.jp
未破裂脳動脈瘤の患者さんによく質問を受ける事項に、
「どのぐらいの間隔でいつまで検査を受けなければならないのか?」というものがあります。
まず経過観察中に動脈瘤の増大や変形をきたすと破裂率が非常に高くなることが報告されており(年率4.3-18.5%)、そのために定期画像検査が行われています。
どのぐらいの間隔で受けるかについては、我が国のガイドラインでは半年から1年毎に画像検査を受けることが推奨されています。 ほとんどの場合MRIが選択されますが、閉所恐怖症や体内の金属留置、タトゥーなどにより受けられない患者さんもいます。そのような場合にはCT造影検査などを行いますが、被ばくを減らすため1年毎に実施することが多いです。
一方、いつまで検査を受けるかについてですが、未破裂脳動脈瘤は自然に小さくなったり、消失することはほとんどなく、また、年齢とともに破裂率は上昇することが知られているため、何歳になっても受けられることが多いです。ただ、実際には病院に通うのが困難になったり、別の病気が見つかったタイミングで検査を終了される方が多いです。
欧州脳卒中ガイドラインにおいては、フォローアップの頻度と期間については、動脈瘤と患者さんのリスク因子によって決定される、と記載されています(1)。
1. European Stroke Organisation (ESO) guidelines on management of unruptured intracranial aneurysms. Eur Stroke J. 2022 Sep; 7(3): V.
脳動脈瘤と飲酒習慣について、追加情報です。
日本人を含む東アジア人には体質的にアルコール耐性が低い人が多いとされています(私もその一人です)。
体内に入ったアルコールは、肝臓のアルコール脱水酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)酵素によって酢酸に分解されます。
アセトアルデヒドは有害物質であるため、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)酵素の働きが悪い人は、血中のアセトアルデヒド濃度が高くなり、発赤、頭痛、嘔吐、気分不良、二日酔いなどの症状が出ます。
医学的に、この赤くなる状態をアルコール発赤症候群(Alcohol flushing syndrome: AFS)と呼ぶことがあります。アジア人に多いのでエイジアンフラッシュ(Asian flush)という言い方もあるようです。
この論文ではAFSと破裂脳動脈瘤との関係を調べています。
中国の漢民族を対象とした研究で、1170名の脳動脈瘤患者さん(1295動脈瘤)が対象で、410名(35%)がAFS(お酒を飲むと赤くなる人)でした。
まずAFSと飲酒の習慣を調べたところ、やはりAFSのある人(赤くなる人)の飲酒習慣は少なく、10.5%でした(Non-AFSは27.2%)(左図)。
つぎに飲酒の習慣と破裂脳動脈瘤との関係を調べたところ、飲酒習慣のない人においてもNon-AFS(赤くならない人)に破裂脳動脈瘤が多く、飲酒習慣のある場合にはその差が3倍ほどに開いていました。
以上から、AFS(お酒を飲むと赤くなる人)は破裂脳動脈瘤が少なく、飲酒習慣のある場合にその差が大きくなる、という結果になりました。
お酒を飲めない人にも、たまには良いことがあるようです(笑)。