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CASの長期成績は? サファイア研究より

2009年12月28日 | 脳梗塞
久しぶりに本論です。
頚動脈内膜はくり術(CEA)と違って頚動脈ステント留置術(CAS)を行った場合、プラークは取り去られるのではなく押し広げられているだけです(上図)。
ですから治療後の長期成績が気にかかります。
心臓ではバルーンを使って血管を広げた後に再狭窄がおこることが知られているからです。
ステントを使うと再狭窄は減りますが、それでもその確率は比較的高く、薬剤溶出ステントを使用する等の工夫が行われています(これについてはまた説明します)。
頚動脈はどうなのでしょうか?

頚動脈の場合には再狭窄がそれほど起きないことが経験的に知られていましたが、サファイア研究の長期成績が最近報告され、よく引用されています。
上の図に示されているように、治療後3年間の観察で、CASで治療を行っても長期にわたって問題がないことが分かります。
特に、「対象血管の再治療」はさすがにCASで多いと思っていましたが、これも差がありませんでした。

「CEAのリスクが高い患者さんに対しては、CASはCEAと同じような結果が出せる。」
このことがこのサファイア研究で実証されたのです。
コメント (4)
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