今回は脳動脈瘤の破裂と喫煙の関係についてお話します。
喫煙が体に悪いことは多くの方が知っていると思います。それでは脳動脈瘤の破裂との関係はどうなっているのでしょうか?
実は以前から喫煙が脳動脈瘤の破裂率を高めることが知られています。今回は喫煙と脳動脈瘤破裂に関する論文を2つ紹介します。
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まず喫煙の程度と期間、そして禁煙との関係についての論文です。
Can A. et al. Neurology. 2017;89:1408-1415.
Association of intracranial aneurysm rupture with smoking duration, intensity, and cessation
1990年から2016年までの期間に米国のブリガム・アンド・ウイミンズ病院とマサチューセッツ総合病院(私が留学していた病院です。懐かしい!)で診断された4,701例、6,411動脈瘤が対象となっています。
喫煙の経験がない人に比べ、喫煙者は2.21倍、以前の喫煙者は1.56倍、破裂が多いという結果でした。喫煙本数については1パック(20本)増えると1.46倍破裂が増えるという結果でした(図1)。また喫煙年数とともに破裂が増え(図2)、禁煙からの期間が経つほどへっていました(図3)。
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もう一つは能動・受動喫煙とくも膜下出血との関係についての論文です。
Anderson CS, et al. Stroke. 2004;35:633-637.
Active and Passive Smoking and the Risk of Subarachnoid Hemorrhage - An International Population-Based Case-Control Study
この論文は本日までカナダの学会で一緒になった有名なオーストラリアのAnderson先生が書かれた論文です。
1995年から1998年の432人のくも膜下出血患者さんと、473名の健常人とを比較しています。
喫煙の経験がない人に比べ、喫煙者は5.0倍、以前の喫煙者は1.2倍、受動喫煙者(自宅)は0.9倍、くも膜下出血が認められました。また、喫煙本数x年数でグラフを作成すると右肩上がりになっています(図4)。この傾向は女性でより顕著でした。
また禁煙後はすぐにリスクが低下することも示されています。
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以上2つの論文で、喫煙と動脈瘤破裂(くも膜下出血)との関係が明確に示されています。
喫煙中の方はぜひ頑張って禁煙してくださいね!