[あらすじ] 去年の十月から、毛筆書道を独習し始めたよ。
古典の臨書をしていると、
あれこれと書家の名前が出てきたり、ではその人がいついつの時代だとか、
時の皇帝も字がうまかったとか、皇帝の命令で作品集が編纂されたとか、
そんな話がぞろぞろと出てくる。
中高生の頃、漢文が好きだった。
三十代終わりになって鍼灸を学び、中国の古典医書を読む時にそれが役に立った。
中高生の頃、社会科が苦手だった。 . . . 本文を読む
八月四日と八月六日の二日をかけて、『八月五日帖』を臨書した。
五日にはそんなこと忘れて他の事をしていた。
謝安(しゃ・あん 320-385)という人の手紙である。
7人の甥たちに、弟の謝万(しゃ・ばん)の死んだ悲しみを伝えたものだそうだ。
ひどく悲しんでいることはなんだか伝わってくる。
こんな大昔の手紙、その写真が
今はインターネットで探すと手に入るので、とてもありがたい。
しかもカラーだ。
. . . 本文を読む
[あらすじ] 去年の十月から書を始めた。
隷書にはまり、篆書や甲骨文字を舐め、草書、楷書をやり、
後回しにしていた行書に手を出した。
ついに行書。
ついに王羲之(おう ぎし:303-361)。
『書譜』の孫過庭によれば、それまでも能書家は何人もいたのだが、
そういう人たちは、隷書がうまいとか、草書が得意とか、
どれかの書体に偏っていた。
ところが王羲之は、隷書でも草書でも行書でも楷書でもうまく . . . 本文を読む
[あらすじ] 日本現代書道の源流となった、比田井天来の生まれ故郷である
中山道望月の宿を訪れた。のは、6月上旬のこと。
町の取り組みとして、何人もの書家が、商店の看板を書いている。
町を歩くと、あちこちに様々な筆跡の看板があり、目を楽しませてくれる。
すみずみまで歩き回り甲斐がある。
あちらこちらに、丸太で作った馬がある。
プランターにしつらえてある物も多い。
なんだろう。
町外れには馬事公苑 . . . 本文を読む
[あらすじ] 墓の拓本をとった。 お寺の近くにちょうど書道店があり、そこで油墨とたんぽの拓本セットと、雁皮紙を買ったのだ。 http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/697a6ece9f17413f4ab5cb52b5766862 また何かの拓本をとりたいものだ。 名も無い道祖神でも、気に入ったものがあったら採ってみるのも楽しいのかもしれない。 写真を撮るよりも、姿がく . . . 本文を読む
ついに行書に手を出した。
10月から独習し始めて、隷書、篆書、甲骨文字、草書、楷書と
なめ回してきたが、ついに行書だ。
一旦初心を思い出しておくと、
・草書が読めるようになりたい
・小筆で書けるようになりたい
という願いがあった。
どちらも、実用につながる願いだ。
しかし、あれこれ練習してみているうちに、
一番実用的なのは行書だと思うようになっていたようだ。
速書きできるし、そのくせ読める。
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日本で唱える仏教のお経は、
インドでできたものを当時の中国語に訳したものを、
日本なりの発音で読んでいるものだ。
お経の中には、訳していない部分もある。
真言(マントラ)や陀羅尼(ダーラニー)といった類で、
おまじないの文句のようなものだ。
般若心経も、ああだこうだ説明した揚句、最後に
意味ではなく、音を漢字で表している。
羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提 薩婆呵
と書いて、
ぎゃーて . . . 本文を読む
賀知章(がちしょう;659-744)という人がいる。
ムカシの中国のことなので、詩人であり学者であり高級官吏であったようだ。
政治家が芸術をやるというのは良いような気もするが、
それはただ貴族というだけのことかもしれない。
さて、手元に中国詩人事典も持ち合わせていないので、どんどんwikipediaに頼ろう。
「賀知章は詩人として知られるが、狂草で有名な張旭と交わり、草書を得意とした。
酒を好 . . . 本文を読む
唐の時代の玄宗皇帝(げんそう;685-762)は、書をよくした。
宰相に恵まれたんだかなんなんだか、その治世は中国史の中でも最高に栄え、
開元の治と呼ばれる。
しかし最後は楊貴妃に溺れて政治はぐだぐだになってゆく。
玄宗は孝経をよく研究し、自ら注釈書まで書いている。
独特の隷書で書いたこの石台孝経も、本文の間に小さい文字で注が入っている。
楊貴妃が後宮に入ったのが740年、
孝経が石台に刻され . . . 本文を読む
[あらすじ] 去年の10月から書を独習し始め、好きが嵩じて 天来記念館のある長野県佐久市望月を訪れた。 石碑を見て、記念館を見て、看板を見た。 味噌カツ丼を食べて、味噌カステラを買った。 いや名物と来たら酒だ酒だ。 隣の茂田井の宿に、造り酒屋がある。 そのうちの一軒が書道館にたくさんの書を展示しているようだ。 行かねば。 行ってみてわかった。 比田井天来とその門流の書家たちの書があるが、主た . . . 本文を読む
[あらすじ] 昨年10月から書を独習し始め、楽しみが嵩じて、
現代書道の父である比田井天来の故郷である長野県佐久市の望月を訪れ、
まずは天来の書が刻まれた石碑を見学して回った。
宝国寺辺り。
ここで私が見たかったのは「慰霊之碑」の碑陰つまり裏面である。
後で手に入れたガイドマップを見ても、さほど情報は詳しいわけでもないし、
現地に石碑へと案内する道標は、近くには無い。
事前には大雑把な位置し . . . 本文を読む
[あらすじ] 昨年10月に書を独習し始め、嵩じて、
現代日本書道の源流と言える比田井天来の生地、中仙道望月の宿を訪ねた。
南は八ヶ岳が連なり、北には浅間を眺める佐久の地に夜着いて、
私はまず鯉のあらいを食べた。
現地でこその新鮮みだもんねーだ。
天来の生家からすぐ近くの、田んぼの真ん中の公民館の駐車場で泊まった。
田んぼのど真ん中で、蛙の声を聞きながら寝るのが好きなのだ。
シュレーゲルアオガエ . . . 本文を読む
相手によって言う内容の違う人は困るが、 受け取り手が違うなら同じ内容を伝えるための表現が変わるということはある。 一見、相手によって違うことを言っているように聞こえても、 それは相手に合わせて言い換えているのだったり、 相手の受け取れる範囲にとどめているのだったりする。 また、まったく同じことを言っていても、 受け取り手によって、違った結果になることもある。 ※ 以前、若き魯山人が上京した際に . . . 本文を読む
[あらすじ] 玄宗皇帝の書いた孝経を臨書するのに良い筆は何か。
隷書のようにきりりと筆をコントロールして書くには、
短鋒の筆が適しているというが、
どうも短鋒の筆はあまり売っていない。
ましてや小筆では選択肢は、無い。
ちょうど良さそうな短さの筆が目に入る。
彩色用の、隈取筆だという。
試してみたら、調子が良い。
欲を言えば、もっと柔らかい毛でも良いような気がする。
ふん、ナマイキなことを言 . . . 本文を読む
弘法は筆を選ばず、なんて言って、
道具より技術が大事だってなことを言う。
あれ、嘘らしいね。
弘法も、筆を選んだそうだ。
書きたい字に合わせて、いろいろと筆を作らせていたそうだ。
しなやかな草書、細い小楷、均一な線の金文、歯切れの良い隷書。
それぞれに、ふさわしい筆がある。
太さはどうか、穂の長さはどうか、毛の硬さはどうか。
その毛は何の毛なのか、一種類か合わせて使うのか、その動物のどこの部位 . . . 本文を読む