5月にホオノキの大木に登って開花しているヤマイバラを見た時には、緑が濃くてその下がどうなっているのか想像もつきませんでした。
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そして12月3日
中央の白い幹がホオノキです。右奥の大きな針葉樹はモミ。
少しアップ。ホオノキの枝先にまだ少し葉が残っていました。
もっとアップ。中央の白いホオノキの幹に絡んでいるのがヤマイバラ。ちょうど上の花の写真のあたりです。
ボケていますが・・・もっとアップで実の様子
どんな鳥が来てついばむのでしょうか。
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このホオノキの根元はちょうど舗装路のそばだったのですぐ見ることができました(初冬のヤマイバラ②のボールペンが置いてある写真です)。そうでなければ、やはり、かなりの急斜面の森の中、ホオノキやヤマイバラの株もとまで行くのは難しいことでしょう。
この幹の先にヤマイバラが茂っています。下からは全く見えません。ヤマイバラは、数メートル離れた場所で他の木に寄りかかって成長して、上まで行ったところでもっと背の高いホオノキに乗り移ったようです。
ホオノキの葉とヤマイバラのツーショット
山の中で大きく成長して、ほとんど人知れず咲き、実りを迎えるヤマイバラ。その魅力にますます引き込まれました。
植えたら大変なことになるのもよくわかります。家より大きくなるマークのある野バラのひとつです。家より大きくなりかけているキモッコウバラは節が違うしトゲがありませんが、今回見たヤマイバラの幹の色や表面の裂け方は大変よく似ていました。
今回見たかったのは他に、ヤマイバラの立ち上がりの幹の様子です。上部の枝は花や実と一緒に見えますが、根元はどうなっているのでしょう。周囲の木々の葉が落ちているので、上から下へと、枝をたどって見ることができました。。
ヤマイバラの幹は、ほかのツル植物と比べて赤みが強く、表面が縦に裂けてはがれる性質があるようです。個性的なので、これを覚えておけば見分けやすいことでしょう。(必要な人がいるかどうかかなり疑問ですが)
手前の二本はどちらもヤマイバラ。右が若い枝の立ち上がりで、まだ鋭いトゲがたくさんあります。左は少し太くなった株で、トゲが少なくなって表面の皮がはがれてきています。
高く昇っている株の根元あたりです。太くても直径5~6センチ程度でした。
つづく
テリハノイバラが海岸で咲いているのを見てきました。
6/25
瀬戸内海国立公園の観光スポットとして地元ではおなじみの鷲羽山です。
このような、松が低く広がるやせた岩山です。見晴らしのためにあえて低くしているのかもしれません。
梅雨の合間のくもり空、展望台からビジターセンターや山頂に向かう遊歩道を登って行きました。草もあまり生えないようなところに、コマツナギとテリハノイバラが這っていました。
見ごろはすっかり終わっています。
この萼片はかなり特徴的。でも、すべてというわけではありませんでした。
これはトベラの低い茂みに立ち上がっていた株で、いかにもテリハらしい表情でした。テリハがたくさん見える道でした。
山頂の標高わずか133m、けれど海・島・瀬戸大橋と眺めは最高の鷲羽山です。
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つづいて、海岸へ・・・海岸に下りたらすぐ見つかりました。
岩場の下はすぐ海、という、いかにもテリハらしい場所です。海岸、広い托葉、トゲ、萼片(たまに小裂片あり)、丸っこいつぼみ、厚みのある葉、がっしりした姿で典型的でしょうか?
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海岸に下りるまでの山道には、
こんな花が咲いていて、崖から這い下りているので、いかにもテリハらしいのですが、近くには
時々こんな新枝が伸びていたり、草の間に伸びあがって咲いていたり、ミヤコでもおかしくない雰囲気でした。海岸だけでは判断できない気がしました。
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昨年、ミヤコの群生地で、ひときわ葉に照りがある株がありました。周囲にはアスファルトの上に伸びるたくさんのテリハ風なぞの株もあります。
挿し木して一年
照りのある、と思った同じ枝の新芽は、照りのない葉。托葉は広めですが、テリハノイバラではないでしょう。
一点だけで決めることができない、ということでしょうか・・・・花の時期が似ているため、中間型が多いのかもしれません。
これは近所の空き地のテリハノイバラです。(6/12)
ガクの一枚を見てください。このように萼片にははっきりと分かれ目があります。
これは四国の標高の高い場所にあったテリハ。
葉に照りがあり、地面を這うように伸びる。5月末から6月ごろ開花。葉や茎は無毛で腺もほとんどない。花柱に綿毛。萼片には著しい小裂片。
テリハの棘は、鉤型とはいえ、曲がり方は緩やか。
ミヤコノイバラのトゲはカーブがはっきりわかります。
ミヤコノイバラの中に、葉の照りが強い株を見かけることがあります。
葉先は丸いし、照りがあって、しかも崖から垂れ下がって伸びている・・・こんなまぎらわしいものがあるので、「ガク」の小裂片やトゲにも気をつけて観察したいものです。
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四国の山・・・(モリ、ヤブ、フジ、テリハ)
県北モリイバラ自生地・・・・(モリイバラ、ミヤコイバラ、ノイバラ)
県西部ヤブイバラ自生地・・・・(ヤブイバラ、ミヤコイバラ、ノイバラ)
県南部・・・・・(ノイバラ、ミヤコイバラ、テリハノイバラ)
どうやらノイバラは、近くに数種類育つことが多いという印象を受けます。花の時期が全く違う種類は交雑しにくいのですが、テリハとミヤコのような、同時期開花の種類は雑種もできやすいかもしれません。
以上2013年春、岡山県のノイバラ5種類の観察覚え書きでした。
5/27 高梁市のヤマイバラです。ちょうど花盛りでした。
手の届くところには全く咲いていません。
圧巻だったのは、この木立ちの向こうの景色です。
上の方の白い花はホオノキの花。ホオノキの大木の下に見える小さな白い花がヤマイバラです。すごいパワーです。
ホオノキはモクレン科の落葉高木で、日本の樹木の中で最大の葉と花。花の直径が15センチですから、それを彩るヤマイバラがこんな大きさに見えるのもしかたありません。普通のノイバラとは規模が違うことを想像していただければうれしいです。
別の方向から見ると、ホオノキの下の木々の上に広がるヤマイバラが見えました。けれどこれ以上近づけません!!(これでも270ミリの望遠)
トリミングしてこの程度です。
大株のヤマイバラは高嶺の花です。つづく