梅の季節になりました。
お正月用に、暮れにいけた万年青と梅。年が明けて一週間ほどで見ごろとなりました(1/7)。旧暦で生活していれば、ちょうど梅はお正月に似合う花だったのでしょう。
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さて、「花飾りブログ」としてスタートして4年目に入りました。大したワザがあるわけでもないのに大それた題をつけてしまったものですがお許し下さい。このまま気がすむまで「花飾り」周辺の雑多な記事を続けていきたいと思います。
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さて、今日はジョサイア・コンドル著「美しい日本のいけばな」(工藤恭子訳)を紹介します。(著者はイギリス生まれの建築家。明治10年に来日、鹿鳴館など明治を代表する西洋建築を設計。日本人と結婚して生涯日本で過ごし、狩野派の画法を学ぶなど、日本の文化に造詣が深い。)明治24年(1891年)に、「The Floral Art of Japan」を刊行して日本のいけばなを海外に紹介しました。その本の改訂版の日本語訳です。
この本の特徴は、120年前の日本のいけばなを客観的に、たいへん詳しく紹介していることです。大きな時代の変わり目を過ぎたばかりの日本に、脈々と流れている独特の美意識を的確に捉えています。海外に紹介するために書かれた本が、時間を経て、今の私達に日本の文化を再認識させてくれるものと思えました。
一部を抜粋させていただきます。「・・・西洋のブーケ、リース、ガーランドなどは、花や緑の葉をふんだんに取り合わせて、ソフトで華やかなマッスに仕立て、素材の美しさのみに頼っているが、空間を重んじるきびしい日本のいけばな構成は、美術的にもまったく異質のものといえる。事実、日本の美しい花は樹木に咲くものが多く、花をつけた細い枝をまるく密度の濃いマッスにするのはむずかしいところから、花の構成に空間を生かした線状の性格を与える必要があった・・・日本では、花を咲かせる樹木や草花の個々の特性にまで観賞の域を広げる・・・」
西洋との対比や、いけばなの歴史、花材の取り合わせ、器や飾り方、細かい約束事などなど。挿絵も、江戸時代の花書から書き写したたいへん正確なエッチングでわかりやすく美しいのです。
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そうしたいけばなが、今や、床の間でなく、西洋的な空間にも飾られる和洋折衷時代を突き進んでいるわけです、上の写真のように。今日から岡山天満屋で岡山県華道展が開かれています。多様ないけばなの姿に触れながら、明治のいけばなの道とは確実に変わってきている部分を強く感じてきました。
つづく