曇りの日曜日、地元の観光地をもっとよく知るために、ゆっくり歩いてみました。(前回の倉敷はこちら)
普段入ることのない倉敷民芸館。日用品の美しさを多くの人に見てもらうために、東京駒場の日本民藝館(昭和11年開館)に次いで日本で2番目(昭和23年)にできた民芸館です。手仕事の美を再認識できる場所。江戸時代後期の米倉を再生した、その使い方のすばらしさも見所です。
囲炉裏の部屋から、入り口とその向こうの倉敷川を臨む
英国アンティーク家具、織物の花瓶敷き、さりげなく飾られたドクダミの花。
今ではよく見られる古い建物の再生利用ですが、こうした使い方のはしりとして、美しさを多くの人に知らせた展示室の太い梁。照明ひとつにもこだわりと洗練が感じられました。
建物の間の空間
その後大原美術館へ。中庭にはちょうどモネのスイレンが咲き始めていました。
長老(?)学芸員守田氏によるギャラリートークに参加して美術館の生い立ちなどを小一時間聞いて回りました。児島虎次郎の収集のすばらしさを再認識。その中の珍しい話のひとつ、忘れないうちに書いておきます。
セガンティーニの「アルプスの真昼」は所蔵品の中でも有名な作品。今はスイスに里帰り貸し出し中でしたが、その作品を書いたのは標高1200メートル。その後どんどん高いところで絵を描くようになって、なくなるときは3000メートルの場所にアトリエがあった。看取ったのは弟子の画家ジャコメッティーで、彫刻家として有名なジャコメッティーお父さんだということ・・・・周辺の話もまた聞きに行きたいと思いました。
そういう説明を聞いていると、年配のお客さんが、「モネのスイレンはどうして真ん中あたりがぼんやり煙ったように描いてあるのか」と質問されました。みんな不思議に思うところなので、学芸員さんの説明に注目。「空や雲が移りこんでいる様子を表現しているのでしょう、全体を美しく同じように色を乗せたら、きっと単調になって飽きるでしょう」ということと、遠近法の表現について説明してくれました。
大原美術館本館(昭和5年開館)の2階正面の窓から倉敷川を臨む
そのあと、隣の喫茶店エル・グレコでお茶を飲みつつ、ツタの葉陰を写真にパチリ
建物の中から見る緑の風景も、窓に風情があると一味違います。