題名にひかれて、図書館で借りてきました。2000年講談社発行。本の概要はこちら。
「おぎすみきのり」?狭い情報しか持っていないので、初めて聞く名前でした。日本の伝統園芸植物や世界のあらゆる植物に造詣が深く、中国西南部を中心に自生地の調査を精力的に続けている方だそうです。知る人ぞ知る「海外からは園芸界のノーベル賞のようなものをもらっている偉大な人物である。だが、学歴主義の日本でだけ評価が低い。数十の種を発見している大変な人なのに・・・」と書いている人もいました。
「幻のバラ」ロサ・シネンシスの野生種再発見・・・のストーリーから始まる文章は感動的です。そして、植物に対する情熱の深さ!大学の研究者ではない立場から実力でぐいぐい専門家に迫って認められていった様子が語られ、たいへん興味深い内容です。捜し歩き、園芸の歴史をたどるミステリー冒険ノンフィクション。
わたしは「コウシンバラ」という原種があるとばかり思っていました。けれど、中国のバラの栽培の歴史が古く、多くの雑種が生まれていて、その中の四季咲き性を持った品種の総称に近いのがコウシンバラ。学名が付けられた「ロサ・シネンシス」とイコールではない。「ロサ・シネンシス」は、「「ロサ・シネンシス・センパフローレンス」に近い・・・ふむふむ(?)よくわかりません。見たこともありません。
現代バラ誕生にかかわった中国原産バラ4種(Slater's Crimson China=現在のセンパフローレンス,Hume's Blush Tea-scented China,Parsons' Pink China,Parks' Yellow Tea-scented China)・・・・この4種はRosa chinensisとRosa giganteaの雑種。けれど、交雑の過程でノイバラかその近縁種の血が入ったのではないか。さらに、Rosa chinensisそのものが、野生種のRosa chinensis f.spontaneaとノイバラかその近縁種との自然交雑種ではないか・・・「DNA分析によって解明される時期がくるのを期待したい」・・・・よくわからないけれど、広い広いバラ園芸の歴史を垣間見て、複雑怪奇だけれどますます原種と自生に興味が深まりました。牧野植物園かなあ(抱負2)。
しかも、この本に載っている写真の美しいこと。ロサ・シネンシス・スポンタネア!このように撮らなければ感動は伝わらない、と教えてくれているようです。氏が発見して日本に紹介したスポンタネアについての記事の中で特に気になったのは、この花と赤いバラの関係についての記載があるこのページです。(一季咲きの一重の赤がコウシンバラの原種だなんて・・・)