7月5日(水) 晴れ時々曇り
引き続き不安定な予報なのをいいことに、本日もナキウサギ詣ででお茶を濁す。
やっぱり山泊まりはもはや夢のまた夢かと、この時点でかなりあきらめモード。
下界からは霞んでいて見えなかった山が、望岳台まで上がってしまうと、すっきり
ほぼ全山見えていて、登山日和なのかと思ったら、このあと山上はガスってしまう。
現場では、昨日も来られていたおじさんとほぼ二人っきりだった。途中ガイドさん?が
引き連れてきた外国人三人組が一時やってきたのと、私と入れ替わるように男性が
一名登ってきた以外には。
そんな静けさが功を奏すのか、子ナキは今日も元気いっぱい、マリのように弾んで
飛び回る。岩場を縦横無尽に駆け巡り、食欲旺盛、なんでもかんでももりもり食べていた。
すくすく育ってほしい。
吹上温泉・白銀荘へ久しぶりに立ち寄る。日帰り入浴は100円値上げされ、700円に
なっていた。
前出のおじさんは、ここでキャンプしているそうだ(一張500円、ただし入浴料は
別料金)。コロナ禍を経て客層が変わり、キャンパーが夜中まで騒ぐので困ると
嘆いておられた。
風呂を上がると、ガス帯がすぐそこまで迫ってきていた。しかし雲が多いのは山際
だけで、下はいい天気、強い日差しが照りつけた。
7月4日(火) 曇りところにより一時雨のち晴れ
不安定な天候で、予報しづらく、微妙なニュアンスな(どちらともとれそうな)予報を
出さざるを得ないのは致し方ないのかもしれない。気象庁と日本気象協会とで若干
予報が違っていることがしょっちゅうで、どこを信じたらいいのかこちらも判断
つきかねた。この日はどちらかというと気象協会が当たりで(たしか曇りのち晴れと
出ていた)、気象庁は「曇り」の予報が、朝になって「晴れ」に変わっていた、おいおい。
雲が多いが天気はさほど悪くないと判断しながら望岳台まで登ってきたら、雨。
どうやらガス帯のなかに入っているためらしい。しばらく様子を見るしかなかろうと、
朝ごはんのパンを食べ、トイレに行き、本を読むなどしているうちにガスが徐々に晴れ、
雨が止み、青空も見え始めた。とはいえ、この先、見通しが明るいと決まっておらず、
雨具を着用、ザックカバーを装着し、雨が降り出したらすぐに下山するつもりで
歩き始めた。車中泊のため、濡れたものを干したり、仕舞ったりできる場所がなく、
できるだけぬれねずみな状態で車に戻りたくはないのだ。
その点、ここのナキウサギ撮影ポイントは、距離が短いので助かる。
それで、猫も杓子も訪れる、人気の撮影スポットなのだが、昨年あまりにも人が
大勢集まりすぎて、問題となり、規制がかけられたりしたためか、今日も人があまり
やってこない。常連さんによると、監視員により強制退去させられた日もあったそうだ。
この日は三人のみだった。私はここにはこれまでほとんど訪れてなくて、比較はできず、
この日たまたまこの人数なのかもしれないが、まあ、おかげで、静かに撮影できた。
一昨日と同じ個体だろう子ナキは元気いっぱい、この前よりもサービス精神旺盛に
頻繁に現れ、あっちこっち、走り回っていた。あれ全部テリトリーなんだろうか?
世間慣れ?したのか、先日にも増して、活動が明らかに活発になっていたのに驚いた。
このところナキウサギを観察する機会が増えている私としても、ここまで登場頻度高く、
しかも長く出ている個体は初めてだ。その上子供で、仕草などが愛くるしいので、
女性客からは「かわいい~!」の声援を一身に集めていた。ナナカマドの木には登る、
急な崖を走り回る張り切りボーイ、実際のところ雌雄ははっきりしないがおそらく
やんちゃ坊主で、もし女の子なら、相当なお転婆さんである。
何度も登場し、同じようなパターンを繰り返すことも多かったので、観察を深められた。
まず、周囲に咲き誇っているエゾイソツツジにはあまり興味を示さず、ほとんど
近づかなかったこと。逆に、ウコンウツギは花、葉っぱ共に大好物と見え、落花し
萎れた花も含め頻繁に食べていた。しかし、栄養が偏らないように? そればかり食べず、
様々な種類の葉っぱを食べたこと。その合間に、苔類を頻繁に食べたことも不思議だった。
特別何かしら意味があるのだろうか? 例えば、ぺギラ来襲に備え、ペギミンHを
補充しているとか… 「ペギラVSナキウサギ」の壮絶な戦いを見てみたい気もする。
ペギラはこれでもかと冷凍光線をまき散らすだろうが、氷河期を生き延びたナキウサギは
寒さにはめっぽう強い、いい戦いになりそうだ。
…何の話だったか。そう、張り切りボーイのことだ、とにかく、体の大きさからは
考えられないくらいの大食漢で、気持ちいいくらいもりもり食べていた。食べっぷりが
いいのと、食べこぼしまで拾って、きれいに平らげたのが立派であった。このあと
数日彼を見守ることになるのだが、気のせいでなく、その間でも体がひとまわり大きく
なったようだ。数か月で本格的な冬が来る、その前に越冬できる体をつくらねばならない。
彼ならおそらく大丈夫だろうが、あまり頻繁に巣穴から出てくるので、天敵に
襲われないか、老婆心ながらそれを案じた。
心配した天気はそのまま回復傾向で、撮影中雲がどんどん少なくなり、下山時には
大きく青空が広がった。ただし、山上部はずっと雲が掛かり、道内、地点によっては
激しいにわか雨が降ったところもあったようだ。やはり、気の抜けない天候なのは
間違いなく、それを言い訳に、なかなか山泊まりへ繰り出せないでいる。
この旅、初めて夕方撮影に出かけた。時刻は17:00頃、普段ならもう弁当をつまみに
ビールをプシュッといわせている頃だ。山が見えていないことは街中で承知して
いて、発達した入道雲に覆われた十勝連峰と見頃を迎えているジャガイモの花を
組み合わせてみた。
この入道雲が色づいたらきれいかもなと気にはなったが、とてもそれまで辛抱して
待つことができそうになく、すたこらサッサと道の駅へ引き上げた。そのあと
西の空の雲がにわかに多くなって、あまりきれいな夕焼けでなかったと思う、
…たぶん。
7月3日(月) 曇り一時雨
天気のすぐれない日は読書に限るということで、東川町の図書館で
「奇面館の殺人/綾辻行人著」(講談社ノベルス版)を読みきった。
『館』シリーズの9作目にあたり、「全10巻で区切りをつける」と
あとがきにあることから、最終巻の手前、現時点でのシリーズ最新刊と
なるようだ。
舞台となる時代背景は、まだ携帯電話が十分に普及していない1993年で、
しかも仮に携帯を持っていたとしてもまず電波が届かないだろう山奥
(東京都ではあるが)の土地、おまけに大雪で世間との行き来は完全に
遮断された設定により、クローズドサークルをつくりだしている。
これまでの「館」同様、中村青司が設計したとされる「いわくつき」の
建物で、主が催した仮面を被った集まりのあと、首と手の指10本が切断
された殺人事件が発生、参加者が鍵をかけられた仮面を外せないまま、
過去の事件すべてに因縁のある推理作家が謎の解明に挑む。
たまたまこれを読み終えたタイミングだったか、札幌で首を切断された
死体が発見された事件があったとニュースで知り、現代でもなにかしらの
理由でそうする必要性があるのだな思った(被害者の方の身元はすぐに
判明したようだ。すると、首を持ち去らねばならない理由はなんだった
のだろう?)。
(追記:のち、容疑者とみられる親子が逮捕されたが、現時点ではまだ
動機などが解明されていない。これまでの被害者との接点、関係などが
鍵となりそうだ。この手の事件は、徐々に報道される頻度が低くなり、
やがて世間一般には忘れ去られることが多々ある。真相を知りたいのは
山々だが、果たしてその機会を得られるのかどうか微妙なところだ)
長編ながら奇面館で起こる事件はこの殺人一件のみで、複雑な舞台設定や
トリック、それに偶然と必然が交差する展開に、知らず知らずのうちに
綾辻ワールドに引き込まれる。
シリーズ最終巻の登場を期待しつつ、まだ未読の「館」が数冊あるので、
それまでに触れておきたいものだ。
7月2日(日)晴れ時々曇り
不安定ながらも朝は晴れるとの予報、未明星が瞬いていたので丘に登ると、予期した霧が
出ていたが、深すぎてどこまで行っても真っ白、白金温泉で突然ガス帯の上に飛び出て、
結局そのまま望岳台にたどり着いた。
見下ろすと、模範牧場あたりに霧がうっすらと漂っていて、もしかすると、そのあたりで
幻想的な光景が広がっていたのかもしれない(下ではどこでガスが切れているのか
わからないのよ)。
美瑛富士(左)と美瑛岳。おもわせぶりであったが、結局さほど焼けなかった。
さて、このあとどうするか、この時点でまだ決めかねていた。鍛錬がてら、日帰りで
十勝岳を往復するか、ナキウサギ・ウォッチングしながら望岳台付近を散策するか…
ひとまず、この前(春の旅で)ナキちゃんの声がしたあたりまで行ってみるかと歩き
始めると、「ナキウサギの撮影ですか?」と埼玉県の男性(私よりも若干年下のように
見えた、名前を聞いたが忘れてしまった…)が声をかけてきて、結局、この方のあとを
ついて歩くようなかたちになった。人任せもいいか~って、優柔不断この上ない。
この方は、星の庵やぬかびらユースにも泊まるとのことで、どうやら共通の知人がいる
らしいこともわかった。山(写真)の世界は狭いのだ。
この方は鳥も撮るようで、一昨日某地でクマゲラを撮影したと言っていた。鳥の姿を見ると
追いかけまわしていたが、私は原則首からカメラをぶら下げて歩く習慣がないので、
見てるだけ~である。
ハイマツで羽を休める鳥をコンデジで写してみた。名前を教えてくれたが、これも忘れて
しまった… (ギンザンマシコのメスだったか?)
いろいろあって、結局、有名なナキウサギ撮影ポイントで写すことになった。
私自身はここへ来るのは久方ぶり。昨年オコジョを写そうとわんさか人が押し寄せた
ので問題となり、今期は立ち入り規制が行われると聞いていた。そんないきさつが
あったためか、天気のいい日曜日にしてはギャラリーが少なく、一番多い時でも
10名ほどだった。
子ナキが割と頻繁に出てくれた上に、シマリス、野鳥と写せたので面白かったが、
はたして、私は何をしに来たのか? これでは、春秋の旅と、やってることが
変わらんやないか! 山岳写真復帰への道のりがさらに遠のいた気がした。
現場へ至るために渡らねばならない木橋の傷みがいよいよ激しい。もちろん、橋が
落ちても、架け替えてくれるはずもなく。
もとよりここは正式な登山ルートではないらしいのだが、するとこの道はいったい
何のために整備されたのだろうか? 近くに火山活動観測のための施設みたいなのもある
ことから、そこへ建設資材などを運ぶための道だったのかもしれないし、また、同じく
すぐ近くを遊歩道が通っていて、その延伸にと整備された道だった可能性もある。
この老朽化した木橋を見るまでもなく、現在は従来の目的としては使われていない
ようで、手入れされることなく、道は一部不明瞭、藪漕ぎが必要な個所もあるほどだ。
これまで「黙認」されてきたこの道の通行は、昨年の騒乱を契機に、この先どうなるか
わからない。
7月1日(土) 曇り一時雨
深夜の雨を境に気温が下がり、ヒンヤリする。
笹一で「鳥だしうどんセット・1400円」、ミニ豚丼をチョイス。
ここのうどんはおいしいイメージを持っていたが、この鳥だしうどんは
スープが辛すぎて、私には合わないようだ。
引き続き天気が悪く、図書館で読書して長時間過ごす。