9月21日(木) くもり
晴れが続く予報の初日…のはずが、朝から雲が多く、天気予報をチェックすると、
「曇り」に変わっていた。行楽日和の山歩きを期待していた方々はがっかりやで!
しかし気温は予想通りに激変し、望岳台で5℃近くまで冷え込んだのではなかろうか。
今日現場は神奈川のSさんと二人だけ。気温が下がり、急に秋めいたせいか、
ナキちゃんの動きが明らかにこの前までとは違っていて、貯食活動が活発化した。
しかし動きが早く、肉眼では大きな葉をくわえているのを何度も目撃しているのに、
なかなか写真におさまってくれない。
ハイマツの中でガサゴソと大きな音がするので待ち構えていると、きれいな赤色の
ギンザンマシコのオスが現れ枝先にとまったので、シャッターを切った。早朝で
暗かったから、うまく撮れているかどうか微妙だが。
切り上げてSさんと二人下り始めると、ご夫婦がいて、Sさんと談笑を始めたので、
その間を利用して私は機材を片付け始めたとたんにナキウサギが登場、まあだいたい
こんなもんですわ。この子は、夏に大活躍した子ナキじゃないかな? 大食漢で、
物おじせずに我々のすぐ目の前で食べ続ける姿に面影がある。きみ、元気やったんやな、
心配したんやで。
長く出続けたので、カメラの再セッティングに間に合わせてくれた。やっぱり、
きみはサービス精神旺盛やわ。
その後も曇り空が続き、どちらかというと雨を心配しないといけないような
空模様だった。
ところが、西の空にほんのわずかな隙間があって、そこへ太陽が差し掛かり、
地平線の彼方へ沈むや否や空が焼け始めた。
夕映えで十勝岳上空も薄いピンク色に染まった。
西の空の広い範囲が赤く染まった。美瑛でスタンバっていた神奈川のSさんも、
今日はダメだろうとあきらめて引き揚げたら焼けたので参ったと明くる日仰っていた。
Sさんのような大ベテランでも騙される夕焼けのシステムって、謎めいていて不思議。
私の愛車も真っ赤っか。宴たけなわの最中車外へ出てきた、さあ、もう一回飲み直そう。
9月20日(水) 曇り時々雨
早朝、雨はどうにかしばらくは降らなさそうだが、昨夜から強くなった風が止まず、
ナキウサ詣では中止にしたほうがいいと岡山のAさんと意見が一致した。
Aさんは今日を境にいったん北を離れるという。しかしすぐまたやってくるらしい、
すごいバイタリティーだ。昔は、北海道に長く居続けるためには、仕事を辞めるか、
いっそ思い切ってこちらへ移住するかしか道はなかったと思うのだが、今時は
リモートワークなんていう手もあり、彼女もそれで糧を得ているらしい。しかも
結婚しているというから驚きだ。こんなに長期間、ダンナをほったらかしで大丈夫
なんか? ラチチュード狭い私だったら、即刻離縁を申し渡すことであろう。
(その前に、向こうから愛想を尽かされ出ていかれるのがオチだな) 包容力、
許容量の大きいダンナで良かったねえ。
ずっと行動を共にしていたわけじゃないが、現場へ行けばいつも見かける顔が
いなくなると、一人残されたようで寂しい。おしゃべりで、にぎやかな彼女が
いないと静かすぎるのだ、君が去った後は。
9月19日(火) 曇りのち雨
風雨が収まり、山では予報以上にいい天気で、早朝青空が広がった。
本日の現場は岡山のAさんと二人のみ。三連休明けと、あまり予報が良くないことが
重なり、ほかにまったく登ってくる気配がなく、静かで好ましい。
雨が遅くまで残ったので心配したが、ナキウサギはそれなりに姿を見せた。しかし、
最初と最後の一時間、ピタッと動きが止まり、鳴き声すら聞こえなくなる。これが
不思議なんだよなあ。
秋らしい雲が上空に流れる。一時の暑さを思うと、ずいぶんしのぎやすくなった。
柳月の「おはぎ・つぶあん」140円。
風が強まり、天窓に松の葉がついている。トンボ、このあと車を動かしても、
しばらくへばりついたままだった。楽ちんらくちんと思ったのかどうか…
9月18日(月・祝日) 曇り時々雨一時晴れ間
昨夜は雨が降り続き、雨脚が弱まったのは夜が明けてからだった。午後は晴れ間が
広がるなど、回復傾向だった。
またまたやってきたトンボ、長居せず、わりあいすぐに飛び去った。
望岳台では、夕方山がきれいに見えていた。このタイミングでやって来た人々は
いい景色を拝めたはずだ。しかし、相変わらず聞こえてくるのは、韓国語や
中国語など、外国人の言葉ばかりだな。
夜になってまた雨が降り始め、強風を伴い、夜半まで激しく降った。
9月17日(日) 晴れのち曇り(夕方から雨)
本日も当初の予報よりは天気の崩れるのが遅れたようで、午前中は安定した青空で
日差しがまぶしく、午後以降急速に雲が多くなった。
早朝、ほぼ用意を整え、さあ出発と車外へ出たとたん、北海洋さんに声をかけられた。
コロナ禍と、私が山に登れなくなったことなどが重なり、直接お会いするのは
四年ぶりくらいだろうか。地元の彼はここ望岳台付近の地形を知り尽くしていて、
今回はこれまでの場所でなく、急きょ彼のお供をさせてもらうことになった。
十勝連峰上空に広がったひつじ雲。ここにきて、ようやく秋の気配?
天気が崩れる前だからだろうか、この朝は、印象的な雲がいくつか出現した。
現場入りして早々にオコジョが出てきてお早うさん、いきなりすぎて構え遅れ、
慌てふためくばかりで、うまく写せなかったのが残念。オコジョ出没のせいだけではない
だろうが、ナキウサギはあまり頻繁には現れなかった。
彼くらいの本格的な動物写真家ともなると、ナキちゃんが出てきただけでは
すぐさまシャッターを切らない。私のように、なんでもかんでも喜んで
追いかけまわしたりしないのだ。レベルの差はわかりきっていたこと、
半日入門、いい勉強になりました。
9月16日(土) 曇り時々晴れ
三連休の初日、天気予報のいい土曜日、望岳台へと多くの車、人が押し寄せた。
ナキウサギ目当ての撮影者もこのところでは一番のにぎわいで、私がいた場所でも
7名、付近を合わせると推定20名以上はいたのではなかろうか。現場はそれほど
広いわけではないので、できたら3,4名程度での撮影がのどかで好ましい。
本日は、釧路のOさんが予想した通り、昨日とは比べ物にならないくらい
ナキちゃんの動きは活発にはなったが、現れる地点が遠かったことと、前述のように
撮影者の密度が濃く、自分の思い通りに撮影地点を変えるのが難しかったりで、
納得できるような撮影は出来ずじまいだった。
遅ればせながらようやく秋めいた気候で早朝はやや冷え込んで、日が当たるのが
待ち遠しかった。バッタもそのようで、ほどよく暖められたリュックに数匹
群がっていた。
おかえりトンボ。
遅れていた季節が少し移ろい始めたのを敏感に察知しているのか、長居は無用と
ばかり足早に飛び去った。
この個体は左上顎に欠損がある
おそらく生まれついてのものでなく
近年何かトラブルに巻き込まれたのだと推察する
グループのリーダー格なのか、警戒厳しく
この子にはしょっちゅう吠えつかれた
ハンディに負けず
末永く吠え続けてほしい
【東ヌプカウシヌプリのナキウサギ 2022.05.17 撮影】
東川町の図書館で読んだのが、「名探偵のはらわた/白井智之著」。文庫本化
されたものが、新刊本コーナーにあったのが目について読んでみた。
白井氏は、これまではなかなかにグロテスティックな推理小説をいくつか
発表されていたようだが、この名探偵~は、いくぶんそのテイストが抑えられ、
比較的万人向きでソフトタッチな作品に仕上げられているという。
とはいえ、そのタイトルから、我々旧世代には、「死霊のはらわた」という古い
オカルト映画を連想させるのだが、その通り、内容はその映画内容を踏まえた
もので、過去に大事件を起こした稀代の殺人鬼たちが地獄の亡者から蘇り、
現世で人鬼となり、新たな殺戮を繰り広げるストーリーだ。
しかしタイトルに込められた意味はそれだけでなく、『はらわた』とは
名探偵の助手の原田亘(はらだ わたる)の愛称で、なんだ、そうだったのか
と思わせておいて、いきなり探偵役が殺害され、名探偵の「腸=はらわた」が
飛び出る始末。タイトルだけでなく、作品内容も多重に張り巡らされた伏線
だらけ、気を抜くことなく読み進めなければならない。
探偵役がすぐに消えてしまう設定は、今村昌弘さんの小説にもあって驚いた
ものだが、ここでは、死んだ探偵の体に地獄から派遣された伝説の名探偵が
乗り移り、活躍を引き継ぐ意表を突く展開で、スマートで紳士的な探偵
(例えれば、シャーロック・ホームズや明智小五郎みたいな)から、能力は
高いがゲス野郎な人格に中身が入れ替わることで、以降作風も一転するのが
面白い。しかも対峙する犯人は人間に憑依した人鬼、逮捕でなく「ぶち殺す」
しか解決手段はなく、否が応でもハードボイルドでバイオレンスな展開へと
エスカレートする。
『八重定事件』『農薬コーラ事件』『津ヶ山三十人殺し事件』などなど、
ああ、あの事件がモチーフなんだとすぐわかる個々の事件を解決し、
物語が一応の決着をみるとき、タイトルの真の意味が分かるという仕掛け。
SFじみたぶっ飛んだ設定だが推理は本格的、今時のなんでもありの
アニメを違和感少なく見られる方にはお勧めの、とても面白かった一冊。
9月15日(金) 晴れ時々曇り
深夜まで降り続いた雨が上がり、早朝山上は快晴に近いような青空が広がった。
ただし麓には密度の濃い雲海が広がっていて、下界ではお昼前後まで曇りとなった。
今日から明日にかけての予報が良く、山に入るならこのタイミングしかなく、
今更ながらではあるが、緑岳か赤岳へ日帰りで下見に行ってこようか迷った。
しかし伝え聞くところによると、山上は草紅葉の状況すら良くないうえに、
ナキウサギなどの動物の出も決して良くないらしく、はたして、無理して遠くまで
出かける意味はあるものかと、結局安易な方向へと流された私は、本日も
望岳台詣でで事を済ませてしまった。
ナキウサギ撮影現場は釧路のOさん、岡山のAさん、神奈川のSさんの四人だけで、
ペチャクチャとおしゃべりしながら待機するのはいいとして、肝心のナキちゃんは
一向に現れず、岩場はし~んと静まり返りっぱなしだった。Oさんによると、
草に水滴が残っているとナキウサギは嫌がり、あまり出なくなるという考察で、
「昨夜は遅くまで雨が降りすぎたのが気になっていた」う~ん奥が深いな。
結局、たった一度姿を現せただけで、ファールチップで空振り三振てな感じ。
午後になっても山は安定して見え続け、Sさんに教えてもらった美瑛のひまわり畑で少し撮影。
Aさんは、午後ロープウェイで姿見まで行って、シマリスを撮影してきたようだ。
前向き、アクティブやなあ。
夕方も山はくっきり。
オプタケシケ上空の夕映え。
やや雲が多くなったのがかえって幸いしたのか、予想以上にきれいに夕焼けた。
9月14日(木) 曇りのち雨
予報では昼前から雨が降り出すとのことで、山上も今にも降り出しそうなくらい
雲が多めだが、道のりが近いのがこの現場のいいところ、早めに切り上げることを
念頭に置いて現地へ赴いた。
岡山のAさん、札幌のA(♂)さんと現場は三名のみ。雨が降り出すことがわかっている
のか、その前にひと仕事しておくつもりなのだろう、ナキちゃんの動きは予想以上に
活発で、何度かエサを貯蓄場へ運ぶ姿は見られ、動きを予測、撮影チャンスはあったのに、
どうにもうまく写せないのでもどかしい。
ぽつぽつと雨が落ち始めたのを契機に、私と岡山のAさんは切り上げた。その後
割とすぐに雨脚が強まったので、もう少し粘ると残った札幌のAさんは、濡れ鼠に
ならずに引き上げられたのだろうか?
久しぶりに白金保養センターで日帰り入浴した。表の看板などがイメージチェンジ
していたから、運営団体などが変わったのかと思ったが、館内はまったく以前通りの、
ひなびれた渋すぎる施設のままであった。
このあと本降りの雨がずっと降り続けた。この雨を境に気温が下がり、ようやく
この時期らしい20℃ちょっとの気温で収まるようになった。前回夏、そして今回と、
長時間雨に降られることがしばらくなかったので、その感覚が忘れ去られていた。
車内にぶら下げた濡れタオルがいつまでたっても乾かないのを見て、車中泊旅行で
雨に降られるとはどういうことかを思い出した次第だ。