広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

大館駅

2011-09-09 20:59:20 | 秋田のいろいろ
7月に青森に行った時の途中の話題を、遅ればせながらアップします。
青森県境に近い、秋田県大館市のJR大館駅について。※2008年10月にも一部取り上げています

大館駅は、人口7万人の大館市の玄関口(中心市街地とはやや離れている)で、奥羽本線と花輪線が乗り入れる。特急列車を含めて定期列車はすべてが停車し、普通列車は大館が始発/終着のものが多く、それ以外でも長時間停車する列車もある。
乗務員の基地である大館運輸区やJR貨物の駅も置かれていて、列車運行上重要な駅。
2010年度の1日平均乗車人員は1110人(降車は含まない)。街の規模、通学の利用が相当あること、秋田や弘前との間の公共交通機関が鉄道しかない(高速バスなどがない)ことを考えれば、思ったよりも少ないと感じる。
JR東日本の資料に基づいて秋田県内の駅で比較する(見落としがあるかもしれません)と、秋田駅(11369人)に続いて土崎、追分、横手、大曲、羽後本荘、大館、新屋、羽後牛島、能代、湯沢、角館、東能代という順。

2008年の記事ではホームと食べ物だけだったので、今回は駅の建物や設備を中心に紹介します。
冒頭の写真のように、大館駅は、横に長くて平べったい、いかにも「国鉄の駅」といった風情の駅舎。(←当ブログでよく使う言い回しです)出入り口はこちら側(南側)にしかない。
Wikipediaによれば、火災で消失したため、1955(昭和30)年末に建てられた駅舎のようだ。先代の秋田駅舎よりも5年ほど古いことになる。
2階建てのようだが、一般人が立ち入りできるのは1階だけ。2階は駅前広場に面して窓がずらりと並んだ一種の“ガラス張り”の廊下(?)になっていて、窓に旅行商品などの宣伝が貼られている。
大館運輸区は別棟のはずだが、2階には何が入ってるんだろう?
上の写真、左端はJRのコンビニ「NEWDAYS」。
右奥の白と黄緑の構造物は、新しくできた屋根付きの歩行者用跨線橋。裏側にある県立大館国際情報学院(2005年開校の大館商業高校を再編した中高一貫校)などのある駅北側へつながる。
【2014年4月21日追記】和歌山県のJR西日本・紀勢本線の新宮駅舎も、2階がガラス張りで横に長い、大館駅とよく似た構造。1952(昭和27)年竣工だから、ほぼ同時期。


大館といえば、秋田犬(あきた“いぬ”。あきた“けん”じゃありません)。
あの「忠犬ハチ公」も大館生まれで、1924(大正13)年にここ大館駅から列車で東京へ運ばれたそうだ。
ハチ公といえば銅像で、ハチ公の銅像といえば東京の渋谷駅を連想する方が多いはずだが、大館駅にもある。
見づらいですが、こちら
渋谷のハチ公像は、晩年の姿に忠実に左耳が垂れているそうだが、こちらは両耳が立っている。若い頃の姿ということか。
ハチ公像が設置されたのは、渋谷駅は1934(昭和9)年、大館駅は1935年。しかし、いずれも戦時中の金属供出で姿を消した。
終戦後、渋谷では1948年に再建されて、それが現在まで親しまれているわけだが、大館に再びハチ公が姿を現したのは遅く、1987年だった。

ところで、上の写真を見ると、ハチ公像の後ろにも、何か銅像がある。それが、
「秋田犬の像」
1964年に設置された、親子の秋田犬の銅像。題字は1955年から1979年まで秋田県知事を務めた小畑勇二郎氏によるもののようだ。
僕は「秋田犬の群像」という名だと思い込んでいたが、正式には「~の像」だった。でも、例えば大館市役所のホームページ(http://www.city.odate.akita.jp/dcity/sitemanager.nsf/doc/hachi)でも、「忠犬ハチ公の若い頃の姿を中心に「秋田犬群像」が大館駅前に建設されました。」とあるように、「群像」と呼ぶこともある。おそらくハチ公(単独の)像と区別するために「群像」とするのだろう。

群像の前にハチ公が設置されたため、現在は2つの秋田犬の銅像が重なってしまっている。
そのため、たしか、群像をどこかへ移転させようという計画というか構想があったような話を耳にした記憶がある。それはだいぶ前のことだったので、結局は立ち消えになり、引き続きハチ公と群像が揃って大館駅前を見守ることに落ち着いたのだろうか。

今まで意識していなかったけれど、大館のハチ公が置かれている場所。
ハチ公の視線の先は駅正面出口
渋谷駅で飼い主を待ち続けたハチ公と同じく、大館駅の銅像も、降りてくる人たちを「出迎えて」いるのだった。
屋根上の大時計も味わいがある。
冬の光景

もう1つ、大館といえば「花善」の駅弁「鶏めし」も有名。(秋田駅などでも購入できるけれど、できたてはまた格別)
2つ上の写真に戻りますが、2つの銅像の後ろ(道路を渡った向こう)にある黒い建物がその花善(玄関周辺がリニューアルされたかな)。作り立ての駅弁のほか、お食事処もあって「鶏めし御膳」などが食べられる。
同じ写真の左に見えるのが、秋北バスのバス乗り場。すぐ近くに秋北バスの本社があり、そこがやや大きい「駅前バスステーション」、中心部に「秋北バスターミナル」があるので、駅前は単なるバス停といった感じ。いちおう、高速バスなども停車するが、乗降は少なく、すぐに折り返して出て行くことが多い。


駅の中へ。入ってすぐ右が、
びゅうプラザ兼みどりの窓口
もう10年ほど経つかと思うが、みどりの窓口とJR東日本の旅行会社「びゅうプラザ」が一体化したものに改装された(中で窓口は分かれている)。
この部分だけ今風で、ちょっと場違いの雰囲気がするけれど、このように改装したということは、当分駅舎改築はないということだろうか。

正面入口のまっすぐが、自動券売機と改札口。
節電消灯中
タッチパネル式の近距離券売機が2台と、いつの間にか指定席券売機が1台設置されていた。
改札口は自動改札化されていない。秋田県内の主要都市の駅で自動改札でない駅って、大館と湯沢くらいだろう(横手は新駅舎になれば・・・?)。
したがって、列車発車の10分ほど前に案内放送が流れ、駅員がボックスに立って改札が始まるという、昔ながらの東北や北海道の駅の改札スタイルが見られる。

そんな事情もあり、待合室で改札開始を待つ人が多い。
改札口に向かって左側(びゅうプラザの向かい)が待合室。最近の駅のと比べると、かなり広い。
こちらも節電のため消灯中
待合室が以前より余計にだだっ広くなった気がしたが、以前この辺りにあった食堂(2005年まではそば屋)が2007年、売店が2010年にそれぞれ閉店していたのだった。
これにより、駅内から飲食店はなくなったが、売店の方は末期は隣のコンビニ「NEWDAYS」と同じ所が経営(JR東日本秋田支社の子会社「ジェイアールアトリス」)しており、重複していたのを整理した形になるので、あまり不便ではないだろう。待合室後方にも出入り口があり、そこがトイレやNEWDAYS前への近道。
売店の跡地は、上の写真の奥(線路側)、ポスターや写真のかかった壁付近だが、ベンチが置かれて待合スペースが拡大されたほか、観光案内所のカウンター(写真左端の白いもの)ができていた(2011年1月13日からとのこと)。

待合室内にはテレビがある。しかも2台。
右側と左側
節電のためと称して、電力消費が多い昼間だけ点けるのもおかしい気がするけど。

地デジ推進のため、NHKが総合テレビ専用の薄型テレビを、全国各地の駅や公共施設に設置しているが、右側のはそれだと思われる(NHKのロゴが貼ってある)。
ただし、薄型以前にも、同じ場所にテレビがあったような記憶もある。
そのすぐ左(待合室全体で見ると真ん中)にもテレビがあって、これはブラウン管のアナログテレビ(行ったのはアナログ放送終了前)。
「テレビもラジオもABS秋田放送」(ABS秋田放送のロゴが古臭いが、今もこれが現役)
ABS固定のテレビ。アナログ放送が終わった7月24日以降、どうなっているのだろう。※地デジ化後の様子(記事中ほど)

この状態、2台のテレビが近接して設置され、両方とも音が出ているわけで、ウルサイ!
どちらかを視聴するにしても、それなりの集中力が求められる。
広い待合室なのだから、もっと離して設置できないものでしょうか。


ところで、駅の男子トイレの手洗いにあった、注意書き。
「雑巾の水洗いは禁止します」
清掃担当者向けなわけはないから、外部からわざわざここに雑巾を持ち込んで洗ったり絞ったりする人がいるってことなんだろうか?


改札を通って、ホームへ。
1番線が奥羽本線上り、2番線が下り、3番線が花輪線と一部奥羽本線(大館始発の特急つがるなど)の乗り場。
1番線
1番線は改札口直結で、幅が広い。これも国鉄の駅らしい造り。
2008年に紹介したように、1番線の広さを活かしてオブジェなどを置いている。
左は常設の「ハチ公神社」。そして右に窓がある
この窓、現在は観光案内所が(この壁の裏側の)待合室内にあることの表示と、案内所の通風の役目しかしていないようだが、売店があった当時は、ここからも商品を購入できたのだろう。
大館駅のホームには、売店や立ち売りはなく、自動販売機しかない。

2・3番線への階段付近へ進むと、今度はドアがある。

賢明な方はお分かりかもしれないけれど、
コンビニ「NEWDAYS」への出入り口もホームにあるのです
ドアには鈴が付いていた。
このドアから店の外へ出ることはできない旨の掲示がある
札幌の円山動物園のセブンイレブン同様、外部からも出入りできるし、有料区画(駅や園)の入場・入園者も利用できる構造になっているが、改札口や入場門とは異なり、相互の出入りはできないわけだ。

このドアの利用者がどのくらいいるか分からないが、大館で長時間停車する列車の客や、待ち時間が長いけれどきっぷの都合で途中下車できない人には便利なシステムだし、1つの店舗で内外両方の客に対応できるから、店側にしても好都合だろう。
僕も、5分ほどの停車時間を利用して買い物したことがある。車内販売もない列車だったので、助かった。

花善の鶏めしの表示があるが、常時あるわけではないようだし、場合によっては向かいの製造元に電話をかけて届けてもらうこともあるようだ。だから、短い停車時間で鶏めしを買うのはやめた方がよさそうだし、通学時間帯などと重なればレジが混雑しているかもしれないので、注意。
※鶏めしは花善へ直接電話予約すれば、ホームまで届けてくれます。

大館駅のNEWDAYSでも、Suica等の交通系電子マネーでの決済が可能。(ホームの自販機では使用できないはず)
コンビニ弁当や雑誌など一般的なコンビニの品揃えのほか、お土産もけっこう揃っている(銘菓「明けがらす」や「煉屋バナナ」もたしかある)。
2008年に待合室の売店で購入した「なると餅」も、コンビニに場所を移して販売されており、変わらない味だった。
前回は6個入り(700円)だったけど、今回は3個入り(350円)しかなかった


マイクロソフトのかな漢字変換システム「MS-IME」で、「ちゅうけんはちこう」と変換すると、「中堅ハチ公」だって・・・「ベテランハチ公」なんてのもいるのでしょうか。

【2017年4月29日追記】その後の変化。
2017年3月をもって、びゅうプラザが廃止。
2017年に花善の本社・食堂が新築。従来の建物は1957年築だった。
2021年頃までに、駅舎の改築・観光施設設置計画あり。2つの像は移設される見込み。
【2018年3月25日追記】2018年4月1日の変化。
自動改札機設置(この記事後半に写真)。みどりの窓口の営業時間が6時~21時から8時~19時に短縮。
2019年正月の状況
コメント (4)
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