ワンマンバスの運転士の業務は多岐にわたり、大変なのは言うまでもない。安全運行が第一だけど、乗客へのきめ細かな配慮と案内があれば、客としては気分はいいもの。
その1つ、運転士の肉声による案内は、バス会社によってかなり差があるように感じる。マニュアルの有無なのか、地域性なのか。
自動放送でもしゃべる型通りの案内を、重ねてうるさいほど繰り返すようなバス会社(私見&偏見だけど西のほうに多い?)もあれば、なんにも言わないバス会社もあれば。要は適切なタイミングで適切な情報を提供してくれればいいのだけど、それが運転士の負担になるのも考えもの。繰り返すけれど、安全が第一。
運転士の肉声案内に欠かせないのが、マイク。
バスの車内放送マイクといえば、昔からバスガイドが使っている、四角くて細長くて平べったい、手に持って使うもの。
ワンマン路線バスの運転士でも、それを使う時代/バス会社はあった。たしか最近も、宮城交通の高速バスの運転士が使っていた(運行中の使用は安全には注意してくださいよ)。
その後、胸元にクリップではさむピンマイクも登場。テレビ番組の出演者が付けているのと同じ(大きさやワイヤレスかは別として)で、運転中でも手を離さずに案内できるようになった。
だけど口元から遠く、走行音にまぎれてうまく声を拾えないのか、ピンマイクを手に持って使う人や、ハウリング(スピーカーから出た音を、再びマイクが拾ってキンキンする)が発生する場合があった。
さらにその後、頭(耳付近)から口元まで、先端にマイクがついたアームが伸びるタイプが普及した。一見、ヘッドセットのように見えるが、実際にはマイクと逆側にクリップが付いていて、クリップを制帽の縁にはさむ方式。
メーカーのクラリオン(ほかのメーカーはあるのだろうか?)では、「帽子掛型エレクトレットマイクロホン」と称している。
でも、「帽子掛け」って、帽子をかぶらない時に引っかけておくための家具や金具のことじゃないの。それだと、「マイク自体が帽子掛けの型」ってことになるような…(そもそもどこにも「掛け」ていない。)
「帽子装着型」とか「クリップ式」とするべきではないでしょうか。
※メーカーがそう言っているのだから、不本意ながら、以下「帽子掛型」とします。
帽子掛型マイクは、なんか見た目がカッコイイせいか、確実に声を拾える実用性なのか、全国的に2000年代に普及し、今は多くのバス会社が採用している。
肉声アナウンスが盛んになった一因が、帽子掛型マイクの普及かもしれない。
バスガイドといえば、平べったいマイクと同じように、今や、路線バスの運転士といえば、帽子掛型マイクを付けた姿を思い浮かべるのかもしれない。
秋田県内の路線バスで帽子掛型マイクを採用したのは、おそらく秋田市交通局(秋田市営バス)が最初。
2000年6月20日に、一斉に導入されたと記憶(記録)している。それまではクラリオン製のピンマイクだった。
その後、2000年代中頃~後半までには、羽後交通や秋北バスでも導入。
青森の弘南バスでは、2000年代中頃にまずは土手町循環100円バス(他の100円バスは不明)で導入、その後一般路線にも広まり、2009年には「運転士がマイクを使ってちゃんと案内しているか」を報告してもらう乗客モニターを募集しており、その時点で導入完了していたはず。
一方、秋田中央交通では、かたくなに帽子掛型マイクを導入していなかった。【4日補足】ピンマイクを採用していたが、着用・使用の義務付けはなかったようで、使わない人が多かった。
このバス会社のことだから、特別な意味はなく、単にケチっているか、前例踏襲でピンマイクを使い続けていたのでしょう。
昨2016年の夏か秋頃、秋田営業所のごく一部の運転士が、帽子掛型マイクらしきものを装着して運行しているのを、何度か目撃した。秋田営業所でも全員ではないし、他営業所では見かけなかった。
試験的に導入してみたのか、あるいは物好きな運転士さんで自腹で帽子掛型を買ったのかなどと思っていた。
そして、今年夏。
中央交通の多くの運転士が、帽子掛型マイクを使用するようになった!
秋田営業所よりも臨海営業所のほうが、早く行き渡ったように感じられた。
お盆明け時点では、秋田営業所担当の秋田市中心市街地循環バス「ぐるる」もピンマイクだったし、臨海でもまだピンマイクの人もいた。
8月末頃には、ぐるるや秋田営業所担当の空港リムジンバスでも帽子掛型マイクを使っている。
また、帽子からではなく、首側から上へマイクのアームが立ち上がる形で装着している人がわずかにいる。そのようなタイプの製品も存在(後述)するが、帽子掛型のクリップを工夫して服に装着すれば、そのようにして使えなくはなさそう。
その結果、ざっと見た限り、帽子掛型マイクを装着して運転する人のほうが多くなったが、帽子掛型マイクを壁のフックに掛ける(帽子掛型マイク掛け?)など、マイクを装着せずに営業運転している運転士も複数おり、使用が義務付けられてはいないようだ。いかにもこのバス会社らしい。
現在、クラリオンでは、帽子掛型マイクを2種発売している。電源の有無(ワイヤードなのに電池が必要なマイクなんてあるのか)と、マイク部分の形状(風防の有無)が異なり、中央交通で導入したのは電源なしの「EMA-048-200」だと思われる。
クラリオンホームページよりEMA-048-200
クラリオンのホームページには、販売終了・在庫僅少(矛盾しているけど製造終了ってこと?)として「EMA-040-200」というのも掲載されている。市営バスで使っていたのはこんなのだった。
EMA-040-200
「フレキシブルタイプ」ってことは、アーム自体が針金のように変形するのだろうか。現行のよりはアームが細い。
ほかに、コード部分は現行のほうが複雑な構造。アーム側のコード接続部分に硬質そうなプラスチックが付き、端子側はカールコード。おろらく、従来タイプでは、コードがアームや体にまとわりついて取り回しが大変で、その点を改善したのではないだろうか。市営バス時代は、車体側に細工(コードをいったん高い位置に上げてから、差し込み口へ下ろすなど)して、コードがからまないようにしていた運転士がいた。
ところで、歴史があるピンマイク(クラリオンでは「ネクタイピン型」)。テレビ番組用のような昔からあるタイプは、クラリオンでは販売終了。
現行タイプは、帽子掛型と同じように、ピンから口元までアームが伸びているタイプ。帽子掛型よりはアームが短い。走行音がするバス車内では、そのほうが実用的なのだろうか。
最近は、クールビズの一環で制帽がないバス会社もあるから、需要はあるはず。【10月18日追記】秋北バスでは以前は帽子掛け型を使っていたが、2017年夏時点では、帽子をかぶらず、このタイプのピンマイクを使っているようだ。
手持ちの資料を参考にさらにさかのぼる。いつ頃かは分からないが、おそらく昭和(50年代以前?)だろう。
当時は、「首かけ式」というのがあった、ネックレス状のヒモからマイクが立ち上がるもの。また、「MAA-013」という「帽子かけ式」も既に存在していた。どちらも、マイク部分も金具類も現在よりはだいぶ大きそう。
秋田市営バス
秋田市営バスから遅れること17年で、中央交通が帽子掛け型マイクを導入。
すなわち、市営バス廃止(=秋田市から帽子掛型消滅※)から11年経って、秋田市に帽子掛け型マイクが再登場した。※秋田市に乗り入れる羽後交通、秋北バスを除く。
でも、マイクが変わって接客が良くなることを期待するのは、短絡的というか筋違い。
上記の通り、そもそも帽子掛け型を使わない運転士もいるし、これまでの同社では、まったく案内をしない運転士もおり、それが突然変貌するとは考えにくい。(変貌しすぎて冗舌になられるのもちょっと困る)
とはいっても、最近、帽子掛け型マイクを通してなかなか上手に乗客に案内している運転士に遭遇した。2例紹介。
・臨海営業所の一般路線バス
席がだいぶ埋まってきた車内。新たに乗りこんできた客に、「うしろのほうに空席があります。ご利用ください」と案内。
要は「立っていられると危ないから、座れ」なんだけど、ものは言いよう。※車内事故防止のため、空席があれば座りましょう。
・中心市街地循環バス
ねぶり流し館の建物の前で速度を緩め、「右の建物がねぶり流し館です。バス停はもう少し先ですので…」と案内後、バス停に停車。日本人と外国人(台湾辺り?)の観光客が各1グループずつ降りていった。
ねぶり流し館は建物が道路から引っこんでいるので、バス停から見た時に気づかないおそれがある。気の利いた案内だと感心した。
秋田市営バスでは、1990年代前半には、まだピンマイクを使う運転士は少なかった。使う人は、中ドアを開けた時に「どうぞ」と言ってくれたり多用していたけれど。
その後、使う人が増えたのか、義務付けられたのか忘れたけれど、上記の通り2000年6月からは全員が帽子掛け型を常に使うようになった。その頃から「三大案内用語の実践」が行われ、これも全員が実践していた。
運転席に「三大案内用語の実践」の掲示
「三大案内用語の実践」とは、発車、降車合図への応答、降車客へのあいさつの3つのタイミングの案内を肉声で行うもの。
掲示では「発進します」「動きます」、「次停まります」、「ありがとうございます」としている。
現在では、発車と降車合図応答は、音声合成システムが言ってくれるし、お礼は当然のこと(たまにそうじゃない人もいるけど)になっているが、当時としては新鮮だった。
また、運転者自らが「停まります」と言うことで、停まるべきバス停をうっかり通過してしまうことを防止できていたと思う。
だけど、市営バスで帽子掛け型マイクを採用したことは、乗客としては別にうれしくもなかった。
ベテラン運転士も多かった交通局では、常にマイクを装着して運転することに不慣れな運転士がいたのだ。
鼻息が荒いのかボコボコと風の音がするのはまだしも、独り言やため息まで車内に流れてしまうこともあり、乗客としては複雑な心境だった。せき払い、せき、くしゃみなんかされた日には迷惑だった。
そういえば、最近の帽子掛け型マイクを使うバス会社では、そんな場面に遭遇したことはない。機材が違う(要はスイッチでオンオフできる)ってことなのか。
【8日追記】乗客のうち1人と問い合わせや運賃収受のやり取りをする声が、マイク~スピーカーを通じて車内/または入口ドアが開いている場合は車外に筒抜けになってしまうのも、ちょっと困る。これは、路線バス乗り継ぎ旅などでたまに見られる。
【2018年1月21日追記】2018年始時点でも、付けない運転士もいるし、従来と同タイプのピンマイクを付けて運転する運転士(臨海営業所)がいた。
【2020年11月4日追記】2020年に新型コロナウイルス感染症が流行。運転士はマスク着用が基本となった。中央交通では国土交通省の指導によると称して、夏場は、マスクにより熱中症にならないよう、(これまでの回送時だけでなく営業運行でも)脱帽して運転することになった。※その対応に文句はなく当然だと思うが、「脱帽してマスクをしない」運転士もわずかにいるのは、なんだか…
そのため、首より下から上に向かってアームを伸ばしてマイクを使用する運転士が増えた。上記の通り以前から一部いたが、従来の帽子掛タイプを工夫して使っているのだろうか。
その1つ、運転士の肉声による案内は、バス会社によってかなり差があるように感じる。マニュアルの有無なのか、地域性なのか。
自動放送でもしゃべる型通りの案内を、重ねてうるさいほど繰り返すようなバス会社(私見&偏見だけど西のほうに多い?)もあれば、なんにも言わないバス会社もあれば。要は適切なタイミングで適切な情報を提供してくれればいいのだけど、それが運転士の負担になるのも考えもの。繰り返すけれど、安全が第一。
運転士の肉声案内に欠かせないのが、マイク。
バスの車内放送マイクといえば、昔からバスガイドが使っている、四角くて細長くて平べったい、手に持って使うもの。
ワンマン路線バスの運転士でも、それを使う時代/バス会社はあった。たしか最近も、宮城交通の高速バスの運転士が使っていた(運行中の使用は安全には注意してくださいよ)。
その後、胸元にクリップではさむピンマイクも登場。テレビ番組の出演者が付けているのと同じ(大きさやワイヤレスかは別として)で、運転中でも手を離さずに案内できるようになった。
だけど口元から遠く、走行音にまぎれてうまく声を拾えないのか、ピンマイクを手に持って使う人や、ハウリング(スピーカーから出た音を、再びマイクが拾ってキンキンする)が発生する場合があった。
さらにその後、頭(耳付近)から口元まで、先端にマイクがついたアームが伸びるタイプが普及した。一見、ヘッドセットのように見えるが、実際にはマイクと逆側にクリップが付いていて、クリップを制帽の縁にはさむ方式。
メーカーのクラリオン(ほかのメーカーはあるのだろうか?)では、「帽子掛型エレクトレットマイクロホン」と称している。
でも、「帽子掛け」って、帽子をかぶらない時に引っかけておくための家具や金具のことじゃないの。それだと、「マイク自体が帽子掛けの型」ってことになるような…(そもそもどこにも「掛け」ていない。)
「帽子装着型」とか「クリップ式」とするべきではないでしょうか。
※メーカーがそう言っているのだから、不本意ながら、以下「帽子掛型」とします。
帽子掛型マイクは、なんか見た目がカッコイイせいか、確実に声を拾える実用性なのか、全国的に2000年代に普及し、今は多くのバス会社が採用している。
肉声アナウンスが盛んになった一因が、帽子掛型マイクの普及かもしれない。
バスガイドといえば、平べったいマイクと同じように、今や、路線バスの運転士といえば、帽子掛型マイクを付けた姿を思い浮かべるのかもしれない。
秋田県内の路線バスで帽子掛型マイクを採用したのは、おそらく秋田市交通局(秋田市営バス)が最初。
2000年6月20日に、一斉に導入されたと記憶(記録)している。それまではクラリオン製のピンマイクだった。
その後、2000年代中頃~後半までには、羽後交通や秋北バスでも導入。
青森の弘南バスでは、2000年代中頃にまずは土手町循環100円バス(他の100円バスは不明)で導入、その後一般路線にも広まり、2009年には「運転士がマイクを使ってちゃんと案内しているか」を報告してもらう乗客モニターを募集しており、その時点で導入完了していたはず。
一方、秋田中央交通では、かたくなに帽子掛型マイクを導入していなかった。【4日補足】ピンマイクを採用していたが、着用・使用の義務付けはなかったようで、使わない人が多かった。
このバス会社のことだから、特別な意味はなく、単にケチっているか、前例踏襲でピンマイクを使い続けていたのでしょう。
昨2016年の夏か秋頃、秋田営業所のごく一部の運転士が、帽子掛型マイクらしきものを装着して運行しているのを、何度か目撃した。秋田営業所でも全員ではないし、他営業所では見かけなかった。
試験的に導入してみたのか、あるいは物好きな運転士さんで自腹で帽子掛型を買ったのかなどと思っていた。
そして、今年夏。
中央交通の多くの運転士が、帽子掛型マイクを使用するようになった!
秋田営業所よりも臨海営業所のほうが、早く行き渡ったように感じられた。
お盆明け時点では、秋田営業所担当の秋田市中心市街地循環バス「ぐるる」もピンマイクだったし、臨海でもまだピンマイクの人もいた。
8月末頃には、ぐるるや秋田営業所担当の空港リムジンバスでも帽子掛型マイクを使っている。
また、帽子からではなく、首側から上へマイクのアームが立ち上がる形で装着している人がわずかにいる。そのようなタイプの製品も存在(後述)するが、帽子掛型のクリップを工夫して服に装着すれば、そのようにして使えなくはなさそう。
その結果、ざっと見た限り、帽子掛型マイクを装着して運転する人のほうが多くなったが、帽子掛型マイクを壁のフックに掛ける(帽子掛型マイク掛け?)など、マイクを装着せずに営業運転している運転士も複数おり、使用が義務付けられてはいないようだ。いかにもこのバス会社らしい。
現在、クラリオンでは、帽子掛型マイクを2種発売している。電源の有無(ワイヤードなのに電池が必要なマイクなんてあるのか)と、マイク部分の形状(風防の有無)が異なり、中央交通で導入したのは電源なしの「EMA-048-200」だと思われる。
クラリオンホームページよりEMA-048-200
クラリオンのホームページには、販売終了・在庫僅少(矛盾しているけど製造終了ってこと?)として「EMA-040-200」というのも掲載されている。市営バスで使っていたのはこんなのだった。
EMA-040-200
「フレキシブルタイプ」ってことは、アーム自体が針金のように変形するのだろうか。現行のよりはアームが細い。
ほかに、コード部分は現行のほうが複雑な構造。アーム側のコード接続部分に硬質そうなプラスチックが付き、端子側はカールコード。おろらく、従来タイプでは、コードがアームや体にまとわりついて取り回しが大変で、その点を改善したのではないだろうか。市営バス時代は、車体側に細工(コードをいったん高い位置に上げてから、差し込み口へ下ろすなど)して、コードがからまないようにしていた運転士がいた。
ところで、歴史があるピンマイク(クラリオンでは「ネクタイピン型」)。テレビ番組用のような昔からあるタイプは、クラリオンでは販売終了。
現行タイプは、帽子掛型と同じように、ピンから口元までアームが伸びているタイプ。帽子掛型よりはアームが短い。走行音がするバス車内では、そのほうが実用的なのだろうか。
最近は、クールビズの一環で制帽がないバス会社もあるから、需要はあるはず。【10月18日追記】秋北バスでは以前は帽子掛け型を使っていたが、2017年夏時点では、帽子をかぶらず、このタイプのピンマイクを使っているようだ。
手持ちの資料を参考にさらにさかのぼる。いつ頃かは分からないが、おそらく昭和(50年代以前?)だろう。
当時は、「首かけ式」というのがあった、ネックレス状のヒモからマイクが立ち上がるもの。また、「MAA-013」という「帽子かけ式」も既に存在していた。どちらも、マイク部分も金具類も現在よりはだいぶ大きそう。
秋田市営バス
秋田市営バスから遅れること17年で、中央交通が帽子掛け型マイクを導入。
すなわち、市営バス廃止(=秋田市から帽子掛型消滅※)から11年経って、秋田市に帽子掛け型マイクが再登場した。※秋田市に乗り入れる羽後交通、秋北バスを除く。
でも、マイクが変わって接客が良くなることを期待するのは、短絡的というか筋違い。
上記の通り、そもそも帽子掛け型を使わない運転士もいるし、これまでの同社では、まったく案内をしない運転士もおり、それが突然変貌するとは考えにくい。(変貌しすぎて冗舌になられるのもちょっと困る)
とはいっても、最近、帽子掛け型マイクを通してなかなか上手に乗客に案内している運転士に遭遇した。2例紹介。
・臨海営業所の一般路線バス
席がだいぶ埋まってきた車内。新たに乗りこんできた客に、「うしろのほうに空席があります。ご利用ください」と案内。
要は「立っていられると危ないから、座れ」なんだけど、ものは言いよう。※車内事故防止のため、空席があれば座りましょう。
・中心市街地循環バス
ねぶり流し館の建物の前で速度を緩め、「右の建物がねぶり流し館です。バス停はもう少し先ですので…」と案内後、バス停に停車。日本人と外国人(台湾辺り?)の観光客が各1グループずつ降りていった。
ねぶり流し館は建物が道路から引っこんでいるので、バス停から見た時に気づかないおそれがある。気の利いた案内だと感心した。
秋田市営バスでは、1990年代前半には、まだピンマイクを使う運転士は少なかった。使う人は、中ドアを開けた時に「どうぞ」と言ってくれたり多用していたけれど。
その後、使う人が増えたのか、義務付けられたのか忘れたけれど、上記の通り2000年6月からは全員が帽子掛け型を常に使うようになった。その頃から「三大案内用語の実践」が行われ、これも全員が実践していた。
運転席に「三大案内用語の実践」の掲示
「三大案内用語の実践」とは、発車、降車合図への応答、降車客へのあいさつの3つのタイミングの案内を肉声で行うもの。
掲示では「発進します」「動きます」、「次停まります」、「ありがとうございます」としている。
現在では、発車と降車合図応答は、音声合成システムが言ってくれるし、お礼は当然のこと(たまにそうじゃない人もいるけど)になっているが、当時としては新鮮だった。
また、運転者自らが「停まります」と言うことで、停まるべきバス停をうっかり通過してしまうことを防止できていたと思う。
だけど、市営バスで帽子掛け型マイクを採用したことは、乗客としては別にうれしくもなかった。
ベテラン運転士も多かった交通局では、常にマイクを装着して運転することに不慣れな運転士がいたのだ。
鼻息が荒いのかボコボコと風の音がするのはまだしも、独り言やため息まで車内に流れてしまうこともあり、乗客としては複雑な心境だった。せき払い、せき、くしゃみなんかされた日には迷惑だった。
そういえば、最近の帽子掛け型マイクを使うバス会社では、そんな場面に遭遇したことはない。機材が違う(要はスイッチでオンオフできる)ってことなのか。
【8日追記】乗客のうち1人と問い合わせや運賃収受のやり取りをする声が、マイク~スピーカーを通じて車内/または入口ドアが開いている場合は車外に筒抜けになってしまうのも、ちょっと困る。これは、路線バス乗り継ぎ旅などでたまに見られる。
【2018年1月21日追記】2018年始時点でも、付けない運転士もいるし、従来と同タイプのピンマイクを付けて運転する運転士(臨海営業所)がいた。
【2020年11月4日追記】2020年に新型コロナウイルス感染症が流行。運転士はマスク着用が基本となった。中央交通では国土交通省の指導によると称して、夏場は、マスクにより熱中症にならないよう、(これまでの回送時だけでなく営業運行でも)脱帽して運転することになった。※その対応に文句はなく当然だと思うが、「脱帽してマスクをしない」運転士もわずかにいるのは、なんだか…
そのため、首より下から上に向かってアームを伸ばしてマイクを使用する運転士が増えた。上記の通り以前から一部いたが、従来の帽子掛タイプを工夫して使っているのだろうか。