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イオン東北発足

2020-03-10 00:30:52 | 秋田のいろいろ
2020年3月1日「イオン東北株式会社」が発足した。
仙台市にあった「イオンリテール株式会社東北カンパニーの食品事業」と、秋田市に本社のあった「マックスバリュ東北株式会社(MV東北)」を統合したもの。
MV東北は上場廃止し、(持株会社)「イオン」の完全子会社化。

イオンリテールは、本州と四国で、旧・ジャスコ、サティ、ダイエーであった総合スーパー「イオン」などを運営。
マックスバリュ東北は、青森、秋田、岩手、山形各県の「マックスバリュ」、「ザ・ビッグ」などを運営。
イオングループでは、首都圏以外の各地でスーパーマーケット事業の再編を進めており、その一環。イオンリテールも含めて再編されるのは東北だけのようだ。
イオンリテールとマックスバリュ東北は、親子の関係ではなく、兄弟のような関係だったはず。営業エリアと、MV東北は株式上場していた(株を売買できた)のが違いだったということかな。

ただし、東北6県すべてのイオンが、イオン東北運営になったわけではない。
宮城と福島のザ・ビッグ店舗(マックスバリュブランドの店はない)は「マックスバリュ南東北」社が、山形以外の5県にある「イオンスーパーセンター」は同名の企業がそれぞれ運営を続ける。【2025年3月に、スーパーセンターがイオン東北と統合することになった。末尾追記参照】
逆に言えば、山形県では、すべてのイオン系スーパーがイオン東北運営になったはず。


イオン東北合併後の存続会社はMV東北で、本社も引き続き秋田市。
社長は東北カンパニーの支社長だった人。マックスバリュ東北の社長だった人は取締役副社長兼営業本部長になった。
つまり、これまで4県だったのが東北6県に拡大し、例えば仙台のイオンも含めて、秋田市の企業の配下にあると思えばなかなかすごい。県別の店舗数では秋田がいちばん多いようだし、各種状況を踏まえているのだろうけれど。
【10日補足】県別店舗数は秋田45、山形31、青森30、宮城25、岩手15、福島8。魁の社長へのインタビューでは、秋田に本社を置いた理由は「東北は人口減少や少子高齢化、1次産業の後継者不足、広範囲にわたる物流の問題など課題が多く、最も深刻な秋田で課題に向き合いたいという結論に至った」としている。実際には、上記店舗分布やMV東北時代の施設や人材を有効活用したかったとか、競合他社との関係とかもあるに違いない。

秋田から東北全域を管轄する組織って、ほかには林野庁東北森林管理局くらいでは?【10日訂正・東北森林管理局は福島県を除く5県が管轄だった。東北6県全部ではイオン東北だけかも】

マックスバリュ東北→イオン東北の本社は、秋田市土崎港にある。JR土崎駅の真裏で、ホームからよく見える。
1番線から
広くはない道路に面した、平べったい社屋。広い平面駐車場もある。
もともとスーパーマーケットとして建てられた建物を、本社オフィスに転用しているのだ。

マックスバリュ東北の前身の1つである企業「つるまい」運営の「サンプラザつるまい」という店だったらしい。
ただし、つるまいは本荘創業であり、かつイオン傘下に入ったのは1994年頃。企業も、各地のスーパーが何度もくっついて「北日本ウエルマート」になり、山形にあった「東北ウエルマート」と合併するなど、かなりごちゃごちゃと変遷していて、いつまでここがスーパーだったのか、いつからここが本社になったのかはよく分からない。
マックスバリュ東北という社名になったのは2000年5月だから、名前としては約20年続いた。

土崎駅跨線橋から。裏の建物は土崎中学校、その向こうに太平山の山並み
マックスバリュ東北時代は、車寄せのひさしに「マックスバリュ東北」と記され、その左の壁に赤紫の「MaxValu マックスバリュ」のロゴ、右に「マックスバリュ東北株式会社 環境国際規格ISO14001認証取得」の看板。
どこにも「本社」とは書いていない。見た目が地味だけど形状はスーパーだから、ものすごく早とちりな人は、スーパーと勘違いして入ったりしなかっただろうか…

2月最後の週に見ると、
ひさしの「マックスバリュ東北」が消された

現在は、
ひさしは白いまま
左のロゴは白地に「AEON イオン東北株式会社」となり、右のISOは上段の社名だけを書き換えた。
ほとんど費用をかけていない。店じゃないからこれでいいのかもしれないし、建て替えなど検討しているのかも。
それにしても、土崎のここ、こんな建物(失礼)で、東北6県のイオンの大部分を管轄していると思うと、感慨深い。
【10日追記】本荘にゆかりのある者&秋田市民としては、秋田県の限られたエリアだけのローカルスーパーだった建物が、数十年間の紆余曲折を経て、日本最大の小売店の一翼を担う場所になったと思うと、ひとごとながら誇らしい。
【4月15日追記】その後、3月末頃から、本社の駐車場にプレハブの建物が置かれ、4月中旬には工事関係者が本社の中の建材を運び出している雰囲気。プレハブは1つは工事事務所、もう1つは本社の代わりのようで、本社社屋の解体もしくは改修が行われそう
【7月24日訂正】さらにその後、7月頃までに本社の工事が終了。外観上は以前と違いが分からず(近づいて工事の看板・表示類を見る機会もなく)、結局は内部の工事だったらしい。


客として気になるのは、この合併により何が変わるのかということだった。
MV東北は2013年に新潟県に進出したものの、2015年にイオンリテールに引き渡して撤退している。今の新潟県では、ジャスコサティのような大きな店も、マックスバリュのような小さな店も「イオン」になってしまっている。東北でもそうなるのか?

でも、イオングループのスーパーと言っても、イオンリテールとマックスバリュ東北では、相違点も多かった。
ユナイトホールディングスに経営統合しながら、ポイント制度すら統一しない、いとくとタカヤナギほどではないが…
例えば、
・MVだけ実施する月木日曜のポイント5倍デー。
・感謝デー5%引きは、MVでは酒類はすべて対象外、リテールではビール類のみ対象外。【2021年3月28日追記・2021年3月には、MVでも日本酒などは対象になっていた。変更の告知が明確にされないのも問題。】
・「イオンお買物アプリ(リテール)」などスマホ関係の優待は両者別。
・MVの火曜・土曜の卵100円、火曜はどちらも野菜が安いけどジャガイモはMVのほうが大きいなど、定例セールは両者それぞれ。
・プライベートブランド商品でも、一部は価格設定が異なる。
・従業員の制服が違う(後述)。
・店頭での資源回収品目の違い(スチール缶とか)や回収方法(リテールでは関連会社の清掃専門スタッフがこまめに、MVはサービスカウンターなどの従業員が片手間に担当)。
等々、統一されていないことも多く、これをどちらかに合わせるとなると、分かりやすいといえなくもないが、困る場合も多いと思った。
【10日追記・関係ないけれどイオンスーパーセンターは、従業員の制服はリテール寄り、食品の品揃え・価格はMV寄り、チラシや企画は独自という感じで、付かず離れずというか独特。】

結論としては、客としては2月までとほぼ変わらず。
店舗ブランドだけでなく、5倍デー(例の歌も変わらず)とかチラシとかも。

3月1日には「イオン東北誕生祭」としてチラシが折りこまれたが、それも両者別(ザ・ビッグはまた別だったようだ)。
 
中身も、紅白まんじゅうプレゼントと、日替わりなど特売商品とその値段がだいたい共通な程度。
以降のチラシは、従来通り両者別物。ネットのチラシ掲載サイトも旧リテールが「シュフー」とMVが「トクバイ」で異なっている。


強いて変わった点を挙げれば、
・レシートの企業名表記(これは当然)
統合前

統合後
イオンリテールでは衣料品のホームページのQRコードが印字されていたのがなくなって、「お買い上げありがとうございます。」に統一。ホームページアドレスも当然変わった(マックスバリュでは合併直前は掲載していなかったようだ。昔は出ていたけど)。
ただし、バーコードと商品名を対応させるPOSデータは、従来通り両者別らしい。マックスバリュで何年も前から「ハピネッツ」とするべきところ「八ピネッツ」になのは、イオン東北になってもそのまま。【4月9日追記】この後、4月8日のレシートでは「ハピネッツバナ」と、ついにやっと修正された!! 何年越しだろう。新会社の効果?!

・マックスバリュでのレジ袋有料化
イオンリテールではレジ袋が有料化されていたが、マックスバリュでは(青森県内や由利本荘市内を除き)無料かつ辞退で2円引きだったのが廃止。
オリンピック便乗の国の方針で、今年7月から全小売店で有料化が義務付けられるそう(100円ショップでもそうなるとのこと)で、それを前倒しした意味もあるだろうが、同じ企業内で統一する意図もあるのだろう。

・マックスバリュでも眞島秀和放送
これまで、イオンリテールの店内では「お買い物中のみなさん、東北出身の俳優マシマヒデカズです」というアナウンスが流れていた。「東北出身」とは大雑把だけど米沢出身の人で、イオンの「にぎわい東北アンバサダー」。
その放送が、イオン東北発足にも言及した内容になり、マックスバリュ店舗でも流れるようになり、さらに眞島氏のポスターみたいなのも店頭に出ていた。
【10日追記】現行の放送は「お買い物中のみなさん、『にぎわい東北』のアンバサダーを務めます、東北出身の俳優 眞島秀和です」で始まっていた。にぎわい東北キャンペーンは今年で5年目とのこと。これまでも該当商品の販売は、MVなどリテール以外の店舗でもやっていた。


今後、徐々に変化して、気づけば「いつの間に?」という変化は出てくるかもしれない。
さらによく分からないのが、「食品事業」以外の「イオンリテール株式会社東北カンパニー」は存続しているのだろうか? とすれば、旧・イオンリテール各店舗の食品売り場とそれ以外の売り場で、運営会社が異なるということになるのだろうか?【末尾の追記参照】
【10日追記・少なくとも食品に限れば「イオンリテールが東北から撤退した」ことにはなるだろうが、既に別会社になっている北海道や九州沖縄ほど隔離感もないようだ。】
変化があるにせよないにせよ、客に対して事前にもう少し説明してくれてもいいと思った。
【10日追記】店頭やチラシでの統合の告知は、2月中はかなり控えめだった。2月末日は準備作業で21時に繰り上げ閉店になったが「システムメンテナンスのため」とだけの説明が多かった。紅白まんじゅう配布の予告も、MVでは「イオン東北誕生記念」としていた(上のチラシでも)が、リテールではあいまいになっていた気がする。3月に入ってからも多くなく、いちばん大々的に合併を伝えるのは眞島氏の店内放送。


あとまったくどうでもいいことだけど。
マックスバリュの店舗の従業員は、例の紫色に「MaxValu」の白いロゴのジャンパーを年中着ていて、これが制服。イオン東北になっても変わっていない。
マックスバリュ東北に限らず、他地域の別会社運営のマックスバリュでも同じようだ。マックスバリュ東海運営で、別企業を吸収した「キミサワ」というスーパーでも、同じだった。
ただし、マックスバリュエクスプレス店舗では黒いジャンパー。ザ・ビッグは?
マックスバリュ東北時代の本社前にいる方
マックスバリュ東北の場合、本社オフィスに勤務する人たちも、上の写真のように店舗と同じジャンパーが制服らしかった。合併後はどうなっているだろう。

【10日追記】この統合にともない、経営陣や幹部の異動はあったが、本社管理職や各店舗の異動は発表されていない。秋田市内の旧イオンリテール店舗でも、3月以降も同じ人が店長を務めているようだ。所属だけリテールから新会社へ変わっているのか。

【14日追記】3日アップの河北新報サイトによれば「イオン東北はリテール東北カンパニーの食品・日用雑貨事業とデベロッパー部門を継承。」「リテールは同日、衣料などを担当する東北事業本部を仙台市に新設した。」とのことで、リテールが東北から全面撤退したわけではない。でもそれだとやはり、旧リテール店舗ではフロアによって運営会社が異なることになるのだろうか?

【15日追記】イオン東北、イオンリテールそれぞれ12日付で、一般人事異動が発表された。秋田魁新報では14日付でイオン東北の秋田県関係分(転出元・先が秋田の人)のみ掲載。
イオン東北では、マックスバリュ各店舗間(もしくは本社と店舗間)の店長の異動が多く、県をまたぐものも多い。青森の野辺地店長→山形の南陽店長といったのもあれば、本荘店長→本荘中央店長というごく短距離のもある。これはMV東北時代同様。
旧イオンリテール店舗の店長は、MVとは格が違うようだ。イオンリテール近畿カンパニー→青森の藤崎店長など、MV側とは別系統の感じ。
イオンスタイル御所野店長→イオン仙台中山店長があるが、後任の御所野店長が出ていない。イオン東北の発表資料自体にも。
イオンリテールのほうの資料で分かった。(東北事業本部の?)Eコマース部から異動。
ほかにも、つがる柏、下田、郡山フェスタ、イオンスタイルいわき小名浜、山形南の各店長が、イオンリテール内での異動として掲載。
つまり、東北6県の旧ジャスコ・サティ・ダイエーの「イオン」の店長は、イオン東北所属の店長が就く店と、イオンリテール所属の店長が就く店があるようだ。↓続きの追記参照。

【16日追記】コメントで情報をいただいた。
旧イオンリテール店舗では、食品売場はイオン東北、その他はイオンリテールと分けていて、それぞれに店長がいるとのこと。東京駅にJR東日本の駅長とJR東海の駅長がいるのと同じ理屈だ。
また、店舗全体の管理は、イオンモール内の店(イオンスタイル御所野など)は、イオンリテールが管理し、食品売場のイオン東北がテナント扱い。単独の店では、逆にイオン東北が管理し、イオンリテール担当の売場がテナント扱いになっているとのこと。
分かったけど、ややこしいというか、かえって複雑な状況では?

【25日追記】イオン土崎港店は、イオン東北管理で、食品以外の売り場はテナントとしてイオンリテールが入っていることになる。
店頭のご意見箱には、以前から店長の名前と写真が出ているが、それが両社それぞれの店長になっていた。書き方や写真の大きさは同じで、向かって左がイオン東北、右がイオンリテール。社名だけで分野の棲み分けなどは説明がなかったと思うので、知らない人は理解できない。
土崎港店の場合、2月までの店長だった人(混雑時は食品レジを担当することもあった)は、引き続きイオン東北側の店長になっていた。

【2021年6月17日追記】2021年3月に「イオン東北株式会社とイオンリテール株式会社東北事業本部の事業統合について」が発表された。
2021年9月をめどにイオン東北に一本化することになった。イオンリテールが東北から撤退ということになる。社名、本社等は変更なし。
回りくどくなく分かりやすく効率的だと思うが、東北以外と関連が薄くなって、店やサービスがガラパゴス化してしまいそうな気もする。

【2024年3月12日追記】秋田魁新報が、イオン東北が、イオンスーパーセンターとの経営統合に向けた準備委員会を設置したことを報道。2025年3月頃の統合を目指す。
コメント (10)
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