順不同の3月のJR東日本パス旅行記。前回の駅弁に続き、今回も食べ物。
ダイエー、イトーヨーカドーに続く、昔はなじみがあって、今後どうなるか心配なブランドの話でもある。
以前から、旅先にその店があったら、ぜひ買って食べたいと思っていたものがあった。
持ち帰り寿司チェーン「小僧寿し」。
この記事などで触れたように、平成の初め頃までは秋田市内にも店舗があって、子どもの頃の思い出があった。
現在は、全国的に見ても、秋田のように店がなくなった地域が増えた一方、首都圏のほか全国にピンポイントで残るエリアもある。東北地方では、青森県の東側が最後の出店エリア。ただ、八戸市の直営店が2022年8月で閉店。現在は、フランチャイズで三沢市に2店舗を残すのみ。
さて、今回の訪問先の1つが、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園。時期的にほとんど花は咲いていなかったけれど。
公園はJRでは常磐線・勝田駅が最寄りだが、歩いて行かれる距離ではない。ひたちなか海浜鉄道に乗り換える方法もあるが、徒歩移動や所要時間を考えると、勝田駅前から茨城交通の路線バスが便利。
しかも、入場券込みのバス乗車券「勝田駅〜海浜公園1日フリーきっぷ」というのも、ひっそりと発売されていて、お得。JRで1駅隣の水戸駅前の案内所でないと買えない(繁忙期は勝田駅でも買えるらしい)という、なんだかな仕様なのだけど。※スマホアプリの乗車券もあるが、それは入場料は含まれておらず、さほど得ではない。
計画中に、茨城県には小僧寿しが11店舗あることを知った。ひたちなか市には、ひたちなか中央店があった。場所は、勝田駅~ひたち海浜公園のバス路線のすぐ近く。バスの乗車券は、路線内なら乗り放題。運転本数も毎時2~3本と多めだから、途中下車して寄ってみることにした。
勝田駅と海浜公園の道は、ほぼ一直線の「昭和通り」で6キロ弱(バスはショッピングモールへ寄り道する)。
駅から2.5キロほどで「茨城高専前」バス停があり、その先で大きめの「中根上野」交差点を越えて、次の「中根郵便局前」バス停と続く。中根上野で交わる道へ曲がってすぐに、小僧寿しがある。
海浜公園に行った帰り、郵便局前で下車。
奥が勝田駅・背後が海浜公園方向。ロードサイド店が並ぶが、裏手はすぐ住宅地
バス停すぐの交差点は、小さい「中根上野東」交差点。
「中根上野」は「なかねかみの」と読む。ローマ字表示では「中根」と「上野」をハイフンでつないである。
この1ブロック先が「中根上野」交差点。
「中根 上野」とスペースを入れて表示するのが珍しい
中根と上野の関係が気になる。この一帯の大字が中根。上野という所もあるが、交差点名としては遠い。交差点付近は「大字中根 字上野」なので、これが由来だろう。大字と小字を並べたことになる。
左折して、すぐ、
到着
ストリートビューで予習していたが、あんまり目立たないお店で、なんか入るのに気が引ける。
小僧寿しのほか、「からあげ専門店 とり家」という黄色い看板、「Brunch World」なる看板も。
どうも、この店全体では「ブランチワールド」というらしく、それを構成する部門の1つが小僧寿しみたいな関係らしい。ブランチワールド全体も、小僧寿しひたちなか中央店も「カワサキフードサービス」という、ひたちなか市にある企業がやっているらしい。ブランチワールドは「SINCE 1972」。
小僧寿しひたちなか中央店は、フランチャイズ店ということになる。
フランチャイズの小僧寿しでは、メニューが異なり、公式ホームページで分かる。今は直営店でもからあげも売るなどしているが、フランチャイズ店では直営店よりも寿司のウエイトが低く、実質弁当店のような小僧寿しもあるようだ。この店もそうかも…
また、直営店のからあげは「元祖からあげの中津家」というブランドなので、ここのからあげは、まったく別物ということだろう。
予約するのが確実だけど、旅人がそこまでするのも気後れしてしまう。夕時ならば、何かしら作り置きの寿司があるのではと、思った。
がらんとした広くはない店に入ると、先客1人。作ってもらって、出来上がるのを待っているようだ。厨房の中はよく見えないが、少なくとも接客はワンオペ。
客が商品を手に取れるショーケースはあるが、寂しいラインナップ。お弁当が数個と、寿司は手巻き寿司がたしか3本だけ。寿司のメニューは貼ってあるが、この場で注文するのが申し訳ない雰囲気。
弁当1つと、手巻き寿司1本を購入。陳列された弁当はおかず部分だけで、ワンオペの店員さんが、別容器にごはんを入れてくれた。
期待外れではあったが、ともかく小僧寿しは手に入れた。
バスに乗って、電車に乗って、ホテルにチェックイン。まずお弁当。
スタミナ焼肉弁当(おかず部分) 500円
おいしかった。ホームページの写真(ごはんが同じ容器に盛られて同価格)より、おかずが多いのでは?
製造者名表示も、箸袋も、カワサキフードサービス ブランチワールド名義。
そして、念願の小僧寿しの手巻き寿司。
残っていたのは、「えびマヨ」2本と「シーチキン」1本だった。
エビは好きじゃないし、小僧寿しの商品の中でいちばん好きなのが手巻きシーチキンだったから、買えてうれしかった。
15時製造(21時消費期限)だから、買ったのは製造1時間後。少量生産なのか、大量に作って売れた残りだったのか。
税込み150円のはず
このシールも、カワサキ&ブランチ名義で、小僧寿しとは書いていない。
コスモスなど花が描かれた「sushi花館(すしはなかん)」の包装フィルムは、最後に食べた秋田の小僧寿しのものと同じ。懐かしい。
楕円形で青地に白文字で「シーチキン(R)」のシールも、たぶん同じで懐かしい。手巻きの他の具材だと、地色が違い、書体は普通の丸ゴシック体。
今ではコンビニの手巻き寿司でも同じだけど、この包装に初めて触れたのが、小僧寿しの手巻き寿司だった。
考えてみれば、秋田市の学校給食で手巻き寿司が初めて出たのが1986年。海苔はこういうフィルムで供された(酢飯は各自載せる)が、迷わずに食べられたのは、小僧寿しで慣れていたから。ということは、小僧寿しの手巻き寿司は1986年より前に存在していたことになる。
最後に食べたのはいつだろう。下手したら30年ぶり? 少なくとも21世紀に入って初めて、見て食べる小僧寿し。
できあがり
おぼろげな記憶では、小僧寿しの手巻き寿司はもっとビシッと固そうな見た目だったが、けっこうふにゃっとしている。コンビニのそれと大差ない。
ところが、味は違う。そうそうこれが小僧寿しの味!
ごはんはやや硬めで、酸味が強いのだろうか。コンビニの手巻き寿司とは違う(たぶん)。
小僧寿しの商品(味)は、昔とほぼ変わっていなかった。
ところで、手巻き寿司のフィルムは「sushi花館」だったが、店舗の看板にはどこにもそれがなかった。写真を見たら、店の前のピンク色ののぼり旗はsushi花館だった程度。秋田市内の末期の小僧寿しは、どれもsushi花館の看板だったのに。
以前の記事でも触れたが、sushi花館を名乗るかどうかは、全国的にばらつきがあった。また、手巻き寿司のフィルムは、「小僧寿し」ブランドの別デザインを使う店もあるようだ。
「小僧寿し」のロゴも、昔とは違うものになった。ところが、ひたちなか中央店の看板は、それとは微妙に(だいぶ?)違うもの。
店の正面の壁には、トンネルの口みたいなアーチ状の装飾の中に、
大きな小僧。夜はライトアップされそう
大きさは別として、背景がオレンジ色で、紺色で描かれたこれは、見覚えある昔ながらのもの。
現在の標準的な店では、この色の組み合わせは使われず、小僧自身も顔だけだったり、いろんなポーズをしたりするようになっている。
よく見れば、
ひび割れて、年季の入った小僧
知らなかったが、この小僧のキャラクターは「鉢巻太助」という名前。顔の輪郭や鼻筋が、「ちびまる子ちゃん」の藤木くんにどこか似ているような。
フランチャイズ店への縛りが強くないことの現れなのだろうが、せっかくの小僧寿しブランドのイメージの維持のため、もう少し統一感があってもいいのでは。
また、小僧寿しを食べたい。子どもの頃の思い出をたどると、生寿司よりもシーチキン、その他の手巻き、いなり、助六などを中心に。【2024年6月25日追記・ここでの「生寿司」は江戸前寿司や握り寿司を意味し、「なまずし」と読むつもりで用いたのだが、北海道や東北辺りの方言のようだ。また、「しめさば」もしくは酢締めしたした魚(寿司ではなく切り身状態)のことを、西日本などでは「生寿司」と書いて「きずし」と呼ぶらしい。】
※旅行記の続き。
ダイエー、イトーヨーカドーに続く、昔はなじみがあって、今後どうなるか心配なブランドの話でもある。
以前から、旅先にその店があったら、ぜひ買って食べたいと思っていたものがあった。
持ち帰り寿司チェーン「小僧寿し」。
この記事などで触れたように、平成の初め頃までは秋田市内にも店舗があって、子どもの頃の思い出があった。
現在は、全国的に見ても、秋田のように店がなくなった地域が増えた一方、首都圏のほか全国にピンポイントで残るエリアもある。東北地方では、青森県の東側が最後の出店エリア。ただ、八戸市の直営店が2022年8月で閉店。現在は、フランチャイズで三沢市に2店舗を残すのみ。
さて、今回の訪問先の1つが、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園。時期的にほとんど花は咲いていなかったけれど。
公園はJRでは常磐線・勝田駅が最寄りだが、歩いて行かれる距離ではない。ひたちなか海浜鉄道に乗り換える方法もあるが、徒歩移動や所要時間を考えると、勝田駅前から茨城交通の路線バスが便利。
しかも、入場券込みのバス乗車券「勝田駅〜海浜公園1日フリーきっぷ」というのも、ひっそりと発売されていて、お得。JRで1駅隣の水戸駅前の案内所でないと買えない(繁忙期は勝田駅でも買えるらしい)という、なんだかな仕様なのだけど。※スマホアプリの乗車券もあるが、それは入場料は含まれておらず、さほど得ではない。
計画中に、茨城県には小僧寿しが11店舗あることを知った。ひたちなか市には、ひたちなか中央店があった。場所は、勝田駅~ひたち海浜公園のバス路線のすぐ近く。バスの乗車券は、路線内なら乗り放題。運転本数も毎時2~3本と多めだから、途中下車して寄ってみることにした。
勝田駅と海浜公園の道は、ほぼ一直線の「昭和通り」で6キロ弱(バスはショッピングモールへ寄り道する)。
駅から2.5キロほどで「茨城高専前」バス停があり、その先で大きめの「中根上野」交差点を越えて、次の「中根郵便局前」バス停と続く。中根上野で交わる道へ曲がってすぐに、小僧寿しがある。
海浜公園に行った帰り、郵便局前で下車。
奥が勝田駅・背後が海浜公園方向。ロードサイド店が並ぶが、裏手はすぐ住宅地
バス停すぐの交差点は、小さい「中根上野東」交差点。
「中根上野」は「なかねかみの」と読む。ローマ字表示では「中根」と「上野」をハイフンでつないである。
この1ブロック先が「中根上野」交差点。
「中根 上野」とスペースを入れて表示するのが珍しい
中根と上野の関係が気になる。この一帯の大字が中根。上野という所もあるが、交差点名としては遠い。交差点付近は「大字中根 字上野」なので、これが由来だろう。大字と小字を並べたことになる。
左折して、すぐ、
到着
ストリートビューで予習していたが、あんまり目立たないお店で、なんか入るのに気が引ける。
小僧寿しのほか、「からあげ専門店 とり家」という黄色い看板、「Brunch World」なる看板も。
どうも、この店全体では「ブランチワールド」というらしく、それを構成する部門の1つが小僧寿しみたいな関係らしい。ブランチワールド全体も、小僧寿しひたちなか中央店も「カワサキフードサービス」という、ひたちなか市にある企業がやっているらしい。ブランチワールドは「SINCE 1972」。
小僧寿しひたちなか中央店は、フランチャイズ店ということになる。
フランチャイズの小僧寿しでは、メニューが異なり、公式ホームページで分かる。今は直営店でもからあげも売るなどしているが、フランチャイズ店では直営店よりも寿司のウエイトが低く、実質弁当店のような小僧寿しもあるようだ。この店もそうかも…
また、直営店のからあげは「元祖からあげの中津家」というブランドなので、ここのからあげは、まったく別物ということだろう。
予約するのが確実だけど、旅人がそこまでするのも気後れしてしまう。夕時ならば、何かしら作り置きの寿司があるのではと、思った。
がらんとした広くはない店に入ると、先客1人。作ってもらって、出来上がるのを待っているようだ。厨房の中はよく見えないが、少なくとも接客はワンオペ。
客が商品を手に取れるショーケースはあるが、寂しいラインナップ。お弁当が数個と、寿司は手巻き寿司がたしか3本だけ。寿司のメニューは貼ってあるが、この場で注文するのが申し訳ない雰囲気。
弁当1つと、手巻き寿司1本を購入。陳列された弁当はおかず部分だけで、ワンオペの店員さんが、別容器にごはんを入れてくれた。
期待外れではあったが、ともかく小僧寿しは手に入れた。
バスに乗って、電車に乗って、ホテルにチェックイン。まずお弁当。
スタミナ焼肉弁当(おかず部分) 500円
おいしかった。ホームページの写真(ごはんが同じ容器に盛られて同価格)より、おかずが多いのでは?
製造者名表示も、箸袋も、カワサキフードサービス ブランチワールド名義。
そして、念願の小僧寿しの手巻き寿司。
残っていたのは、「えびマヨ」2本と「シーチキン」1本だった。
エビは好きじゃないし、小僧寿しの商品の中でいちばん好きなのが手巻きシーチキンだったから、買えてうれしかった。
15時製造(21時消費期限)だから、買ったのは製造1時間後。少量生産なのか、大量に作って売れた残りだったのか。
税込み150円のはず
このシールも、カワサキ&ブランチ名義で、小僧寿しとは書いていない。
コスモスなど花が描かれた「sushi花館(すしはなかん)」の包装フィルムは、最後に食べた秋田の小僧寿しのものと同じ。懐かしい。
楕円形で青地に白文字で「シーチキン(R)」のシールも、たぶん同じで懐かしい。手巻きの他の具材だと、地色が違い、書体は普通の丸ゴシック体。
今ではコンビニの手巻き寿司でも同じだけど、この包装に初めて触れたのが、小僧寿しの手巻き寿司だった。
考えてみれば、秋田市の学校給食で手巻き寿司が初めて出たのが1986年。海苔はこういうフィルムで供された(酢飯は各自載せる)が、迷わずに食べられたのは、小僧寿しで慣れていたから。ということは、小僧寿しの手巻き寿司は1986年より前に存在していたことになる。
最後に食べたのはいつだろう。下手したら30年ぶり? 少なくとも21世紀に入って初めて、見て食べる小僧寿し。
できあがり
おぼろげな記憶では、小僧寿しの手巻き寿司はもっとビシッと固そうな見た目だったが、けっこうふにゃっとしている。コンビニのそれと大差ない。
ところが、味は違う。そうそうこれが小僧寿しの味!
ごはんはやや硬めで、酸味が強いのだろうか。コンビニの手巻き寿司とは違う(たぶん)。
小僧寿しの商品(味)は、昔とほぼ変わっていなかった。
ところで、手巻き寿司のフィルムは「sushi花館」だったが、店舗の看板にはどこにもそれがなかった。写真を見たら、店の前のピンク色ののぼり旗はsushi花館だった程度。秋田市内の末期の小僧寿しは、どれもsushi花館の看板だったのに。
以前の記事でも触れたが、sushi花館を名乗るかどうかは、全国的にばらつきがあった。また、手巻き寿司のフィルムは、「小僧寿し」ブランドの別デザインを使う店もあるようだ。
「小僧寿し」のロゴも、昔とは違うものになった。ところが、ひたちなか中央店の看板は、それとは微妙に(だいぶ?)違うもの。
店の正面の壁には、トンネルの口みたいなアーチ状の装飾の中に、
大きな小僧。夜はライトアップされそう
大きさは別として、背景がオレンジ色で、紺色で描かれたこれは、見覚えある昔ながらのもの。
現在の標準的な店では、この色の組み合わせは使われず、小僧自身も顔だけだったり、いろんなポーズをしたりするようになっている。
よく見れば、
ひび割れて、年季の入った小僧
知らなかったが、この小僧のキャラクターは「鉢巻太助」という名前。顔の輪郭や鼻筋が、「ちびまる子ちゃん」の藤木くんにどこか似ているような。
フランチャイズ店への縛りが強くないことの現れなのだろうが、せっかくの小僧寿しブランドのイメージの維持のため、もう少し統一感があってもいいのでは。
また、小僧寿しを食べたい。子どもの頃の思い出をたどると、生寿司よりもシーチキン、その他の手巻き、いなり、助六などを中心に。【2024年6月25日追記・ここでの「生寿司」は江戸前寿司や握り寿司を意味し、「なまずし」と読むつもりで用いたのだが、北海道や東北辺りの方言のようだ。また、「しめさば」もしくは酢締めしたした魚(寿司ではなく切り身状態)のことを、西日本などでは「生寿司」と書いて「きずし」と呼ぶらしい。】
※旅行記の続き。